「MEG ザ・モンスター」古代の海の底からメガロドンが浮かんで来た

エキレビ!

2018/9/15 09:45

終わりかけの夏にギリギリ間に合うように、深海から浮かび上がって来た話題のサメ映画『MEG ザ・モンスター』。


MEGというのは、150万年以上も前に生息していたと言われる巨大ザメ「メガロドン“Megalodon”」のこと。その全長は、推定値で10メートルから20メートルくらいと言われている。映画『JAWS』に登場したたホホジロザメが8メートルという設定だったのだから、MEGはその一回りも二回りもでかい。

最初の舞台はフィリピン近海にあるマナ・ワン海洋研究所。億万長者の出資によって行われていたのはフリピン海溝の探査。これまで海底とされてきた場所の冷水層の下に、未知の温水領域があるというのだ。

特殊潜水艇が冷水層のさらに奥へ降下すると、予想通りそこには温水層がひろがっており、未知の生物や魚群が生息していた。これぞ世紀の大発見! と喜ぶのも束の間。突然あらわれた謎の巨大生物からの襲撃を受ける。言わなくてもわかりますね、MEGちゃんだ。

絶体絶命のピンチを救うのも、キャストを見ればすぐわかる。ジェイソン・ステイサム扮するレスキューダイバーのジョナスである。

ジョナスの活躍でかろうじて海溝からの救助には成功するものの、脱出の際に生じた温水の流れに乗って、温水でしか生息できないMEGも海面近くの温水エリアに浮かんできてしまう。これまでうまく分断されていた太古の巨大ザメの生息区域と人間の生息域とが、ここにきて決壊してしまったのだ。

サメ映画のストーリーをこれ以上解説しても、あまり意味はないだろう。あとはただひたすらノンストップで、喰うか喰われるか、浮かぶか沈むかの攻防が描かれる。

これまで作られてきたメガロドン映画
これまで、サメ映画は無数に作られてきたが、メガロドンそのものの脅威を描いたものは、あまり多くない。

『シャーク・ハンター“Shark Hunter”』(2002年/アメリカ)は主人公が子供の頃に両親をメガロドンに喰われたという設定の作品。しかし、映像があまりにヘボくて見るのがなかなか辛い。なにしろこの映画、海底のシーンを水中で撮っていないのだ!

『ディープ・ライジング コンクエスト“Shark Attack III : Megalodon”』(2002年/アメリカ)は、女性の救命胴衣を横取りした男が自らサメの口の中に飛び込んだり(本当)、ジェットボートで自分だけ脱出した男が自らサメの口の中に飛び込んだり(本当)、そんな珍場面ばかり切り出されてネット上で笑い者にされているような作品だ。

『ブルーサヴェージ“Hai-Alarm auf Mallorca”』(2005年/ドイツ)も主役のサメはメガロドンという設定で、DVDのパッケージに描かれているそれはたしかにメガ級だが、実際に本編に出てくるサメは水中映像と背ビレばかりで、どうしても心が沈む。

今回の『MEG ザ・モンスター』にもっとも近いのが、その名もズバリ『メガロドン“Megalodon”』(2002年/アメリカ)だろう。油田採掘のために潜水艇で海底に潜り、掘った穴から絶滅したはずのメガロドンが浮かんできてしまうという、まあほとんど同じような話。多用しすぎるCGIの技術レベルがもう少しマシだったなら、それなりに見られる作品になったはずだ。

というわけで、ふたたび『MEG ザ・モンスター』の話に戻るが、この映画の原作はスティーブ・オルテンの小説『メガロドン“Meg: A Novel of Deep Terror”』だ。2001年に日本で文庫化されたときにに読んで、非常に興奮したのを覚えている。なにせ、その本の帯に「スピルバーグが映画化権を獲得!」なんてデカデカと書いてあったのだ。

ところが、待てど暮らせど映画化されない。いつの間にスピルバーグの映画化権を獲得はなかったことになり、その後「ディズニーが100万ドルで映画化権を取得」とか、監督候補にヤン・デ・ボンが、いやいやイーライ・ロスだと二転三転していた。

いい加減しびれを切らせていたところに浮かび上がってきたのが、ジョン・タートルトーブ監督による今作『MEG ザ・モンスター』だったというわけだ(改題されての原作小説はこちら)。

ステイサムにも負けじと力泳するピピン
いま、ハリウッドでは中国系の企業や投資家たちがかなりの割合で食い込んできており、この映画も中国の投資家からの資金援助を受けて制作されている。

それだけが理由ではないだろうが、最初の舞台となるマナ・ワン海洋研究所を取り仕切るジャン博士を演じるウィンストン・チャオは台湾、その娘の科学者スーインを演じたリー・ビンビンは中国、潜水艦オペレーターのトシはテレビシリーズ『HEROES』で一躍人気スターとなったマシ・オカは日本(彼は日系アメリカ人ではなく、国籍は日本)というように、アジア系が多くを占めている。

とはいえ、やはりこの映画の観客が見たいのは、巨大なMEGか、ジェイソン・ステイサムのどちらかだろう。

ステイサムは俳優になる前は飛び込み競技の選手で、1990年のコモンウェルズゲームズ(イギリス連邦に属する国や地域が参加する4年に一度の総合競技大会)でイングランド代表に選ばれるほどだった。本作でも、よほど危険をともなうシーン以外は、自ら泳いで見せている。

吹き替えなしのステイサムの見事な泳ぎっぷりもいいが、それに匹敵する力泳を見せる脇役にも注目しておきたい。ある場面に登場するヨークシャーテリヤの「ピピン」だ。メガロドンどころか、普通サイズのサメにすら丸呑みされてしまいそうなピピンが、必死に泳いで逃げようとする様子には、誰もが手に汗を握るに違いない。

ちなみに、この「ピピン“Pippin”」という名前は、『JAWS』に登場した黒いラブラドールレトリーバー「ピピット“Pippit”」に由来する。
(とみさわ昭仁)

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