『dele』山田孝之というドラマティックな存在が贈る上質ドラマ その最終回に待つものは?

テレビドガッチ

2018/9/14 12:00

そろそろ秋ドラマが開幕。ということはもうメリクリもカウントダウンも正月も間近ということですね。2018年の経過が早すぎる。もうちょっとスローペースにしてもらっても構わないんですが。

さて今回は、現在『dele/ディーリー』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15~)に主演中の山田孝之さんについて。なんでしょう……山田さんの存在は“俳優”とか“アーティスト”とかそういう存在地を超越して“山田孝之”というひとつのジャンルを確立しているような錯覚を覚えます。そんな彼が主演するドラマ、面白くないわけないじゃないですか。

■スピード、緊迫感……すべてにおいてムダなし!の1時間を誇る『dele』はクセになる

依頼のもと、死後に残されたデジタルデータを内密に消去する仕事をする坂上圭司(山田)と真柴祐太郎(菅田将暉)。クライアントもただ情報の消去を求めるだけではない。そこには家族にも友人にも言えない事情や策略が秘められているのであった……。

2018年スタートの夏ドラマで何が面白かったか? と聞かれたらタイトルを挙げたい『dele』。最終回放送が間近に迫った今、改めてその魅力をスナイパー小林見解で伝えたい。

まずは主演のふたりが豪華すぎる。山田孝之さんと菅田将暉さんといえば、もう各々で日本映画の興行収益を引っ張っていけそうな人気と実力を持つ俳優。そのふたりを深夜ドラマに起用とは、まさに映画化の伏線としか思えないのだけど、とにかく贅沢。“このふたりが演じている”というだけで見ごたえ十分なドラマである。

そしてそのふたりが演じる人間の生業がまた斬新。死後に自分のデジタルデータを消去してくれるなんて、現代に実在を切望するサービスそのものだ。

私も自分が突然死んだ時に家族に見られて困るもの第1位にデジタルデータを挙げる。誰にも見られたくない本音、趣味趣向の凝縮パッケージだからだ。面倒くさいことに現代はその向こうにSNSまであるので、自分の情報がどこまでも残ってしまう。家族はきっと「せめてこれだけでも残したい……」と形見のようにデータを消さないかもしれない。それは私の恥に近い本音が末代まで続くことになり兼ねないので、本気で坂上と真柴がいてくれたらと思う。ちなみに、見られて困るもの第2位は手書きの日記、第3位はブルーレイレコーダー。

坂上と真柴に依頼をするのはけして安価ではない。それでも事情を抱え込んだクライアントが彼らに交渉を申し出てくる。そう、このドラマの魅力に加えたい理由が一話完結であること。少し話が戻るけれど豪華主演俳優ふたりが揃うなら、あの手この手の作戦でドラマを連続して視聴させるように制作するだろう。視聴率薄になっている現代であればそれが当然。でも『dele』は敢えてなのか、主演ふたりだけに頼ることなく次々にクライアント=ゲスト出演を迎えて、毎回違う闇を展開していく。

この3点の魅力に加えて山田さんが演じる車椅子のフリープログラマー、坂上圭司のクールぶりがいい。公式ホームページには『頑固でプライドが高く、テリトリー意識が強い男。旺盛な知識欲を持つ』と坂上の性格が書かれているように、一切感情をあらわにしない坂上。映画化もドラマ化もされた名作『闇金ウシジマくん』での闇金会社社長・丑嶋馨役に然り、こういう役をやらせたら山田さんは本当に銀河一だと思う。

例えばひとりの冷酷無比の役を演じようとしても、どこかで感情は垣間見える。その俳優の素顔さえも隠しきれないときだってある。それが普通なのだけれど、彼は“個”をすべて遮断してくるんだよなあ……としみじみ。

彼についてずっと記憶に残っているエピソードがある。山田さんがまだデビューしたばかりで、当時私が勤務していた出版社にマネジャーがコンポジを持って彼のことを紹介に来てくれた。もう名前も忘れてしまったのだけれど、宣材写真の山田さんは妖精と見紛うような飛び抜けた可愛さだった。

「本当に大事に大事に育てていきたいんです」

確かそんなことをマネジャーさんは言っていた。言葉の端から山田さんへの愛情がダダ漏れしていて、なんだかこちらまでほんわかした気持ちになったことを覚えている。写真から察するときっとたおやかで、イケメンになっていくのだろうと私まで山田さんの明るい未来を想像してしまった。

そこから約10年だろうか。あの妖精くんが憑依型俳優と呼ばれ、テレビ局を使ってカンヌ映画祭を目指し、ルームブラのPRで300人のバスト測定をする奇才になろうとは。自我の芽生えの脅威とは彼のことかもしれない。

さて『dele』。最終回だけ見ても面白さは保証するのでぜひ、と伝えて本日はここまで。

(文・スナイパー小林)

■9月14日(金)放送『dele/ディーリー』最終回あらすじ
「dele. LIFE」にデータの死後削除を依頼していた辰巳仁志(大塚明夫)が死亡。パソコンの動作停止を知らせる信号が、「dele. LIFE」の社長・坂上圭司(山田)の端末に送られてきた。その報告を受けた相棒・真柴祐太郎(菅田)は怒りを抑えた表情を浮かべ、依頼人は弁護士の辰巳なのかと確認する。いつもは朗らかな祐太郎の豹変ぶりに、驚きを隠せない圭司。その矢先、さらに想定外の出来事が起こる。何者かが「dele. LIFE」のシステムにクラッキングを仕掛けてきたのだ。

まもなく圭司は、辰巳が祐太郎の妹・真柴鈴(田畑志真)の死をめぐり、入院先の弁護を担当していた人物だと突き止める。当時、鈴の死には不審な点があったが、病院側の主張が通り、祐太郎ら遺族は筆舌に尽くしがたい心の傷を負っていた。身を切り裂く過去に共鳴した圭司は、祐太郎に促されるまま、辰巳が遺した音声データを再生。そこには“祐太郎の無念を晴らす真実”を示唆する、大物政治家・仲村毅(麿赤兒)との黒い会話が記録されていた。

相手が相手だけに慎重に動き、確実に仲村を追い詰めようとする圭司。だが、データの即時公表を切望する祐太郎は、圭司への不信感をあらわに「dele. LIFE」を飛び出し……。そんな中、圭司とその姉・坂上舞(麻生久美子)の間にも、これまで互いに語ることのなかった“過去の出来事”をめぐり、不穏な空気が流れ始める……。

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