『相棒』『科捜研の女』、そして“最強女優”米倉涼子……テレ朝系ドラマ“高値安定”のこれだけの理由

wezzy

2018/9/18 11:15


 この7月期に放送中のドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)が残念な状況だ。第5話で4.8%という低視聴率を記録(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区/以下、同)。平均でも5%台と惨憺たる結果となり、主演の吉岡里帆はネット上で“低視聴率女優”のレッテルを貼られてしまったのだ。

フジテレビは2017年以降だけでも、小雪主演『大貧乏』(平均4.9%)、観月ありさ主演『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(平均5.3%)、真木よう子主演『セシルのもくろみ』(平均4.5%)、井上真央主演『明日の約束』(平均5.7%)、芳根京子主演『海月姫』(平均6.1%)、ディーン・フジオカ主演『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(平均6.2%)と、クールごとのワースト視聴率ドラマを連発している(深夜枠を除く)。同局が歴史に残るヒットドラマを量産していた時代は、もはやはるか昔のことなのである。

その一方で、テレビ朝日系ドラマ(以下、テレ朝系ドラマ)の視聴率の驚異的な安定感が目を引く。視聴率30%を超えるようなメガヒット作こそないものの、逆に大コケすることが少なく、イマイチの作品でもほとんどが平均視聴率は10%前後をキープしているのだ。

昨今のテレ朝系ドラマには、大きな特徴が2つある。警察官、医師、弁護士などが主人公を務める一話完結形式の作品を主軸としている点。そして、シリーズ作品が多い点である。

「一話見逃しても次回を観るのに支障のない一話完結形式は、地上波テレビが生活の中心的存在ではなくなった現代のニーズに合っているといえます。また、ヒットすればシリーズ化させやすい。それがうまくいけば、中高年層を中心とした視聴者に視聴習慣が生まれる。テレ朝は、このルーティンでドラマの安定路線を確立させていったのです」(テレビ局関係者)

出演者側にとっても、定期的な露出と収入が見込めるシリーズ化作品は魅力的なものだ。

「『半沢直樹』(TBS系)の続編を拒んだという堺雅人のように、同じ役は二度とやりたくない、続編には出たくないといった主張が通るのはひと握りの主演スターだけです。主演、助演問わずテレ朝のシリーズ作品にレギュラー出演できれば、5年、10年スパンで地上波での仕事が確保されることもある。それに、脇役であっても露出を続けていけば、他局から声がかかる可能性も高くなるわけです」(芸能プロ関係者)
3つの枠のうち2枠は固定ラインナップで固定視聴者ゲット
 そんなテレ朝系ドラマには、ゴールデンタイム、プライムタイムにおいて3つの放送枠がある。

水曜21時からの“刑事ドラマ枠”(特定の呼称はない)は、1980年代より『はぐれ刑事純情派』『はみだし刑事情熱系』『相棒』と、刑事ドラマシリーズを連綿と放送し続けている枠。

ここ3年間は、4~6月が渡瀬恒彦主演の『警視庁捜査一課9係』(渡瀬恒彦の他界により現在は『特捜9』と改題し、井ノ原快彦が主演に)、7~9月が東山紀之主演の『刑事7人』、10~3月が『相棒』という鉄板ラインナップで固定されている。

木曜20時から放送の「木曜ミステリー」枠は、タイトル通り推理色が強いドラマが放送されるが、主人公は警察官とは限らない。また、沢口靖子主演の『科捜研の女』のように、制作会社である東映の撮影所がある京都が舞台であることが多い。そして2017年からは、4~6月が内藤剛志主演の『警視庁・捜査一課長』、7~9月は上川隆也主演の『遺留捜査』、10~3月が『科捜研の女』という固定編成が続いている。

続いて21時からの「木曜ドラマ」枠は、単発もののホームドラマなどが編成されることもあるが、3本に1~2本は警察官や医師、弁護士などが主人公の一話完結ものだ。5作品がつくられた米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』のほか、天海祐希主演『緊急取調室』、沢村一樹主演『DOCTORS~最強の名医~』などのシリーズ作品などを生んだ実績があり、この4月期に放送された波瑠と鈴木京香のダブル主演による『警視庁文書捜査官』もシリーズ化を狙った企画だろう。
2つの枠でワースト視聴率作品に主演したのは、あの“連ドラの女王”
 そんなテレ朝系ドラマだが、必ずしも百発百中というわけではない。シリーズ化を狙える内容の作品でありながら、低視聴率からそれがかなわなかったものもいくつかはあるのだ。そこで、2010年代における現在までの各枠のワースト視聴率作品を並べてみよう。

