キスとも手をつなぐとも違う、ふたりだけの会話【写真家・飯田エリカインタビュー】

Glitty

2018/9/15 16:30


恋人がいるとか、結婚しているとか、そういうことは関係なく恋をすることだってある。

映画『スウィート・ビター・キャンディ』の撮影現場から、本作でスチール撮影をしている飯田エリカさんに話を聞いた。

魅きつけられたのは目の表情

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今回の取材は、映画『スウィート・ビター・キャンディ』の撮影現場と東京でつないだ電話でおこなわれた。

後ろから、作業をしているスタッフの声が聞こえてくる。

──いま、飯田さんが恋をしてる対象はいますか?

「いまスチール撮影を担当している映画『スウィート・ビター・キャンディ』の主演、小川あんさんです」

──すごい、そうなんだ。どんなところが好きなんですか?

「かわいいのはもちろんですけど、目の表情がとくに。小川さんが演じる『サナエ』は、思春期まっただなかの役どころなんですが、思春期ならではの機嫌が悪い目をそのくりっとした目でするときは、とても印象的です。接していても、読み取りきれない何かを内側に抱えているところに魅きつけられていますね」

電話越しに、誰かの笑い声が聞こえてくる。

じつは小川さんが隣にいることを、照れた声で教えてくれた。

初めての涙を目撃して、恋に落ちた

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──「恋に落ちた」と分かる瞬間があったんですか?

「昨日、初めての光景に出会いました。小川さんがカットがかかったあとも、『サナエ』のままでいて、泣いているのを見たんです。俳優が本番のあとも役のままでいるのを見たのは初めてでした」

飯田さんが撮影した小川さんからは、薄いガラスに包まれたような、素っぽいけれどここにいないような距離が感じられる。

大好きと言ってもらえた

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──小川さんとの印象的なやりとりはありますか?

「私の写真を、『いままで撮られてきた写真と違う、大好き』と言ってもらえたことがすごくうれしかった。これまで写真に撮られた自分を好きだと思えたことが少なかった、と話す彼女にそう言ってもらえたのは、しあわせな瞬間でした」

──じゃあ、いま小川さんとは両思い状態なんですね。

「うん、そうかもしれません。写真を撮る、撮られるという関係で両思いです」

何かを確かめるように言う飯田さんの言葉が印象的だ。

自分にブレーキをかけないで相手に向き合う

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──いままで被写体に失恋したことってあるんですか?

「ありますね。写真は恋愛に似ていて、欲目がでると危険だなって思います。

被写体の女の子のなかには、芸能の仕事をしているから撮られているだけで、本当は写真を撮られたくないという子も稀にいるんです。そんなときは被写体の気持ちが追いついていなくても、その空気に負けないで、美しいと思う被写体をちゃんと見て、誠実に撮ろうと心がけています。

たとえうまくいかなくても、自分に余計なブレーキをかけないで、相手に向き合うことで乗り越えられるから。恋愛としては実らないからこそ、写真に撮っているところがあります」

キスとも手をつなぐとも違う、ふたりだけの会話

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──小川さんが恋している相手なら、「撮影」はふたりにとってどういう意味を持ちますか?

「撮影は、自分と相手以外をシャットアウトして、ふたりっきりになることができる。私はもともと大切な女の子がいて、そのときのその子を残したくて写真を撮り始めました。

『私にはこう見えているよ』という視点を相手に見せてあげることができるから、私にとって愛情を示すのにいちばんいい形です。キスとも手をつなぐとも違う、ふたりだけの世界での会話みたいなものなんです」

絶対に、相手から何かを勝手に奪い去って逃げることはしない。

そういう飯田さんの切実さが伝わったからこそ、小川さんに「大好きな写真だ」と言わしめたのだろう。

飯田エリカさんが撮った小川さんの写真は、まるでラブレターみたいだった。

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飯田エリカ


1991年東京都調布市出身。自らの少女時代の記憶をもとに"少女写真"という表現を追い求め作品を制作。主な仕事としてアイドルやモデル、女優、声優など女性のポートレートを中心に雑誌・映画・ドラマ関係の撮影をしている。 最近では山戸結希監督新作短篇『玉城テ ィナは夢想する』の写真撮影を担当し、写真集『渇望』と映像に合わせて収められて いる。けやき坂46主演ドラマ『Re:Mind』のメインスチールも務める。

[映画『スウィート・ビター・キャンディ』について]

長編映画初主演・小川あん、実力派俳優・石田法嗣、ボイメン・田中俊介の出演。脚本家・小寺和久の参加。

東京国際映画祭に出品された『太陽を掴め』で劇場長編デビューをした中村祐太郎監督が、2016年に名古屋市都市センターの助成により制作された『アーリー・サマー』と地続きの世界観で描く、原点回帰の直球勝負。

現在、クラウドファンディングサイト「MotionGallery」で資金をファンディング中

撮影/飯田エリカ 取材・文/出川光

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