マスターズ陸上で金メダルの武井壮「一社会人として1日1時間の練習だから夢がある」世界記録樹立への飽くなき挑戦と決意

AbemaTIMES

2018/10/6 11:30


 タレントとして、一社会人として、限られた時間の中で世界記録を目指し続けている。陸上十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮が、9月16日にスペイン・マラガで行われた「世界マスターズ陸上2018」の男子400メートルリレー(45~49歳クラス)に出場し、43秒77の記録で金メダルを獲得した。メンバーには北京五輪の同種目銀メダリスト朝原宣治を加え、目標とした43秒42の世界記録には0秒35届かなかった。「みなさん本当に金メダルおめでとうと言ってくださるんですけど、今回の金メダルは本当に、悔しいのが90%。世界一悔しい世界一なんじゃないかなと自分の中では思っています」と唇を噛んだ。多忙な日々を送る中、なぜそこまで世界記録にこだわるのか、またアスリートとしてではなく、タレントとして試合に出るモチベーションは何なのか。その思いを聞いた。

-金メダル、おめでとうございます。ただ記録は残念でした、というところでしょうか。

そうですね。正直悔しい思いが90%ぐらいで。みなさん本当に金メダルおめでとうと言ってくださるんですけど。前回のフランス大会の金メダルはすごくうれしくて、それこそうれし涙が出るような達成感のある金メダルだったんですけど、今回の金メダルは本当に、悔しいのがほとんどで、全然満足できないです。世界一悔しい世界一なんじゃないかなと自分の中では思っています。

でも、そういった経験も人生で多く経験できることではないので、悔しい金メダルが取れたということも、すごい財産だと思うし、思い出の詰まった金メダルになったと思います。でもどうしても世界記録を出したいので、もう1本(レースは)走りたいと思います。

-メンバー4人調子とレース本番を振り返ってください。

メンバーみんな、今作れるベストの状態は作れていました。しっかりした走りができれば、記録更新も可能だなっていうレベルにはいたと思うんですけど、バトンの練習が1回しかできなくて…。これがやっぱり響いて、本番は2走、3走のところで大きなバトンミスがありました。

あと僕らのチームがその世代ではタイム的に他のチームより速い分、なかなか競ってくれるチームがいないというのもありまして。やっぱり自分たちの力以上のものを引き出されるようなことが、なかなか難しいんですよね。スペインチームとイギリスチームは強かったので、なんとかなるかなと思ったんですが…。

-納得のいくレースではない中で、世界記録には近いタイムが出ましたが。

朝原(宣治)くんが8月くらいに、ふくらはぎを1度軽く痛めて調整が遅れたんで「あと1カ月あればなぁ」なんて話を、みんなでしていました。バトンも1レースやればだいたいわかってくるので、もう一本走れればタイムを狙える感覚なんです。もう一発世界記録を狙って、どこかで走れたらなとメンバー共通で思っていて、10月の28日に国際ゴールドマスターズ奈良大会でもう一度世界記録に挑戦します!

-タレントとして多忙な日々を送られている中で、どうやってトレーニングを積んでいるんですか。

この歳になって、現役と同じだけトレーニング積んでも仕事もたくさんあるので、ダメージから回復できずに怪我するリスクが高まるんです。毎日休みなく仕事なので、昼間にのんびり練習するってこともできない。だから仕事が終わった後、家に帰ってから1時間だけトレーニングしています。毎日1時間という時間を使って、コンディションを仕上げる。練習の量をきっちり1時間にできるものにして、高い質でトレーニングを行って、残りの23時間で回復する作業にしています。時間自体はそれほど長くないんで、その気になれば誰でもできるようなトレーニングですよ。

実はマスターズ陸上をやっているのも、そういうメッセージを伝えたいからなんですよ。たとえば僕が5時間も6時間もトレーニングして、世界記録出したとしても、それこそ夢がないんです。みんな仕事していて夢が叶わないと思っている中、1日1時間できっちり仕上げて世界一を取れたとしたら「おれも1時間使えたら何か生めるのかも」と思ってもらえるかも。そんなメッセージを送りたくて毎日1時間トレーニングをしています。

