SHIN 1年前の自分を超えたツアー初日、カッコよく在ることから解放されたからこそ見えたボーカリスト像

SPICE

2018/9/14 21:00

SHIN LIVE TOUR 2018“on my way with innocent to「U」”
2018.9.4 恵比寿LIQUIDROOM


この日、目の前に現れたSHINは、1年前の彼の姿からは想像すらできないほど段違いに肩の力が抜けて、自然体になっていた。ステージでの歌、パフォーマンス、MC、いまのSHINからは、過去の自分をちゃんと認めた上で、自分がいま信じる音楽にかける情熱を熱く語り、その思いをみんなと共有して、もう一度一緒に夢を叶えようという熱いエネルギーを猛烈に感じる。そんな彼の核にある“自分が信じたもの”を貫き、パッション溢れる人間性が浮き彫りになればなるほど、SHINがソロをスタートさせたとき、なぜこのようなエモーショナルなギターロックになったのかということにも納得がいった。だからこそ、SHINのソロの音楽性に疑問を感じた人にも、今回のツアーはぜひとも見てもらいたいと痛切に思う。

1年前、ソロ初の全国ツアー『SHIN LIVE TOUR 2017“Good Morning Dreamer”』を開幕させた東京・恵比寿LIQUIDROOMに、自身の誕生日でもある9月4日、再び戻ってきた。全国ツアー『SHIN LIVE TOUR 2018“on my way with innocent to「U」”』開幕日となったこの日に向けて、SHINは自身のツイッターを通して「チケット、SOLDまであと◯枚です」と日々訴え続けた。ViViD時代の彼からは想像できない行動について、「あれ、熱かったよね」とライブ中にサポートメンバ-にもいじられていたが、1年前の自分を超えるためにも今回彼は自らSOLDという壁をクリアすることにこだわったのだろう。結果、チケットは完売。今年のリキッドはフロアの左右をギリギリまで使い、最後尾にスポットライトを並べる場所を特設するなど、舞台作りも去年から格段にスケールアップしたものになっていた。
SHIN 2018.9.4
SHIN 2018.9.4

ライブが幕開けると、SHINは黒いシンプルなスーツ、サラサラの黒髪姿で登場。見た目からすでに自然体。さらっとしているからこそ、逆にSHINが持つ大人っぽさ、しなやかさ、色気が匂い立って見える。この日初めてSHINがギターを構え、始まった「jack the ripper」は1st アルバム『Good Morning Dreamer』収録曲。視界いっぱいに広がるオーディエンスの拳。そのなかで、切れ味の鋭いバンドサウンドはデッドヒート。ギターを弾きながらでも、いまのSHINは変に気張りすぎることなく、楽しもうという気持ちでステージに立っているのが伝わってくる。不思議なことに、それだけで同じ曲をやっても1年前とは音の抜け感、スケール感、開放感が違って聴こえるのだ。
SHIN 2018.9.4
SHIN 2018.9.4

そのことを証明するかのように、この歌でSHINはピークを何度も作り、フロアを華やかに盛り上げてみせた。彼がなぜそのように変われたのか。「これまではカッコよくいなきゃ、カッコよく歌わなきゃって僕は緊張してたんですよ。でも今年はそうじゃなくて、目の前にいる人に世界中で一番幸せになって帰ってもらおうという目標を掲げてライブをやってたんですけど。そうしたら、すごいライブが楽しくなってきたんです」とMCを通して、ファンにその理由を打ち明けた。そうして、緊張せずに自然体でステージに立てるようになったからこそ、彼は自身の名前の由来となったマンガ『NANA』の映画の主題歌「GLAMOROUS SKY」をカバーしたのだと思った。この曲ではSHINが持つ中性的なフェミニンな部分が炸裂。1年前の彼は封印していた甘い声と、滑らかなファルセットが広がると、場内に艶っぽさが溢れていった。

そうして「いまの僕の気持ちをのせた新曲です」という曲紹介から、新アルバム『on my way with innocent to「U」』のリード曲「on my way with innocent to「U」」をプレイすると、場内は開放的な空気に包まれ、SHINは聴き手に向かってまっすぐに開かれたメッセージを伝えていった。
SHIN 2018.9.4
SHIN 2018.9.4

そこから中盤では、新アルバムの曲を次々と披露していき、ライブはあっという間に後半戦へ。「rose」(ANNA TSUCHIYA inspi‘ NANA (BLACK STONES))のカバーで、再びフロアを熱狂させ、その勢いのまま突入した「Miss Lily」では、SHINが「3、2、1、ぶん回せー!!」と叫んで、フロアが一斉にタオルを回すという、これまた1年前にはなかった楽しい景色を作ってみせた。それを見て「おまえら、いい景色だな」といって微笑みをうかべるSHIN。そうして「リキッドを満杯にしてみんなで歌いたいという気持ちで作った」という曲紹介に続いて、「this is our way」をパフォーマンスすると、オーディエンスの歌声に重ねてSHINがハモりを入れ、美しい大合唱が響き渡るなか、場内は次第にいままでのSHINのライブでは到達できなかった多幸感に包まれていった。
SHIN 2018.9.4
SHIN 2018.9.4

アンコールに呼ばれ再びステージに現れると、「1年前、ここで大きな目標として“日本武道館にみんなを連れて行く”って言ったんだけど。肩に力が入ってたね(笑)」と冷静に1年前の自分を分析したあと、「それよりもいまは明確な目標があります。一人のボーカリスト・SHINとしてEX THEATERに立ちたい」とファンに伝えた。「今日リキッドがSOLDしたらこの宣言をしようと思ってました。来年は次の景色にみんなを連れて行きたい。まだ会場はとってないけど、事務所の人が絶対とってくれるはずなんで(笑)、来年のツアーファイナルはTSUTAYA O-EAST目指します」と力強く宣言。これからは一歩一歩、みんなと一緒に着実に進んでいきたいと話すSHIN。「そうして、O-EASTがうまったらEX THEATERに帰りましょう。だから、みんな、これからもついてきてくれよ!!」と叫んだ。このあと、サプライズでバンドの演奏に合わせてみんながバースデーソングを歌いだすと、ステージにはSHINの誕生日を祝うケーキが運ばれてきた。ケーキのロウソクを「ボーカリストだから肺活量には自信がある!」と言って、SHINが一息で吹き消したあとは「これ、恒例行事にするから」と、今後どんなに大きな会場でライブをやるようになっても毎年誕生日はこのリキッドでライブをやることを宣言した。
SHIN 2018.9.4
SHIN 2018.9.4

肩肘張りながら、“カッコいい自分でいなきゃ”というものにとらわれながらも葛藤や孤独を曝け出した昨年2017年の9月4日。そこから自然体になり、みんなとともにいられる歓びや嬉しさも曝け出すようになったいまのSHINを、見逃がすことなくこのツアーで体感してほしい。

取材・文=東條祥恵


>>【ライブレポート】SHIN LIVE TOUR 2017“Good Morning Dreamer” 2017.9.4恵比寿リキッドルーム

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