『食べる女』壇蜜インタビュー 挑んだのはヒールでピクニックに行く特殊な母親役

AbemaTIMES

2018/9/15 10:05


 9月21日より公開される映画『食べる女』(配給:東映)に壇蜜が出演。<食>と<性>をテーマに“自分を味わいつくす”ことの大切さを、年齢・職業・価値観も様々な8人の女たちの日常を通して描いた同作は、壇蜜のほか、小泉今日子、沢尻エリカ、前田敦子、広瀬アリス、山田優、シャーロット・ケイト・フォックス、鈴木京香といった豪華女優陣が共演することでも注目を集めている。そんななか、壇蜜が演じるのは耳のパーツモデルをする二児の母・ツヤコ。彼女はピクニックにもヒールで出かけるような少し変わった母親だ。一筋縄ではいかないツヤコ役に壇蜜はどのような思いでのぞんだのか。現場での子どもたちとのエピソードから自身の母親との関係まで話を聞いてきた。

壇蜜が演じたツヤコは “ヒールでピクニックに行く母親”
ーー脚本を読んだとき、どのように感じましたか?

それぞれがそれぞれの生活の中でちょっとだけ良くなっている、ちょっとだけ先が見えた姿っていうのが描かれている。ハッピーエンドとはとても言い切れないのだけども、ちょっとだけ良くなった先を見せられて、ワクワクしました。

ーー壇蜜さんといえば“お姉さん”な役柄の印象が強いですが、今回は母親役です。今回のオファーを受けたとき、どのように感じましたか?

37歳ですからね。以前もファンタジー大河なるドラマで母親的な役をやったのですが、年齢も年齢なのでこういう役が来てもいいのかな、と思いました。これくらいの歳の子(小学生)がいるってイメージされることは自然かなと。ただ、衣装がお母さんっぽくない、やりたいことも子育ても着たいものも諦めてない感じの人だったので(一般的な「母親」ではなかった)。

ーーヒールを履いてピクニックに行かれていましたね。

そう。どこに行く気なのって(笑)。土にメリってなるんだろうなぁと、それでもいい人なんだろうなぁと。そこに、わたしである意味があるのかなと思いました。

ーーピクニックのシーンは丘のような場所で撮影されていたと思うんですが、実際にめり込んだり?

めり込みはしなかったんですけど、石段の間にヒールがはさまってゴリッとはしましたね(笑)。

ーーツヤコはどんな人だと感じましたか?

子ども達がとても素直で優しい、そしてちょっとしっかり者であるという描写が多かったので、そういうとこのお母さんって実は結構頼りなかったりするのかもなと思いました。

ーーそれはご自身の周りを見て感じたこともありますか?

うちが真逆で、母がバリキャリの走りだったので。わたし自身はキャリアウーマンの子どもでしたから、ちょっと甘えたところもありました。なので、あーこれ逆のパターンだなって思いました。

ーー別れた旦那さんをピクニックに誘うシーンには狂気を感じました。壇蜜さんはどういう解釈であのシーンを演じましたか?

お父さんと会うだけなのに、作っているものとか着ているものとかおめかししていて、しっかりした準備がされている。かと思えば、お父さんは異国の女性とねんごろになっていて。おまけにあれ、描写の中では、お父さんはその人の女物のサンダルを履いて(誘いに来た元妻の)対応するようなアバウトな人なんですね。アバウトな人のところにきっちりした人が補正させに行くように、「もう一回わたしのところできっちり夫婦しませんか」とツヤコは思っていたのじゃないかなと思います。きっちりした考えの人の中ではそういうこともあるんじゃないかと。ツヤコは隙がないんですよ。そういうところがお父さんはしんどかったんじゃないのかなって思います。

ーー子どもたちにとって、あのピクニックはトラウマ的な忘れられない思い出になるでしょうね(笑)。壇蜜さんは子ども時代のお母さんとの印象的な思い出ってありますか?

うちの母は普段からバラエティ番組とか見るのが好きなんですけど、粉やどろんこの中に落とされたりするシーンですごい爆笑していて。母の笑いのツボがそこなんだ……って思ったときは衝撃的でしたね。「ウルトラクイズ」とかでバーンってなるとことか。母が爆笑するんですよ。母の笑いの部分って知らない精神世界じゃないですか。

ーーバリキャリだけど無邪気でギャップのあるお母さんですね!自分が年々母親に似てきたな、と思うところはありますか?

中高時代にお弁当を作ってもらっていたんですけど、いざ自分でお弁当を作るようになったら、詰め方が母とそっくりだったんです。あ、この構図どっかで見たって。余ったとこにイカのフリット入れるんだよ。これ、お母さんじゃんって(笑)。潜在的に同じパズルを作っていたみたいな。梅干しも種抜いて、真ん中じゃなくてはじっこに入れて、銀紙に入れてめり込ませる。白飯を(梅干しの色がつかないように)死守することに何の得があるのかわからないんですけど、母のそういうところとか似ちゃってんなぁと思います。

ーー子どもたちとの共演はどうでしたか?

りゅうじはすぐどっかに行っちゃうし、みどりは大人しい聡明な感じの子でした。役でもしっかりしたお姉ちゃんが弟を守るといった関係だったのですが、それとダブっていましたね。実際にりゅうじは5歳ですから撮影が長くなっちゃうと、どうしても電池切れたりしんどくなったりして、そういう時にわたしとみどりでなんとかつなぐっていうのが普通になっていてうれしかったです。ゴジラを描いてあげたりとか、みどりがいなくなったりゅうじを捕まえに行ったりとか(笑)。

ーー監督から特別な演技指導はありましたか?

