声優×クリエイターが生む化学反応! 『A3!』キャラソンの音楽的魅力をアニソンライターが徹底解説

ウレぴあ総研

2018/9/26 07:00

近年、秀逸な音楽を生み出し続けているジャンル、それはスマホゲーム。『アイドルマスター』シリーズや『SHOW BY ROCK!!』『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』といったリズムゲームの有名どころは言わずもがな、所謂"メディアミックス"的に出演声優が歌うゲーム発なキャラソンの数々も大人気。

こうした楽曲の最大の聴きどころが、豪華な声優と、作詞や作編曲を担当するクリエイター陣の顔ぶれでしょう。

今回、取り上げる"イケメン役者育成ゲーム"『A3!』のキャラソンも、そうした音楽のひとつ。恥ずかしながら筆者は、ゲーム自体は未プレイなのですが、各楽曲におけるコンポーザー陣のお名前を目にした瞬間に、音源を購入していました。

春組、夏組、秋組、冬組という4つのユニットが登場する本ゲーム。各ユニットがリリースし、音楽チャートを賑わしたファーストミニアルバムからピックアップしたリードトラックに、サントラ盤も加えて、その音楽的魅力に迫ります!

■春組『Spring has come!』(from『First SPRING EP』)

春組の『Spring has come!』は、園田健太郎さんによる楽曲。

J-POPを始め、アニソンにキャラソン、声ソン、更に、近年では特撮ソングも手掛ける園田さん。そのバラエティに富んだ活動と同様に、作り出す曲の音楽性も多岐に渡りますが、本曲では、歌唱を担当する声優陣の歌声をフルに活かすかの如く、明るくもやや落ち着いたテンポのトラックを提供しています。

サウンドの肝になっているのが、跳ねるようなリズムと鍵盤の音。これが、各キャラクターの歌声に躍動感を与え、活き活きとしたエネルギーを楽曲全体に与えています。小森田実さんによるジャニーズ系の諸楽曲も思い起こさせる、とても楽しい一曲です。

"キャラソン"としての色合いが今回レビューする曲の中でも特に強く、特に曲間でのキャラクターによるポップな台詞の掛け合いは、本曲の大きな特徴となっています。

そして、"歌"に目を向けてみれば、ユニゾンの美しさが耳に残ります。合唱パートでの各声優の歌の技術がシッカリしているので、聴き応えは十分。台詞で聞かせる楽しさと、歌で聴かせる深みのバランスの良さが魅力です。

春組のメンバーを演じる白井悠介さんや西山宏太朗さんは、園田さんが音楽面をバックアップした『美男高校地球防衛部LOVE!』に出演していた経緯がありますが、そうした流れもメロディと歌がガッチリと噛み合う上で良い効果を挙げているのかもしれませんね。

■夏組『オレサマ☆夏 summer』(from『First SUMMER EP』)

こちらも作編曲を担当したコンポーザーの個性が存分に発揮された曲です。テクノでハイテンションなナンバーに定評があるヒゲドライバーさんによる本曲は、超アッパーでアゲアゲなサマーソング。

難しいことを一切考えずとも、唸るシンセサイザーがリスナーの気持ちを一気に高揚させる。そこに乗るリリックも、擬音や押韻が多用されており、とてもリズミカルなものとなっています。

異常に中毒性の高いシンセサウンドと良い意味でちょっと"軽さ"や"チャラさ"が感じられる歌詞世界との親和性は抜群で、夏という季節とユニットに相応しい一曲となっています。

他のユニットに比べると、声の高低差がある声優陣によってメンバーが編成されているので、各パートの歌い分けもおもしろく、"声優ユニット曲"が持つ魅力を存分に感じられる曲といえるでしょう。

ボケとツッコミがシッカリと分かれたやり取りや、声の個性を味わえる曲展開は、声優ソングのファンならばゲームを知らずとも思いっきり楽しめるかと思います。

ヒゲドライバーさんの特徴的な音作りと、とことん賑やかな歌の共演に思わず胸が躍ります。

■秋組『oneXone』(from『First AUTUMN EP』)

