「一門に属さないと親方できない」規則は相撲協会の自由…外野から批判される筋合いはない


 大相撲の貴乃花親方は25日に記者会見を行い、日本相撲協会に引退届を提出したことを明かした。

貴乃花親方は、弟子の貴ノ岩が元横綱・日馬富士から暴行を受けた昨年の事件について、今年3月、協会の対応に問題があったとする告発状を内閣府に提出していたが、弟子の付け人への暴力が発覚し告発を取り下げていた。この告発状について、協会から調査を依頼された外部の弁護士の見解として、「告発状は事実無根」と結論づけられた旨を通知する書面が8月に協会から届いていたことを明かし、「認めないと親方を廃業せざるを得ないと有形無形の圧力を受けてきた」と主張した。

また、協会が7月の理事会で、すべての親方は5つある一門のいずれかに所属しなければならないと決定したことをめぐり、「私はいずれかの一門に入るための条件として、告発の内容は事実無根な理由に基づいてなされたものであると認めるようにとの要請を受け続けております」と説明。そして、「真実を曲げて、告発は事実無根だと認めることは、私にはできません」とした上で、「一方でこのままでは、私はどの一門にも属することができません。これでは貴乃花部屋に所属する力士たちは相撲を続けることが困難」になるため、引退を決意したと語った。

貴乃花の会見を受け、同日、相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)がマスコミの取材に応じ、「告発状が事実無根であることを認めないと一門には入れない、というわけではありませんし、そういったことを言って貴乃花親方に圧力をかけた事実はありません」と否定した。

協会は貴乃花親方に引退届ではなく退職届を提出するよう求めており、引退届はいまだ受理されていないため、今後の展開が注視されるところである。そんななか、すべての親方は5つある一門のいずれかに所属しなければならないとした協会の決定に対し、メディア上で複数の著名な弁護士から批判が相次いでる。

果たしてこの協会の決定は、どう捉えるべきなのか。弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏は次のように解説する。

●山岸弁護士の解説コメント

団体内部の“決まりごと”については、とやかく言えないと思います。

昔、「ある方が、ある宗教団体の役員から排除された際、役員の地位にあるかないか」が裁判で争われたことがありますが、裁判所は「『宗教の教義』が正しいかどうかについては判断しないけど、その役員の選任手続や解任手続が適法かどうかについては、役員の地位にあることが具体的な権利義務に関係するなら判断するよ」としました。要するに、「宗教の教義」が正しいかどうかは判断しませんが、手続にしたがって選任・解任したのかは判断するよ、ということです。

これを前提とすると、「現在ある5つの一門のいずれかに所属しなければ、親方を続けられないという規則」は、相撲協会内の伝統やら「しきたり」やらの話でしょうから、「宗教の教義」に似たようなものです。したがって、裁判所も判断できないようなことを“外野”がどうのこうの言うのはおかしいのではないでしょうか。

実際、私も先日、ご厚意をいただいているある部屋関係者からの招待で、初めて砂かぶり席で9月場所の初日を観てきたのですが、じっくりと観ていて、はっと気付いた、

・取り組みの直前、行事が正面の勝負審判に、周りに気づかれないように目線を送り、正面の勝負審判も周りに気づかれないように行事に「OK」のサインを送るシーン
・弓取りの際に、歩数をあわせるかのように調整しながら土俵入りしたシーン(正直、このしぐさはなんの意味か、まったく理解できませんでした)

など、一つひとつ挙げても伝統やしきたりの“かたまり”が大相撲といえると思います。

確かに、状況からすると貴乃花親方を擁護したいという国民感情が大きいところです。

しかし、「その団体の規則がおかしい」などと言い出したら、「各都道府県にある弁護士会に所属しないと弁護士活動を認めない。なお、各都道府県の弁護士会が、キミの所属を認めるかどうかは別問題だけどね」と定める弁護士ルールも、果たして正しいのか、“外野”から見ればおかしいのか、ということになりかねません。

どうも「公益法人」という点にフォーカスした意見が相次いでいますが、もう少し「建設的な意見」が出ませんかね。

例えば、貴乃花親方を中心に、親方を擁護する後援者や後援企業なんかも合わさって新しい「相撲協会」なんてのを構築・設立して、こっちのほうを盛り上げるなど、これまでのプロレス団体の歴史と同じようなことを考える方、いませんかね(プロレスと同視したことが“炎上”するなら、先に謝っておきます。でも、どっちも“興業”ですし)。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)

当記事はビジネスジャーナルの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