▶刑事ドラマ枠(水曜21時)
『Answer~警視庁検証捜査官』 2012年4月18日~6月13日(全9回)
出演/観月ありさ、田辺誠一、五十嵐隼士、橘慶太、松重豊、片岡鶴太郎ほか
平均視聴率=9.4%

『TEAM -警視庁特別犯罪捜査本部-』2014年4月16日~6月11日(全9回)
出演/小澤征悦、田辺誠一、神尾佑、渡辺いっけい、塚本高史、西田敏行ほか
平均視聴率=9.4%

▶木曜ミステリー枠(木曜20時)
『出入禁止の女~事件記者クロガネ~』2015年1月15日~2月26日(全6回)
出演/観月ありさ、財前直見、宅間孝行、前田旺志郎、益岡徹、小林稔侍ほか
平均視聴率=6.4%

▶木曜ドラマ枠(木曜21時)
『エンゼルバンク~転職代理人』2010年1月14日~3月11日(全8回)
出演/長谷川京子、ウエンツ瑛士、村上知子、中村蒼、大島優子、生瀬勝久ほか
平均視聴率=6.1%

低視聴率の責任をすべて主演俳優に押し付けるのは酷である。企画そのものや、脚本、演出にも問題があるハズだ。裏番組に何が編成されるかにもよる。だが、それでもやはり、作品の座長ともいえる主演俳優が戦犯扱いされるのが常だ。

「『TEAM ~』の小澤征悦は、期待値を込めた抜擢だったと思います。今のテレビ界で平均9.4%というのは絶望的な数字でもないですが、続編制作に踏み切れるほどでもない。一方、『エンゼルバンク~』は、長谷川京子が結婚後、久々の主演ということでしたが、人気のピークは過ぎており単独主演は荷が重かった。いずれにしても、以後、地上波の連続ドラマにこの両者が主演として起用されることは今のところありません」(前出のテレビ関係者)

一方、上記2名以上に目立っているのが、観月ありさである。観月は、1992年に『放課後』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演以来、連続ドラマに毎年主演を続け、2010年には、「19年連続で、連続テレビドラマに主演」という記録がギネス認定された。さらに、1991年の『もう誰も愛さない』(フジテレビ系)を最後に、ゲスト出演や友情出演を除き、主役以外を演じていないという、まさに“連ドラの女王”である。

ギネス認定以後も記録の更新は続き、2012年の主演作が初のテレ朝系作品(単発ドラマは主演歴あり)である『Answer~警視庁検証捜査官』だった。ところが、平均9%台と刑事ドラマ枠にしては珍しい一桁台を記録。それでも大惨敗とはいえず、テレ朝は3年後に『出入禁止の女~事件記者クロガネ~』で彼女を再起用することになる。

しかし、この作品は平均視聴率6%台と大コケ。当然、続編制作はならなかった。

「もともと全6話と消化試合的なプログラムだったという見方もありますが、それでもこれは連ドラの女王にとって致命的な数字でした。2016年以降も記録更新は3年間続いていますが、うち2作品はBS作品ですし、2017年のフジの作品は惨敗(前述の『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』)。今では、主演作の制作が発表されるたびに“記録のためだけの主演”などとやゆされるようになってしまいました」

10月期は、2大長寿シリーズにあの高視聴率女優の新作も
 このように一部例外はあるものの、しばらくは盤石な体制が揺るぎそうにないテレ朝系ドラマ。この10月からは、“刑事ドラマ枠”が『相棒season17』、木曜ミステリーが『科捜研の女』(シーズン18)、木曜ドラマが米倉涼子主演『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』という、相変わらずの強力布陣である。

『相棒』は以前の勢いはないものの、打ち切るには惜しい安定した人気がある。『科捜研の女』に至っては日本の連続テレビドラマ史上で最も長い期間に継続して続編が制作されている怪物番組で、前シーズンも視聴率は好調だった。

そして、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』は、イメージの固定を嫌ったというテレ朝系ドラマの功労者に新たに用意された企画だ。

「『ドクターX~』同様に、高いスキルを持ちつつも型破りな主人公による痛快作のようですから、これもまず堅いでしょう。まあ、無理やりネガティブ要素を見つけるとなると、サブタイトルが難読すぎることぐらいでしょうね。“小鳥遊”と書いて”たかなし”と読む。これがむしろフックになるか、視聴者を遠ざける要因となるか……」(テレビ雑誌記者)

SNSなどでは「リーガルV」で通るだろうし、その部分では問題ナシだと思われるが、はたして結果はどうなるか?

(文/ミゾロギ・ダイスケ)

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