仮想空間上に住み、出勤する人も 脳が騙されるVRの世界とは

AbemaTIMES

2018/10/11 11:30


 映画『マトリックス』のような世界もそう遠くないのかもしれない。そんなことを感じさせるソーシャルVRサービス「VRChat」が注目を集めている。5日放送のAbemaTV『 AbemaPrime 』が取材した。

2017年に開発されたVRChatは、仮想現実に街や公園など様々な「ステージ」が用意されており、自分の「アバター」を通じて出会った人とコミュニケーションを取ることができる。自分でステージを作ることもでき、今や世界で300万人以上が活用しているという。

 VR法人「HIKKY」はVRChat上で映像制作を行う企業で、仮想現実にもオフィスを構えている。アートディレクターであるさわえみかさんは画面上を指しながら「スタジオとしても使っているので、セットとか椅子がここに置いてあって、ここで配信などをしている」と説明する。坪倉輝明さんは、「お金がなくても広くスペースが使えるし、高い機材も使える。スタッフも必要ないし、メイク・スタイリングもいらない。でも映像としてはしっかりしたものが撮れる」と話す。さわえさんも「電源落とすだけで終了なのでとても楽」と笑う。

 セガが運営するスマホゲームのCMを制作した時のメイキング映像を見せてもらうと、人気Vtuberをゲストに、ゲストは、仮想現実内に作った撮影セットを使い、カメラや照明をセッティングしていた。現実世界さながらの環境で撮影されたCMは、YouTubeなどで配信された。

HIKKYでは「バーチャルマーケット」というイベントも開催している。これは仮想現実に作ったイベントスペースで、約80の出店者が自作のアバターやアイテムなどを販売している。

 仮想現実内に自宅も持っており、基本的には"バーチャル出社"しているという坪倉さん。「VR上のオフィスに集まって打ち合わせをしたりする。全部VRやインターネット上で完結するような働き方をしているので、2週間くらい家から出てないみたいな時もある」と話す。「外に出ていきたくなくなるのでは?」と尋ねると、「出てこなくていいんじゃないですか?ぎゅうぎゅうの満員電車の中を移動したり通勤したりっていう、なんで不便なことを皆するのかなって感覚になる」と話し、さわえさんも「そっち(VR)が本体で、こっち(現実)が仮のアバター(笑)」。


■パンサー向井「"会っている"という感覚になった」
 VRの情報を発信するWEBメディア「MoguraVR」久保田瞬編集長によれば、「ビデオ通話では"会う"という表現を使わないと思うが、VRでは本当に"会う"という感覚になる」と話す。自分の身体全体を3Dスキャンして仮想現実内に再現することや、物を掴むことのできるデバイスも販売されているといい、非常にリアルな体験ができるようになっているのだという。

 こうしたHIKKYメンバーたちの感覚が理解できないと話すスタジオゲストたちに対し、元計経産官僚の宇佐美典也氏は「『みんなのGOLF』のようにゲームのプレイヤー同士が話す機能ができて、次第にそれが拡大していった感覚。ネットゲームをしている人たちにとっては自然な感覚で、決して飛躍したものではない」と説明する。

さらに番組では、半信半疑のお笑いトリオ・パンサーの向井慧と紗倉まながVRChatに入り、開発者やユーザーや取材を試みた。

 アメリカ人のVRPillさん(アバター名)によると、「過去30日間のログイン人数は大体400万くらい。約4年前に作って、20人程度しかログインしていなかった時期があった。私は(VRの機械を)つけたまま1日過ごしていて、寝る時もつけたまま。そしてまたVR世界で目覚める」と話す。

 仮想現実内での他のアバターとの距離感のとり方、身体の動かし方が掴めず、近づいて話しかけられる感覚に最初は怯えていた向井は「会話している感覚が電話よりも強いし、"会っている"という感覚ある。人と会ったときのようにエネルギーを使う。ゴーグルを外すと、現実に"戻ってきた"という感じがする。"あそこはあそこ"」とコメント。紗倉も「アナログ的な感覚しか持っていなかったが、機械を付けてみると、あの空間の温度感にすぐ馴染める感じだった」と話した。


■脳が騙され、息が吹きかけられたような感覚に
 実際に起きていない現象でも脳が思い込むことで感覚として現れる「クロスモーダル現象」とVRの融合を研究する東京大学大学院情報理工学系研究科の鳴海拓志氏によれば、実際には存在しないアバターの女の子の"吐息"を顔に感じたという体験をする人もいるのだという。

 「アバターの女の子が迫ってきたときに、脳が騙されて"この距離なら息がかかるだろうな"と感じ、実際に息が吹きかけられたように感じる。鳴海先生の実験では、現実のクッキーよりも大きなクッキーをVRに映し出すことで、食べたときに本当に大きいクッキーをたくさん食べていると感じ満腹になるという結果が出ている」(久保田氏)。

急激に発展するVR技術が、私達の生活に欠かせない身近なものになる日も近いのかもしれない。「今はゴーグルやデバイスをつけ、現実世界とは違うものを見せて脳を騙している状態。まだ数十年かかると言われているが、電極を刺して、脳に直接信号を送るというようなアニメの描写も、将来は現実のものになるのではないか」と久保田氏は話す。

「海外の方でも簡単に会うことができ、しかも隣にいるように会うことができる。多重人格と言ってしまうと怖い感じもするが、昼の顔と夜の顔が違うというようなこと。夜は飲み会がないから家に帰ってVRの友達と飲もうとか、そんなふうなことなのかなと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶紗倉まな・パンサー向井がVRChatを生体験した映像を配信中

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