「まんぷく」5話、視聴率高め安定、長谷川博己の萬平の好感度高し

エキレビ!

2018/10/6 08:00

第1週「結婚はまだまだ先!」第5回10月5日(木)放送より
脚本:福田 靖 
演出:渡邉良雄
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎


連続テレビ小説 まんぷく Part1

5話のあらすじ
3年が経って1941年、昭和16年。
21歳になった今井福子(安藤サクラ)の働く大阪東洋ホテルで大阪商工会の定例会が行われ、そこに立花萬平(長谷川博己)がやってくる。福子と萬平、3年ぶりの再会だった。

ビジネス描写強化。日曜劇場風味を入れてくるか
4話の視聴率は、3話と同じ22.3%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)。安定している。

4話のレビューで、15分×4話で、1話分のまとまりある話になっていたと書いたが、5話からまたきれいに新しいエピソードに移行した。
3年経過し、また新たな登場人物、大阪商工会会長で大阪実業界の親分・三田村亮蔵(橋爪功)、個人で商社をやっている世良勝夫(桐谷健太)が登場。萬平のビジネスの描写が増えていく。
この男たちの顔ぶれを見ると、朝ドラもいよいいよ、近年視聴率が高く評判のいい日曜劇場(「半沢直樹」「下町ロケット」など、長谷川の主演した「小さな巨人」もそれ)的な骨太なドラマになるのではないかという予感がする。福田靖の脚本ならそれも可能であろう。

日中戦争の軍需景気に沸く大阪に限らず、広い世界ではチャップリンの「モダンタイムス」が象徴するようによくもわるくも資本主義、機械文明が拡大しているところ。庶民が自分の才覚でどんどん商売できる時代、萬平や加地谷は共同ビジネス(理創工作社)の拡大化をはかるべく動いている。
だが、第二次世界大戦がはじまって雲行きが怪しくなっていく。ここからどうなっていくのだろうか。

ヒロイン福子の鈍さがもどかしい
萬平の仕事の話も気になるが、一方で、萬平はもうすでに福子に気持ちがあるように描かれている。
商工会のパーティーでいったん萬平と福子はすれ違う。そんなに気づかないものなのか、と思うがそれはドラマ。
三田村にはじめて会った萬平はうまく自己アピールできない。そんなとき福子に気づく。近付こうとして、お酒の入ったグラスにぶつかりズボンが濡れて、それを福子が乾かしてくれて、ようやく福子も3年前のことを思い出す。

「今井さんですよね?」と聞かれて、「えっ」なんで知ってるの?という警戒心をむき出しにする福子が微笑ましい。
立ち上がって、下着姿の下半身があらわになってしまうのも昭和の喜劇的で牧歌的。こういうのもたまにはいものだ。

福子「全然気が付かなかった」
萬平「3年経ってますからね」

福子「ご立派になられましたね」
萬平「えっ・・・」

福子の言動に微妙なリアクションをしていく長谷川博己。過去のヒット出演作「セカンドバージン」の鈴木京香、「家政婦のミタ」の松嶋菜々子、「シン・ゴジラ」のゴジラと、主役に対してみごとなリアクションをすることで物語を明確にしてきた。

萬平は終始、福子を見てニマニマしていて(気持ち悪くならない程度のぎりぎりを保っている)、「結婚はされているんですか?」とまで聞く(こういうとこは行動が早い)が、福子は色っぽいことは皆無のよう。
なにしろ、ホテルの料理人・野呂(藤山扇治郎)が出会った頃から缶詰をプレゼントし続けている気持ちをさっぱり介さないのだ。なんとももどかしい。
福子が萬平を意識するようになるのはいつだろうか。

ちなみに報われない野呂役の藤山扇治郎には、以前、舞台「広島に原爆を落とす日」(2015年 作:つかこうへい 演出:錦織一清 主演:戸塚祥太)のパンフレットでインタビューをしたことがある。重要な役を的確に理解し語る、知的なユーモアのある人だった。祖父は藤山寛美、叔母は藤山直美と安藤サクラに負けない俳優家族。京都府出身で松竹新喜劇に所属している。

不器用な萬平を好演する長谷川博己
萬平がパーティーで三田村と話をしようとするが、うまく話せず、要領のいい世良に割り込まれてしまう場面。パーティーあるあるで他人事じゃない人も少なくないだろう。
この場面で思い出したのが、私が構成した「蜷川幸雄の稽古場から」(ポプラ社 10年)という本で、長谷川博己が蜷川の舞台を見て楽屋に挨拶に行ったが、蜷川さんの印象に残らなかったと感じたというエピソードだ。
そのときはうまく自己アピールができなかったようだが、その後、「KITCHEN」(05年)で世界的な演出家・蜷川の作品に初出演を果たし、そこから蜷川との仕事が増えていった。
「蜷川幸雄の稽古場から」は藤原竜也、小栗旬、尾上菊之助、寺島しのぶ、松たか子、鈴木杏などが蜷川と過ごした演劇の日々を語ったもので、そのときは舞台では人気があったが全国区の認知度のなかった長谷川を蜷川は「長谷川くんは売れる」と言ってラインナップに加えた。初対面のとき、巨匠はほんとうに印象に残らなかったのか、わざとそっけなくしたのか、そのへんはわからない。
ただ、長谷川博己は、少々時間がかかったとしても心の中の混沌とした思いをいったん形にしたらものすごく明確なものとして外に出せる人だと長年取材して感じている。だからこそ彼の演技は質量を伴って伝わるのだと思う。こんな彼に対する印象と萬平がこれから頭角を現していくであろうことが重なって、5話をおもしろく見た。


「まんぷく」の冒頭、大阪の風景のなかに映っている「大急百貨店」が出てくる朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月~土、朝7時15分から再放送開始!  
ちなみに「べっぴんさん」で大急が話に絡んでくるのは49話あたりから。
(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第5話レビューはコチラ

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