【週刊クルマのミライ】スバル・フォレスターに初採用された「e-BOXER」の横展開に期待大

clicccar

2018/9/15 11:03


スバル・フォレスターがフルモデルチェンジを発表したのは2018年6月ですが、初期受注で4割を占めるという新パワートレイン「e-BOXER」を積むアドバンス・グレードの発売が始まったのが9月14日。というわけで、過去にクローズドコースでプロトタイプに試乗したことのあった2.0リッターガソリン直噴エンジン+小型モーターで構成されるスバル独自のハイブリッドシステムの走りを公道で味わうことができました。

先代インプレッサ系に2.0リッターハイブリッドを用意していたスバル、「e-BOXER」と命名された新システムは、その正常進化版といえるもの。モーターの基本構造はそのままですが、エンジンは直噴化していますし、バッテリーもリチウムイオン電池になっています。

とはいえ、モーターの最高出力は10kWですから、電動車両という雰囲気はありません。逆に、モーターの存在感を消しつつ、走り出しや中間加速などエンジンの苦手な領域をモーターのトルクが巧みにカバーするといった仕上がり。ある意味で忍モーターといえるでしょう。

「e-BOXER」というアルファベットではモーターを示す”e”に対して水平エンジンを示す”BOXER”の文字比率が1:5となっていますが、たしかにパワートレインにおけるモーターとエンジンの存在感はそういったイメージかもしれません。あくまでもエンジンが主役でモーターはアシストといえるでしょう。もっとも、この表現を聞くとちょっと古いタイプのハイブリッドカーを思い浮かべてしまいますが、スバルのe-BOXERは、ハイブリッドとしてアピールはしていません。あくまでも、ハイブリッド技術を使って、ボクサーエンジンの新しい一面を引き出そうという新世代パワーユニットといえます。

さて、新型フォレスターは2.5リッターエンジン車を中心のグレード構成としていますが、なぜ2.0リッターエンジンのe-BOXERを積むアドバンス・グレードを用意したのでしょうか。純粋にコストを考えれば、スバルの水平対向エンジンは排気量によるコスト差はほとんどありませんから、2.5リッター直噴エンジンにモーターを組み合わせるという選択も考えられたはずです。

しかし、その点についてフォレスターの商品企画を取りまとめたプロジェクトゼネラルマネージャーの布目智之氏にうかがうと以外な答えが返ってきました。

いわく「フォレスターのお客様には2.0リッターを求める方もいらっしゃいます」という。しかし、アドバンス・グレードは装備の違いがあるとはいえ、新型フォレスターでは最上級グレード(もっとも高価な設定)となっています。フォレスターに2.0リッターを求める声があるというのは理解できますが、その回答が最上級グレードというのは素直に納得できません。むしろ、価格やグレードの立ち位置からすると、e-BOXERは従来の2.0リッターターボの後継といえそうです。

しかしながら、公道で試してみたアドバンス(e-BOXER)の走りは、ターボの代わりになるほどのインパクトはありませんでした。たしかにゼロ発進での力強さや、高速道路で追従クルーズコントロールを利用しているときの再加速のスムースさはモーターのおかげといえるのでしょうが、あえてコストをかけて2.5リッター車より100kg以上も重いグレードを「2.0リッターにこだわるユーザー向けに」用意する意義は感じられなかったのです。逆にいえば、それだけ2.5リッター車の仕上がりが素晴らしかったということです。

新型フォレスターのトピックスといえる顔認証システムを搭載しているのがアドバンスだけなので、その点においてアドバンス・グレードをオススメするという面があるのは事実ですし、そうした装備差もあって売れ筋グレードになっているのでしょうが、純粋にパワートレインを軸とした走りでいえば、2.5リッター車を選びたいというのが、第一印象なのです。もっとも電動アシストによるジェントルな乗り味がe-BOXERを選ぶ理由になるという評価も否定するものではありません。

スバルのラインナップを忘れて、フォレスターだけでいえば、e-BOXERは2.5リッターエンジンと組み合わせてほしいというのが正直な感想。そうであれば、標準グレードともしっかり差別化できますし、モーターアシストにより上質な乗り味が、さらに高まるであろうと感じるからです。ただ、そうするとフラッグシップであるレガシィ・アウトバックに対して、フォレスターが上を行き過ぎてしまうというキライがあるのも事実。単独車種だけでは決められない話なのでしょうか。

ところで、フォレスターに初搭載されたe-BOXERは、スバルのラインナップで横展開することが発表されています。既報の通り、まずはSUBARU XVにe-BOXERを搭載したアドバンス・グレードが追加されます。SUBARU XVは1.6リッター/2.0リッターのパワートレインですから、そこに2.0リッターエンジン+モーターという組み合わせが、最上級グレードとして登場するのは自然な流れ。そして、フォレスターより100kg以上は軽量なSUBARU XVでは、モーターアシストならではのスムースネスや力強さがさらに味わえることでしょう。

●スバル・フォレスター「アドバンス」 主要スペック
車両型式:5AA-SKE
全長:4625mm
全幅:1815mm
全高:1730mm(ルーフレール装着車)
ホイールベース:2670mm
車両重量:1660kg
乗車定員:5名
エンジン型式:FB20
エンジン形式:水平対向4気筒ガソリン直噴
総排気量:1995cc
最高出力:107kW(145PS)/6000rpm
最大トルク:188Nm(19.2kg-m)/4000rpm
変速装置:CVT
モーター型式:MA1
モーター形式:交流同期電動機
モーター最高出力:10kW (13.6PS)
モーター最大トルク:65Nm(6.6kg-m)
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
燃料消費率:18.6km/L (JC08モード)/14.0km/L(WLTCモード)
タイヤサイズ:225/55R18(サマータイヤ)
メーカー希望小売価格(税込):3,099,600円

(山本晋也)

あなたにおすすめ