yonige 60人限定プレミアムライブで見せた新境地と本質、『YONIGE no NIGEBA』オフィシャルレポ

SPICE

2018/10/5 18:42


ミニアルバム『HOUSE』を10月3日にリリースしたyonigeが10月4日、渋谷B.Y.Gにてプレミアムライブ『YONIGE no NIGEBA』を開催。当日の模様をオフィシャルレポートでお届けする。

10月4日、yonigeが渋谷B.Y.Gにて一夜限りのプレミアムライブ『YONIGE no NIGEBA』を開催した。本公演は、ミニアルバム『HOUSE』のリリースを記念して企画されたもの。当日の12時~16時の間だけ会場入り口にブースを設置し、福引用のガラガラ抽選機でアタリを引けば入場できるという方式を採り、ハズレを引いた人にも“yonigeオリジナルリリックトイレットペーパー(『HOUSE』収録楽曲のリリックが印刷されている)”がプレゼントされた。日中から抽選会は大盛況で、落胆とともにトイレットペーパーを抱えて帰路につく人、かたや、アタリの玉を片手に「ギャー!」と歓喜の声を上げる人―― 喜と哀が忙しなく交錯して、B.Y.Gのエントランスには異様な高揚が充満し続けていた。
yonige
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そうして“選ばれし精鋭”60名が着席した店内は、最後尾の席でもステージまで5、6mという至近距離だ。ワンマンライブにしてもフェスにしても急速にステージ規模を広げ続けている現在の状況から考えても、マイクを通さずとも言葉を交わせるこの近さは、まさにプレミアムである。

しかしそこはyonige。ゆったりと登場して3人で合図を交わし、スッと音を合わせてライブがスタート。浮足立たずにいつも通り。平熱で等身大の姿から繰り出されたオープニングチューンは、「リボルバー」だ。鼻歌のようにしてスッと聴く人に馴染むメロディに、牛丸自身がリラックスして身を委ねているような。終始柔らかいフォームで泳ぎ回るメロディの力に、早くも全員が聴き入っている。プレミアムとは言いつつ、その実は、歌という地力を見せつけるライブだ。
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ごっきん「みんな、クジで当てたんやもんな。緊張してる?」
前方の観客「(頷く)」
ごっきん「こっちのほうが緊張してるっちゅうねん!」

そんな言葉が嘘のように、続いてプレイされた「顔で虫が死ぬ」では一気にサウンドの束感が増していく。疾走していく楽曲の中で、今度はごっきんのベースが伸び伸びと躍動し始めた。ベースがもうひとつのメロディを紡ぐように、硬軟自在に動きながら歌を前に前に飛ばしていくようだ。牛丸曰く「深夜にチャリを漕ぎながら大声で歌っている、というだけの曲」だそうだが、こうしてバンドサウンドとしての成長を響かせながら<誰の目も気にしないで今だけ歌う>という一節が歌われると、この一瞬への宣誓のように聴こえてくるから面白い。たびたび文学的だと讃えられてきた歌詞がストレートな筆致へと変化し始めた『HOUSE』ではあるものの、情景の中に自分の心情を映し出す才覚は健在、というよりもさらに研ぎ澄まされている。じっくりと高揚を煽っていく音楽でありながら、歌と歌詞のストロングポイントと瞬発力も持っているという意味で、新境地と本質を同時に表しているのが「顔で虫が死ぬ」だと印象づける一幕だった。
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そこから雪崩れ込んだ「2月の水槽」では、一切バーストせず音に没入していくパフォーマンスを見せる。タメの効いたベースが肝になる曲だからこそ、ここでもごっきんの“歌心”が際立つ。特にMC中のキャラクターでyonigeの親しみやすい一面を担う彼女だが、その音楽へのストイックさが、音とライブの説得力と起伏の豊かさに直結していた。

そして、その“ライブの起伏”という面で印象的だったのが、「どうでもよくなる」から「しがないふたり」、「ベランダ」へと繋いだ一連の流れだった。「どうでもよくなる」は軽快なフォークでありながら、穏やかな幸福も永遠には続かないのだ、という諦観も同時に漂っている歌である。隙間と余白を生かしたアレンジ、観客との近さも相まって、平熱で語り掛けるような牛丸の歌のよさが存分に生きる。それでいながら、歌の真ん中にある寂寞に胸を締め付けられるようにして観客はさらに聴き入っていくようだ。そこから繋いだ「しがないふたり」は、牛丸の話によれば「どうでもよくなる」の基になった1曲である(つまり、「どうでもようなる」は「しがないふたり」へのアンサーソング)。いつか終わることを知っていながらも、ここにある愛に寄りかかるしかないという人生を嘆きも悲しみもせず淡々と紡いでく2曲の流れは、歌詞がひとつの線になっていること以上に、歌の物語性と表現力の豊かさを強く印象づけた。そこからひと繋ぎで披露された「ベランダ」にしても、日常をありのままに綴った歌だからこそ、情熱と冷静の忙しなさが表現になっていく牛丸という表現者の核を克明に表していた。
yonige
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終盤のMCではいきなりご飯の話になったり、ダイエットの話題になったり、ゆったりとしたライブに似合わない「お前ら、いけるかぁ!」という煽りを敢えて披露する一幕があったり。終盤のMCに至るまで、あくまで等身大で音楽を楽しんでいたふたり。サポートドラムのホリエがマイクを持つ貴重な一幕もあったが、何よりも、今のyonigeから放たれる素直な音楽達を全身で浴びられることこそが特別な喜びになっていく夜だった。
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