なぜどうでもいい些細なことが口論になるのか。人間を動かす「思念」のヒミツ

日刊SPA!

2018/9/17 15:53



いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第67回

人間の精神には思考だけでなく、思念があります。私たちはつい物事を考えることで成立させようとしがちですが、実はそれよりも普段から抱えている想い、「念」の方が現実に大きく影響しています。

念というと、触らずに物を動かしたりする「念力」など超能力的なイメージが浮かぶかもしれません。しかし、ここで取り上げているのはそういったオカルトではなく、「感謝の念」「尊敬の念」「自責の念」「慚愧の念」あるいはもっと単純に「残念」「無念」など日常的に使われる意味合いです。

私たちの行動は思考よりも前に、まず思念から始まっています。感謝の念が胸にあるから、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えます。また後悔の念があれば、いつまでもくよくよと悩んでしまいます。実際に人に「ありがとう」と伝える行動や、くよくよ悩んだりする思考はすでに結果であり、そこにアプローチしてもなかなか切り替えられません。物事を変えるには原因にアプローチせねばならず、思念こそがその原因です。

「私はこれから自分が学んできた自己啓発を仕事にします。それに繋がる仕事は決して断りません」

一年前、私は地元の神社を参拝して、そう宣言しました。これは「仕事をください」というお願いではありません。「仕事をします」という一念発起です。それから一週間後に参加した飲み会でたまたま私の話題になり、そこにいらしていた編集者に「うちで書いてくださいよ」と誘っていただいて、この日刊SPA!の連載は始まりました。

たまたま参加した飲み会でそんな展開があるとは思っておらず、私は「仕事を探してる」とは言いませんでしたし、編集者も「著者を探してます」とは言っていません。ただ私は心の中で「誘われた仕事は断らない」と決めていましたし、編集者は仕事柄、常に面白い人を探しています。そのお互いに口には出さないけれど確かに存在する想念が結びついた時に、ふと言葉が生まれて、そういう場合はトントン拍子に話が進みます。

◆「念」は周囲に伝染する

もちろん、これはポジティブなことばかりではありません。何となくむしゃくしゃしていたり、イライラしていたりすると、それが周囲に伝染します。すると些細な言葉が「売り言葉に買い言葉」になって口論に発展します。別に怪我をしたわけでもないのに、肩がぶつかっただけで喧嘩をふっかけるのは馬鹿のすることです。しかし、そんな馬鹿げた出来事が現実には溢れています。それは頭がいいとか悪いといった問題ではなく、心根の問題です。

また時には相手に恨まれる「怨念」と呼ばれるような状態もあります。そういう時は大抵、「自分はあの人に恨まれているな」と自覚があります。その罪悪感によって、私たちは萎縮してしまいます。もちろんこれが本当のことなのか、確かめる術はありません。ただ実際に恨まれているにしろ、自分だけの一人相撲にしろ、その想念によって自分の行動が歪んでしまうのは間違いありません。人は事実よりも、自らの思念に従っています。

ただ人間の心は不思議なもので、動く前や話す前から相手やその場の雰囲気、つまりお互いの思念をある程度まで読み取っています。誰でも「今日は機嫌が悪そうだからそっとしておこう」と空気を読んだことがあると思います。しかし空気を読むというレベルで終わらせるのは得策ではありません。相手に対する想念、そしてその土台となる自分の信念を把握すれば、思考レベルでは理屈が通らない人間関係を、本当の意味で理解できるようになります。

その瞬間瞬間に「思った」「感じた」だけでは、自分の信念や想念を把握したことにはなりません。内容のスケールにもよりますが、ある程度時間をおいて、「ああ、あの時自分はこう思ったのだ」と振り返るからこそ、思念に人生を変えるような影響力が生まれて自己啓発になります。それが例えば親しい者との死別といった深刻なものならば、半年や一年、あるいはもっとかかる場合もあるでしょう。だからこそ「一年、あるいは三年間は喪に服す」という文化が私たちにはあるのです。

現代人はただひたすら前を向いて、走らせ続けるように仕向けられています。しかし、その前とは一体どの方向なのでしょう。その答えはどこかの誰かや理屈で「こっちが前」と決められるのではありません。自分が生きてきた過去に作られた信念によってこそ決まります。自分にどんなことを起きたかという事実だけでなく、それについてどう思ったのかを記録する「メンタルレコーディング」によって明らかになります。私たちはもっと自分に向き合わなくてはなりません。感謝の念、尊敬の念、自責の念、慚愧の念、まずは手始めに今日自分がどんな思念を抱いたのかを振り返ってみてください。

【佐々木】

コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」

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