サザン桑田が“政治風刺辞めない”宣言!「きつい風刺をさらりとできるくらい、常に自由でなくちゃ」紅白での炎上にもめげず

リテラ

2018/10/5 15:40


 デビュー40周年を迎え、この夏は野外フェス(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018)に出演したり、ベストアルバム『海のOh, Yeah!!』をリリースしたりと精力的に活動しているサザンオールスターズ。

そんななか、桑田佳祐が「文藝春秋」2018年10月号のロングインタビューに出演。これからの曲づくりに関してこんなことを述べていた。

「六十歳を過ぎたシンガーソングライターとしては、世の中のタブーめいたことを、むしろ積極的に扱っていきたいとも思います。生きていると、「なんでこうなってしまうのか」「これを動かしているのは誰だ?」などと思うことってあるじゃないですか」

たしかに、桑田はこれまでも、コカ・コーラのキャンペーンソング「ROCK AND ROLL HERO」で対米従属を強烈に皮肉ったり、「爆笑アイランド」では小渕恵三元首相の演説をラップに盛り込んだり、鳩山由紀夫元首相の“八方美人”ぶりを皮肉ったと思われる「いいひと~Do you wanna be loved?~」、沖縄戦や米軍基地問題を歌ったと思われる「平和の琉歌」など、政治や社会問題を批判・風刺する曲をいくつも発表してきた。

さらに桑田は「文藝春秋」のなかで、こんなことも語っている。

田宮二郎と若尾文子が出演した1962年公開の映画『その夜は忘れない』のなかに、「広島もこれから立ち直ろうとしているときに、戦争だ原爆だって悲惨な話はやめてくれ」といったセリフがあることを例に出しながら、「決して何かが解決したわけじゃないのに、なんとなくタブーみたいにして、そっと触らず済ませてしまおうということって多いように思います。それで、ちゃんと見つめてこなかったツケが、東日本大震災のときにまた噴き出してきた気もする」と語っているのだ。

向き合うべき深刻な問題を議論の俎上に載せることを避け、その場しのぎで見て見ぬ振りをしてやり過ごす日本社会の風潮は確かに問題で、桑田がここで述べていることは重要な指摘だ。

しかし、「音楽に政治をもち込むな」などという言葉が飛び交ってしまうような体たらくのこの日本では、芸能人が政治や社会について意見を主張して、そういった問題を炙り出そうとするようなアクションをとることは、好ましいこととされていない。桑田自身も「文藝春秋」のなかでその認識を語っている。

「政治のゴタゴタなんかも含めて、そういうことを言い募ったりすると、ましてや表現の中に織り込んだりすれば、「なんかちょっと変わってるね」「そういうの、あんまり面白くないからさ」と言われがちですが、そうやって未解決のものを積み上げてきてしまったことが、日本の最も弱い部分になってしまっているのでは?」

実際、サザンオールスターズは社会風刺を盛り込んだ楽曲とパフォーマンスによって炎上攻撃を受けたことがある。2013年リリースのシングル「ピースとハイライト」、および、2014年のNHK紅白歌合戦におけるパフォーマンスをめぐる論争だ。

「ピースとハイライト」は、〈教科書は現代史を/やる前に時間切れ/そこが一番知りたいのに/何でそうなっちゃうの?〉〈歴史を照らし合わせて/助け合えたらいいじゃない/硬い拳を振り上げても/心開かない〉〈都合のいい大義名分(かいしゃく)で/争いを仕掛けて/裸の王様が牛耳る世は…狂気(Insane)/20世紀で懲りたはずでしょう?/燻る火種が燃え上がるだけ〉と歌い、安倍政権における右傾化や歴史修正主義者の跋扈を風刺すると同時に、近隣諸国との平和を願った楽曲だ。

●紅白での安倍批判“チョビ髭”パフォーマンスにネトウヨが「反日」攻撃

こういった風刺はライブパフォーマンスにも見られた。2013年に行われたコンサートツアーでは、「ピースとハイライト」演奏時、モニターに、世界各国のデモの様子を映した写真を流したり、安倍首相・朴槿恵大統領(当時)、習近平国家主席、オバマ大統領(当時)が肩を組んで歌っているアニメを流しており、ファンの間では話題となっていた。

そしてこれが本格的に炎上したのは、2014年のNHK紅白歌合戦で「ピースとハイライト」を歌ったときのこと。

横浜アリーナで行われている年越しライブの会場からの中継で登場したサザンだったが、その際、桑田はチョビ髭をつけて登場。その年に閣議決定された集団的自衛権の行使容認を批判していると受け取れる歌詞もあいまって、ネトウヨの怒りに火をつけたのだ。

この後、桑田は公式ホームページや自身のラジオ番組などを通して、複数回にわたって謝罪するという事態に追い込まれた。

「ピースとハイライト」をめぐる一連の出来事のなかでサザンが表現してきたことはなにも間違っていないし、謝罪などまったく必要なかった。逆に、ここで謝罪をしてしまったことは「音楽に政治をもち込むな」という風潮を強化し、また、ほかのミュージシャンの萎縮を招いてしまうことでもあり、完全な悪手であったと思うが、しかし、これによって社会風刺を封印しようという考えにいたることがなかったのは高く評価できることでもある。桑田は前掲「文藝春秋」のなかでこのようにも語っている。

「歌を通してうまく風刺できたらいい。大衆とともにあるポップスというものは、本来それくらい突っ込んだ表現をしなければつまらないものだし、きつい風刺をさらりとできるくらい、常に自由でなくちゃいけません」

サザンはこれからの音楽を通して是非とも社会風刺、問題提起をしていってもらいたい。サザンのようなベテランの大物バンドがそのような動きをすることは、中堅・若手のミュージシャンにも少なくない影響を与えるし、そうなることで、政治や社会に関する発言を行ったり、そういう曲を歌うことが「なんかちょっと変わってるね」「そういうの、あんまり面白くないからさ」と言われてしまう風潮は確実に変化していくだろう。
(編集部)

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