-1時間のトレーニング内容を教えてください。

スプリント練習ですね。短くて40~50メートルぐらいから、長くて300メートルぐらいまでのいろんな距離を用いて、その日に一番クオリティの高い走りのできる距離とセット数で、練習を組み立てるということです。走れない日はウェイトトレーニングしたりして体を作っています。

-朝原さんを今回のメンバーに加えた経緯と理由を教えてください。

朝原くんはレースが10年ぶりだったので、どれくらい走れるか当初は計算がつかなかったんですよね。正直初めて見た時は「ちょっと間に合わないかな」と思ったぐらいで。朝原くんには2月くらいに声かけて「やってみようかな。とりあえず時間が欲しい。5月ぐらいの返事でいい?」ということだったので。5月くらいまでのんびり練習してもらったら「いけるかも」ってことで、テレビ番組で発表しました。

朝原くんがいたら勝てるというよりも、やっぱり人が見たいレースをするというのが僕のテーマなんですよ。レースを見ていただいて、ニュースにしていただいて、その映像を何度も価値のあるものとして見てもらうのが、僕のスポーツの価値の作り方なんです。前回、僕らが金メダルを取ったメンバーでもう1回挑戦と言ってもおもしろみに欠けるし。そこに新しく北京オリンピックの銀メダリストでもある朝原くんを、マスターズの舞台に引っ張り出せるというのが、すごい大きなニュースだし業界への貢献度も高くなる。

僕が生まれて初めて出た全国大会は国体で、兵庫県代表でした。400メートルリレーで朝原くんが2走、僕がアンカーだったんですよ。その時から25年ぶりに一緒にチームを組むことになるし、現役当時はメダリストにまでなった選手を招き入れる事で、マスターズ陸上というものもより広くたくさんの人が楽しめる場になるだろう、カンフル剤になるだろうと思って、声をかけさせていただきました。

朝原くんも僕も45歳を過ぎて、現役時代に成し得なかった世界記録というものを狙えるポジションにグッと近づいた。新しい目標を陸上界につかみに行こうということでチャレンジしているんです。

-陸上選手にとって、マスターズ陸上の世界記録というのはどのくらいの価値を感じるものでしょうか。

マスターズ陸上は競技が男女で50種目以上もあって、すごく多いんですよ。クラスも35歳クラスから5歳刻みで、90歳オーバーまであって。だから金メダルは600個以上出るわけです。その金メダルよりも価値の高いものはやはり世界記録なんですよ。陸上選手というか、パフォーマンススポーツの選手にとっては、メダル1個とは比較にならない価値です。歴史に名前を刻み込める、地球上に生まれた人類の中で、過去最速で走ったんだという証しですから。その魅力は非常に大きいし、朝原くんが10年ぶりにトラックに戻りたいと思ったのも、それがあるからだと思います。

-マスターズ陸上に参加している時は、やはりアスリートに戻ったような気持ちで戦われているんでしょうか。

アスリートに戻っている感覚はないんですよ。僕はタレントですし、タレントとしてテレビや雑誌、いろんな媒体でパフォーマンスを見てもらって、楽しんでもらってお給料を得るというのが僕のお仕事です。タレントとして、より多くの方に高いパフォーマンスでスポーツというものを楽しんでもらうために、毎日鍛えているんです。その結果、世界一を狙えるメンバーとしていられるというのは、とても光栄だし幸せなことなんです。

前述しましたが、これをアスリートとしてやるんじゃ、あまり意味がないというか、夢がないと思っています。僕は決してアスリートではなく、タレントとして、一社会人として、芸能という仕事をしている人間として、その中の毎日1時間を使って、アスリートの世界でもまだまだ勝負ができるか、という挑戦ですから。僕がアスリートだけやっていた時には手に入れられなかった価値を乗せて、今はスポーツをプレーできているので、現役時代より意義のあるチャレンジができていると思うし、みなさんにも楽しんでもらえていれば嬉しいです。

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