堺雅人、仕事と家庭はどちらが大事?『プーと大人になった僕』で考えた選択

Movie Walker

2018/9/13 18:00

世界的人気キャラクター「くまのプーさん」を実写映画化した『プーと大人になった僕』(9月14日公開)で、日本語吹替版声優に初挑戦した堺雅人を直撃。アニメ作品では「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の白鳥麗次(初代)役をはじめ、何度か声優経験はあったが、今回主人公クリストファー・ロビン(ユアン・マクレガー)の吹替を演じてみて、その難しさに驚いたそうだ。また、仕事人間として日々奔走するクリストファー・ロビンの葛藤は、堺自身も共感するところが大きかったという。

かつて100エーカーの森でプーたちと遊んでいた少年クリストファー・ロビン。いまは大人になり、愛する妻や娘とロンドンで暮らしているが、毎日仕事に忙殺され、家族との時間もまともに取れない。ある日、ロビンが上司から無理難題を押し付けられて途方に暮れていると、突然、幼いころの親友・プーが現れる。

『チョコレート』(01)や『ネバーランド』(04)のマーク・フォスター監督が、大人にも響く味わい深いヒューマンドラマに仕上げた本作。「最初はほんわかしたファンタジーだと思っていましたが、大人になったクリストファー・ロビンの旅路を描く話なんだなと。原題も『クリストファー・ロビン』ですからね」と堺はうなずく。

初めてトライした日本語吹替版のアフレコには、かなり苦戦を強いられたようだ。「ガイドとしてユアンさんのお芝居があったので、やりやすいかなと思っていたんですが、逆に難しかったです。ユアンさんのしゃべる英語に近づけようとすると、ちょっとトーンが落ちてしまうけれど、抑揚をつけると、洋画口調になりすぎてしまう。演出部からはすごく細かい指示をいただきましたが、これをすんなりできる声優さんは本当にすごいと感心しました」。

仕事で崖っぷちに立たされたロビンは、休日を返上して仕事を入れ、妻や娘から責められる。彼と同じく家庭を持つ堺は「家族と仕事、どっちが大事?と言われても、そんな簡単に答えが出るのかな?と」と首を傾げる。

堺自身は、家族と仕事とのバランスをとても上手く取っている印象を受けるが「いやいや」と首を振る。「僕自身、まだ答えが出てないです。映画の流れからすると、『家族だよ』と言いたいところですが、それも違うというか、そう言い切れる自信もなくて、まだ悩んでいます。結果的に言えば、家族も仕事も同じところにあるような気がしているので、そこで悩んでいるクリストファー・ロビンの気持ちはすごくわかるなあと思いました」。

「家族のことを一生懸命考える人だからこそ、いい仕事もできるのではないかと」というのが堺の考え方だ。「不思議と、仕事場で『家族を大事にしなよ』と言ってくれる上司とはいい仕事ができるし、『家族のことなんてどうでもいい』と言っているような人とは、あまりいい仕事ができないんです。かといって『家族が一番大事』とやたら言っている人も、それはそれでちょっと違う気がするので、そこが難しいところです」。

そして堺は「どちらを取るのか、決めなくていいんじゃないか」という結論にいたったようだ。「家族を大事にする気持ちと、仕事でいいものを作ろうとする気持ちは、同じ“愛”のような気がします。その2つは同じ色の愛で、濃淡が違うだけというか、2つを分けて考える時点で、なにかおかしい感じがします。家族も仕事も大事だし、友だちも大事だし、それが普通なんじゃないかなと僕は思います」。

プーが言う「僕は毎日“なにもしない”をやっているよ」という言葉も、日々せわしなく生きている現代人にはかなり響くのではないだろうか。堺も「なにもしない豊かさが身に染みます。日々の生活に追われて、気がつくと1日なにもできなかったと気づくことはありますが」と苦笑い。

「なにもしないことってすごく大事だけど、止まることもエネルギーが必要なんじゃないかなと。エネルギーがなにもない状態では、立ち止まることさえできない気がします。休日になにもしないひとときを2時間でもいいから作るとか、そこは今後、僕も心がけてみようと思います。それをプーさん教えてくれた。プーさんの言葉は、突き詰めると『いまを大事にしよう』ということでしょうね。『日々是好日』とか『一期一会』などと同じように、お寺の和尚さんやお茶の先生が言ってもおかしくない言葉だと思います。プーさんのかわいい見た目に騙されてはいけません。相当な魂のレベルにある人です」。(Movie Walker・取材・文/山崎 伸子)

https://news.walkerplus.com/article/161698/

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