比較的自由にはさせていただいていたんですけど、やっぱりみどりとりゅうじのお母さんですから、演技の中でりゅうじがちょっとでも行儀が悪くなりそうな予感がしたら、すぐに「それはダメよ」ってガードしてあげられるような仕草をしてくださいと言われました。例えば、りゅうじが手も洗わずにサンドイッチや唐揚げを食べようと手を伸ばしたら、「ちょっと待って」って言うように、さりげなく手を拭いてあげるとか。息子に対してマナーは厳しいんだけど、最終的にはツメが甘いお母さんっていう。拭いてあげちゃう(笑)。本来だったら「手を洗ってきなさい」「自分でやりなさい」って言うべきなんでしょうけど。そこが大事だと言われました。

ペットに癒される日々 ナマズの「生きることをサボっているような感じが好き」
ーーツヤコに共感する部分はありますか?

彼女が拠り所にしているのは子ども二人なんですけど、わたしも甘えて拠り所にしているのは自分のペットでして。もちろん子どもとペットは一緒にしてはいけないんですが、自分よりも守らなきゃいけない存在なのに、守られてるなぁと思うときがあります。そこは自分も少し共通しているのかな、と思います。家に生き物がいなかったら、自分の中で風通しが悪くなっちゃう気がするので、そこは子どもに助けられているツヤコの構図とちょっと似ているかもしれません。

ーーどんなペットをいつ頃から飼われているんですか?

5、6年前になるんですけど、一人暮らしをした頃から飼っていて、猫とナマズです。やっぱり生き物が家にいてほしいと純粋に思うようになりましたね。当時は自分以外の人といっしょに暮らすことは考えにくかったので。そんなときに、人間以外のものが家の中にいるのってどうかなと思って。そしたら思いのほか、自分の暮らしや精神状態とマッチしていたので、猫に助けられているという感覚が生まれますね。

ーーナマズにも助けられている?

そうですね。ナマズ同士が縄張り争いでどんぱちやってても、「ナマズどうした~」ってなってる自分が無駄じゃない気がしますね。喧嘩して傷ついた方を収納する水槽を買うために夜ドンキホーテに走っていく自分が(笑)。確実に自分をリセットさせてくれる手段だと思っています。やっぱりタレントとか女優の仕事をしていると、現実の世界から離されたり、「代わりはいくらでもいるんだよ」って気分になったりして、自分と現実をつなげる手段を見失うときがあるんですね。何が現実なんだろって。でも、そう悩んじゃったときに自分の予想のつかない、手に負えないものたちがいると、「あ、そうだペットがいる!これが現実だ!よかった」と思えます。

ーーなぜナマズなんですか?

前好きだった人が「ナマズいいよね」って言っていたんです。そのときは「いいかな~?」って思っていたんですが、あのナマズのヒゲ生えた感じとか、笑っているようなどこも見ていないような顔しているところが、本人たちは決してそんなことないと思うんですけど、生きることをサボっているような感じがして好きです。「またサボってる~」って(笑)。

ーー何匹いるんですか?

4匹です。その中で同じ水槽の中にいた2匹が仲悪かったみたいで、どんぱちやってて1匹ボロボロになってて。朝起きたら。なんとかたらいに入れて様子見てたんですけど、弱ってきちゃったんで、夜、仕事終わったあとにドンキに行って「水槽……水槽ください」って(笑)。

ーーでは最後に「食べる女」にかけて。暑い日が続きますが、どんな食べ物で夏を乗り切っていますか?元気が出る食べ物などあれば教えてください!

元気が出るに焦点を置くと……「スタミナ料理食べない方」っていうのをやっています。

ーー逆にですか(笑)。

いいことないんですよ。胃もたれするし。ずーっと(胃に)いるんですよ、スタミナが。スタミナを体に閉じ込めて何も幸せなことはないので、すぐにエネルギーに変わるものを摂取した方が賢いなと。カルビは元気になってから。(笑)今は冷房が悪いものじゃない文化になってきましたから、できるだけ冷房に頼りながら熱いものをかっくらうと。わたし的には鍋焼きうどんのポテンシャルが気になっていますね。夏場になってみんなが「冷やしちゃダメ!」「もっとバランス良く!」「塩と水をとって!」とか言いますけど、全部聞いていたら血圧が上がっちゃう。自分が欲しいものはわかるので、そこに惑わされない。「これは体に悪いから」とか「ここで炭水化物を摂ったらいけないような気がする」とか言っている人は絶滅します(笑)。今は夏に勝てるかどうかの瀬戸際なので自分に正直に食べたい物を食べています。

壇蜜/米坂ツヤコ プロフィール

1980年12月3日生まれ、秋田県出身。多彩な経歴を経た後、グラビアモデルとして芸能活動をはじめ、現在はバラエティ、情報番組などへのテレビ出演からラジオや雑誌などでの執筆活動までも行う。女優としても幅広いジャンルで活躍し、「アラサーちゃん 無修正」(14),「ホリデイラブ」(18)、などのテレビドラマや、『サンブンノイチ』(14)、『関ヶ原』(17)、『星めぐりの町』(18)などの映画作品に出演する。

写真:You Ishii

テキスト:堤茜子

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