「半分、青い。」143話。2週早く最終回を迎えたのかと思った

エキレビ!

2018/9/15 08:30

連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月~土 朝8時~、BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~)
第24週「風を知りたい!」第143回 9月14日(金)放送より
脚本:北川悦吏子 演出:二見大輔


半分、青い。 メモリアルブック

143話はこんな話
晴(松雪泰子)の見舞いにカンちゃん(山崎莉里那)を伴って訪れた鈴愛(永野芽郁)。押入れからイースター島のお土産・モアイ像(健人の土産)の置物を見つけて、あることを思いつく。

鈴愛と晴
朝ドラを長らく見ていて、途中でこれは最終回かと思うことは何度となくある。
143話は、最終回かと思ったシリーズのひとつである。
2週間分、計算を間違えたのかなと思えるほど、前半のメッセージを改めて噛み締めるような話だった。
追って見ていこう。

なかなかカンちゃんをお見舞いに連れてこなかった鈴愛だがやっと連れて来た。
子どもがいると場が和む。晴も元気になった気がする。

最初は5年生存率7割と言われていたが、5割に下がってしょげている晴(「おはよう日本 関東版」の高瀬アナも心配していた)に「おかあちゃんは絶対生きる」と力強く断言する鈴愛。「死なない」ではなく「生きる」と言うところが良い。

病気になって死について考えるようになった晴は、日常のあらゆることが幸せに思えてきた。それを彼女は「幸せ病」だと言う。
ふいに何かを失うと世界が変わって見えるもの。驚くほどモノの捉え方ががらりと変わる。
健康を失った晴は、9歳のとき片耳が聞こえなくなった鈴愛のことを改めて理解した。
半分だけ雨が聴こえない。それを「聴こえない」のではなく「晴れている」(青空)と見方を変えた鈴愛。
「半分、青い。」は鈴愛にとって、世界を変える魔法の言葉だったとしみじみ思えてくる。
降りしきる雨を蹴散らすように鈴愛は七転八倒、素っ頓狂な言動を繰り返して生きてきたのだと。

「言いよらした」と2回続ける晴。岐阜弁の柔らかさが、松雪泰子の口調で強く印象に残る。
余談だが、現実世界では豚コレラウイルスの不安が広がっていると報道されている岐阜。がんばれ、岐阜。

晴と鈴愛の素敵な語り合いの後ろでゆらゆら揺れる洗濯物。白いものが中心に干してあり清々しい。
まるで日常の幸せそのものだ。

洗濯物と扇風機
142話で律(佐藤健)はスモークマシーンで風を可視化していたが、洗濯物の揺れによって風が可視化されている。いつも朝ドラは、庭の草木をかすかに揺らしているのだが、洗濯物の揺れは効果的だった。風及び、
人物の感情の揺れも表せる。

さらに今回、効果的だったのは扇風機。扇風機を置いていることで、長台詞を話している晴の髪が揺れる。
スタジオ撮影の朝ドラのベタっとした画面は、北川悦吏子のふわっとした台詞やシチュエーションにはどうも合わないのを常々感じていて、それを57話のレビューで私は指摘した。
あれから90話近く進み、扇風機(&洗濯物)によって、かけがえのない生を噛みしめる究極の良いシーンをより良いシーンに見せることに成功した143話。これまでの朝ドラにない北川悦吏子の特異な世界と格闘した143回分の試行錯誤の成果といえるだろう。

白い洗濯物は、レフ効果もあって、ベタっとした背景に柔らかい光を作り出している。
すばらしい、すばらしい、これだ、ずっと不足していたのは。
それをチーフでもセカンドでもサードでもない、突如登板した二見大輔というディレクターが実現した(もちろんチーフのプランなどもあると思う)。
わろてんか」の保坂慶太に次いで、朝ドラでいい才能みつけた。
こういう才能を伸ばしてください、私は才能に受信料を払いたい。

最後の鈴愛の「これや!」という堤幸彦演出「金田一少年の事件簿」的なカット割もうまい。

津曲と律
さりげなく、金田一少年の事件簿的カット割に呼応している部分は、律が四日間お風呂に入ってなくて、頭ぐしゃぐしゃにして扇風機の“渦”と格闘しているところ。金田一耕助的だった。佐藤健の金田一耕助も見たくなった。

津曲(有田哲平)と律が酒を飲みながら語り合う。離婚した妻の元に息子がいる者同士。
津曲は元嫁(元の会社で出世してるらしい)に未練のようなものがあるらしい。律は「未練とか好きとかそういうこととは違うけどがんばったのにうまくいかなかったという思いは強い」と言う。
ああ、また一部で反感買いそうな台詞・・・。相手に想いはなくて、自分ががんばったことが主になる、いわば利己主義・・・。自己愛が強いとも言える。
それを、風はいいなあ「ただ風だから」と、かっこいい台詞で纏めてしまう律(というか作者)。
でも、わからなくもない。風のように、川のように、ただ流れるままに思うままに生きていきたいという気持ち。
律や鈴愛の流れゆく先はどこ・・・。
(木俣冬)

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