<ライブレポート>落合陽一×日本フィル【変態する音楽会】現代の魔法使いが変えるクラシック音楽会

Billboard JAPAN

2018/9/14 18:00



日本フィルと落合陽一がコラボレートし、テクノロジーでクラシックのオーケストラ音楽会を生まれ変わらせるコンセプトのもと、8月27日に東京オペラシティ・コンサートホールにて【変態する音楽会
-Transforming Orchestra -】と題し、2回目のコンサートを行った。

本コンサートでは、従来的な意味でのオーケストラの演奏を楽しむことに加え、様々な仕掛けが組み込まれることで第1回の公演から話題になっている。第一に、ビジュアルデザインスタジオ「WOW」と協働した映像表現を取り入れた。「映像装置」を、オーケストラと同じく音楽を奏でる奏者としてメンバーに加え、オーケストラの演奏と“共に”リアルタイムでパフォーマンスするという試みだ。この映像装置のスコア(楽譜)を新たに書き起こしたのが落合陽一だ。

また前回のコンサートの試みであった「聴覚障害の方と一緒にコンサートを楽しむには?」という命題を更に広げ、さらなるダイバーシティを目指した。二階の客席中央には、振動や光で音楽を感じられるバルーン型のデバイス「SOUND HUG」を抱えた観客や、髪の毛から音を感じられるヘアピンのようなデバイス「Ontenna」を装着した観客の姿がずらりと並んだ。音楽が始まると舞台で流れるリズムやメロディに呼応して光を発しており、ひとつの“演奏”のように見えたのが印象的だった。

この日のプログラムはドボルザークのスラブ舞曲、ブラームスのハンガリー舞曲、そして誰もが知るカルメン、ボレロなど、ロマの踊りを感じられる選曲。その独特のリズム感を一夜を通して一貫して楽しむことができるよう仕掛けが用意されていた。公演前には落合陽一が登場しプレトークが行われ、これから始まるコンサートへの期待感が高まった。1部はシンプルな映像との「共演」から始まり、人が手で操る光のデバイスとのコラボレーション、そして指揮棒につけたモーションキャプチャを利用しての同期的映像まで、視覚だけでも音楽を感じられる舞台に。

その他、休憩中にはロビーがフラメンコ・タブラオに様変わり。カンテ、ギター、カホンの奏者とバイラオール・バイラオーラが踊り、注目を集めた。休憩後も、ボレロが始まる前に落合陽一自ら指揮棒を握り、バイラオールとともにボレロの3拍子のリズムを感じるワークショップを実施するなど、音楽が身近に体感できるような参加型の音楽会となっていた。

これら新しい試みを実現するため、本公演は「Readyfor支援チケット」があったのも特徴的だ。前述のダイバーシティデバイスの貸出が含まれているチケットや、公演後に公演映像が届けられる特典や、リハーサル参加なども含まれており、完成品が披露されるクラシックの音楽会というよりは、その過程に参加し、新しい試みに支援するという、新しい形での参加を促される仕掛けがなされていたといえるだろう。

公演後にロビーで開かれたアフタートークで「コンサートホール以外の場所でもこのような試みを広げて行きたい」と意欲を語った落合陽一。「現代の魔法使い」落合陽一が、テクノロジーによってオーケストラを変え、耳、目だけでなく全身で体感する新たな「体験」をこの先どのように見せてくれるようになるのか、注目していきたい。Text:yokano

◎公演情報
【テクノロジーで生まれ変わるオーケストラと音楽
「変態する音楽会 -Transforming Orchestra - 」】
2018年8月27日(月)
東京オペラシティコンサートホール
OPEN 18:00 START 19:00

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