欅坂46平手友梨奈主演映画『響』脚本への「つまらない」発言に見る「アンビバレント」さ

EXweb

2018/10/5 17:00


※画像は映画『響 -HIBIKI-』公式サイトより

欅坂46の平手友梨奈が映画初出演にして主演を務めた映画『響 -HIBIKI-』。同名漫画を映像化し、天才小説家の少女・鮎喰響(あくい ひびき)が自分の信じる生き方を絶対に曲げず、世の常識に囚われ、建前をかざして生きるオトナたちに疑問を投げかける。

言葉で反発するだけでなく、記者会見でマスコミを蹴り、椅子投げまで行うバイオレンスなシーンもあり、直情径行すぎる響の生き様は、時にコミカルにも映るほど。「予測不可能。前代未聞」のキャッチコピー通りの“衝撃作”と言って過言ではないだろう。

原作者が「響役は平手さんしかいない」と明言していた通り、平手は演じる響と“シンクロ率100%”な演技を披露。演技というよりも、響そのものとしてその時間を生きるドキュメンタリー、あるいは、モキュメンタリー的な作品と言ってもいいはずだ。事実、平手は『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46』で「『ずっと響でいたい』。名前も、改名したかったです。鮎喰響になりたかった」とまで発言。さらに秋元康総合プロデューサーに「改名したい」と申し出て、「いいよ」と言われたことまで明かしていた。

実際にはもちろん改名はしていないが、初めて演技した役を役名にしたのは、俳優・三國連太郎、女優・藤野涼子、河合美智子、浅香唯などの例があるが、その流れに乗る可能性もあった。

そんな平手が9月16日放送の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)で月川翔監督に脚本を「つまらない」とダメ出しして書き直させたエピソードが明かされた。

月川監督は、平手に何が引っかかっているのか聞くと「すごく的確なことを言っていた」と納得して、脚本家にその場で電話し、脚本を書き直してもらうことになった。

「つまらない」とはっきり言ったのは、物語中のあるシーンをほうふつさせた。作品内で響が大御所小説家の娘で友人となる祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)の書いた小説に同様の言葉をぶつけていたのだ。その意味でもフィクションの響と現実の平手が共鳴し合っているようにも見える。

■“オトナの価値観に振り回されない”動物園のシーンを入れた理由とは?

そうして追加されたシーンについて、月川監督はLINE LIVEの番組で動物園のシーンだと明かしている。では、その動物園を入れた意図とは何だったのか? 動物園シーンで描かれたのは、ぶっとんだヒロイン・響が高校の仲間たちと一緒に唯一、等身大の年齢らしい心からの笑顔を見せる場面。しかも、直木賞・芥川賞同時受賞という“オトナの世界では史上初の快挙”となるか否かの目前に、あえてそのシーンを入れることで“オトナの価値観に振り回されない少女の無垢な笑顔”がより強調されていた。

さらにそのシーンは、平手本人の“心の叫び”ともリンクしているように見える。つまり、平手は「自分も動物園でアルパカを見て、はしゃぐような等身大の面もある。それを周りのオトナの都合で、勝手に操り人形にされているだけ」という虚実ないまぜの訴えだったのではないだろうか。

欅坂46の『不協和音』の「僕は嫌だ」の叫びが象徴するようにオトナへの抵抗を繰り返す平手。『BestTimes』のインタビューでは「『大人になったね』とは絶対に言われたくないです」とやはりオトナという言葉には拒否反応がある様子。

だが、平手は今回は、響という役柄に心底共感して、監督ととことん話し合って納得し、満足した作品にできたようだ。

そして、編集者・花井ふみ役の北川景子との出会いも大きかったのではないだろうか。ふみ役として響を支えるだけでなく、共演シーンも多いことから平手を公私にわたり、サポート。映画メイキングで「『女優・平手友梨奈ってこんなにすごいんだよ』と早く世の中に見せたい」と語るほどだった。さらに公開初日舞台あいさつでは「感極まっちゃいました。ずっと見守ってきたから…」と平手を思って涙を流した。

“自分のために泣いてくれる人の存在”――誰もが10代の頃に要求を押しつけるオトナに失望し、そして自分もオトナになっていくことに恐怖する。

そのプロセスでどんな人と出会い、心を響かせ合うのか? それこそが成長であり、人生の醍醐味とも言えるだろう。

我を通すことがエキセントリックなのか? それとも社会に丸め込まれることがエキセントリックなのか? その狭間の葛藤、軋轢を痛快なまでに描いた映画『響 -HIBIKI-』。物語はもちろん、“女優・平手友梨奈”の才能の萌芽を見るだけでも、充分な価値があるはずだ。

※画像は映画『響 -HIBIKI-』公式サイトより

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