園田さんによる洗練されたポップソングの春組、ヒゲドライバーさんによる陽気なシンセ・ポップの夏組ときて、秋組の『oneXone』は、ヘヴィでメタリックな楽曲。

今回紹介する4曲の中で最もロックなサウンドを作り出したのは、R・O・Nさん。パンクロックやヘヴィメタルのエッセンスを加えた楽曲の数々でアニソンファンに支持を受けているミュージシャンで、アニメの劇伴制作も多数。また、自身のソロプロジェクトである、STEREO DIVE FOUNDATION名義で、様々なアニメ作品に主題歌を提供しています。

ロックアップローチな声ソンの作り手として、R・O・Nさんはまさに打って付けの人選といえるでしょう。

ハードで重いメロパートからメンバーが歌い上げる開放感タップリなサビへと繋げる流れや、バンド・サウンドの攻撃性を押し出した間奏パートなど、ラウドなロック・ミュージックの旨味と美しさを凝縮したような構成が、まずはお見事。

曲調に合わせて男(漢)っぽさが全面に立っているメンバーの歌声も良いです。個人的に特に印象に残ったのが、兵頭十座を演じる武内駿輔さんの低音ボイス。こうした曲にピッタリの歌声ですし、全体に硬質なイメージを与えると共に、シッカリと音のボトムを支えてくれています。

カップリングに収録されている『スーパーウルトライージーモード』と『LONER』もR・O・Nさんの提供曲。リードトラックは、また異なる印象でジックリと聴かせてくれる曲で、様々な顔を垣間見ることができます。

こちらのミニアルバムを気に入ったら、是非とも、R・O・Nさんがクリエイトする他のアニソンや声優ソングも聴いていただければと思います!

■冬組『to bloom…』(from『First WINTER EP』)

冬組が歌うリードトラックは、ゆっくりとしたテンポのバラード曲。歌詞もキャラクター性を押し出すというよりは、心理描写に踏み込んだ内面性の強いものとなっています。

作編曲の担当は、Elements Garden所属の末益涼太さん。同チームが音楽面を担当している、まねきケチャの楽曲などで、アイドルファンにもお馴染みのクリエイターです。

何はなくとも、メロディの美しさが際立つ曲で、バラードもののキャラソンの王道ともいえる堅実な作りが目を引きます。

豊永利行さんに柿原徹也さん、佐藤拓也さんというソロデビューも果たしている人気声優を有したユニットということで、歌唱力も抜群。"良いメロディ"と"良い歌声"という、これ以上ないほどにシンプルな武器で勝負している楽曲であり、それらが何よりの魅力となっています。

同時収録されている『Don’t cry…』と『Keyword』もユッタリしたテンポで歌の力を感じさせます。一方で、高遠丞(演:佐藤拓也さん)のソロ曲では、R・O・Nさんの提供曲で思いっきりロックなサウンドを聴かせてくれる……という楽曲の構成もおもしろい。

全体的に大人びた雰囲気というか、他のユニットに比べるとどこか余裕のようなものすら感じられますが、それ故に音楽を構成する各要素の魅力に向き合える作品といえます。

■emon(Tes.)『A3! OST』

ユニットのミニアルバムと並べてレビューしたいのが『A3!』のオリジナル・サウンドトラックです。

ゲーム中に使用されているインストナンバー10曲と、歌モノの楽曲をインストアレンジを17曲。計27曲を収録した作品となっています。

ゲームの劇伴に関しては、四つ打ちによるスタンダードなテクノナンバーから、ファンキーなトラック、ちょっとダークな雰囲気のある楽曲まで、ゲームのサントラに相応しく多用で、猶且つ、メロディの線がハッキリしたサウンドが揃っています。

ゲーム音楽の特性上、どうしてもループさせる必要がある為、ひとつひとつの楽曲はジングル的なショートトラックになっていますが、いずれもメロが印象的なので、サントラの短い尺で聴いても不思議と耳に残る強さがあります。

また、おもしろいのがアレンジ曲の数々で、いずれも元曲のメロディを大切にしているが故に、DTMのシンプルな音数で再現されたそれらのナンバーは、各クリエイターの個性を際立たせています。

『A3!』の音楽の魅力は、多様で豪華なクリエイター陣の顔ぶれ。このゲームの為に集結した各々の"音"を打ち込みアレンジで聴くというのもゲーム音楽の醍醐味であり、ゲームならではの音楽体験といえるでしょう。

各ユニットが送り出す魅力的な楽曲と共に、サウンドトラックにもご注目ください!

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