“キラキラ起業女子”は教祖? セミナーにハマって100万円費やした女性の末路


第1回『キラキラ起業女子のセミナーにハマった女』

マルチビジネス、ネットワークビジネス、キラキラセミナーなど、一見、楽しそう、儲かりそう、だけど関わらないほうがよさそうな、怪しいビジネスが世の中にはあふれています。甘い言葉に誘われて軽い気持ちで参加してみたら、すっかりハマってしまい、気づいたら多額のお金をつぎ込んでいた……。そんな危険なビジネスの実態、ハマる理由、回避法について専門家に取材しました。第一弾のテーマは『キラキラ起業女子が主催するセミナー』。後悔する前に敵を知るべし!

■3桁近くのお金を費やしたセミナー女子の末路

キラキラ起業女子ブームに伴い、急激に増え始めた「コンサルタント」や「起業カウンセラー」という職業の女性。こうした肩書を持つ女性による、得体の知れない起業セミナーや自己啓発セミナーが、ブームとともにあちこちで開催されるようになりました。

セミナーに参加するのは個人の自由だけれども、なかにはハマりすぎて想像以上の出費をしてしまう人もいるのです。西野桃子さん(建設関係・29歳)の友人A子さん(医療関係・29歳)も、その1人。

A子さんが、キラキラ起業女子が主催するセミナーに参加すると言いだしたのは、ちょうど1年前のことでした。

「SNS起業の方法を学ぶセミナーだと言っていました。A子が起業に興味があるとは知らなかったので意外でしたが、憧れの起業女子に会えるとかで、かなり喜んでましたね」

ところが、この日を境に、A子さんはセミナーに没頭していきます。単発のセミナーだけでなく、継続セミナーにも通うようになり、さらにはセミナー参加者だけが入れる特別なコミュニティにも数万円を支払って加入したといいます。

「A子はセミナーに行きだしてから、『SNS起業家になりたい』『自分にしかできない仕事で豊かになりたい』と、会うたびに言うようになりました。でも具体的に何かを始める様子でもなく、どちらかというと、セミナー生となった自分に酔っているように見えました」

A子さんの行動はエスカレートしていき、憧れの講師に近づきたいがために、講師が販売するDVDやアクセサリーを購入。さらには、無償のボランティアスタッフとして運営に参加するように。当時、桃子さんの周囲では、「A子の様子がおかしい」という話でもちきりだったそうです。主催者であるキラキラ起業女子を、まるで教祖のようにあがめるA子さんに、桃子さんも不気味さを感じていたといいます。

しかし事態は急変。周囲の心配もつかの間、数カ月もしないうちにA子さんは突如、「いろいろありましたが、いったんすべてやめました。SNSもしばらく離れます」という投稿をして、キラキラ起業活動はあっさり終息したそうです。

「セミナー通いをやめた理由をA子に聞くと、答えは単純でした。高額な出費に、生活が追いつかなくなったんだそうです。はっきりとは教えてくれませんでしたが、費やしたお金は100万円近くだったとか……。あの頃のA子は、完全に“搾取される人”でしたが、本人がいいと思っているものを周りが止めることは難しく、自発的に抜け出してくれて本当によかったと思います」

なぜA子さんは、起業セミナーに大金を費やしてしまったのでしょうか? これまで1000回以上のセミナーやイベントを主催してきた、株式会社ダブルエムの安井麻代さんに話を聞きました。

「ここ数年、企業や個人関係なく、数多くのセミナーや勉強会が開催されており、セミナービジネスの市場は急成長していると実感しています。会社に依存しながら生きていくのではなく、自分の能力を高めて何かをしたいと考える人が多くなったのが影響しているのでしょう」

しかし、過渡期の市場であるがゆえに、宣伝文句と中身が乖離しているセミナーも少なからずあるといいます。

「過剰な演出や強い言葉で『必ず成功する』『絶対に変われる』などとうたうセミナーは、危険ですね。パッケージにこだわるのは商売において重要なことですが、そういうセミナーは往々にして、お金にがめつい可能性が高いです」

営利目的のセミナーは、人を囲い込むのもうまいため、一度入るとなかなか抜け出せないのだとか。まさにA子さんのパターンです。

「今は落ち着いていますが、少し前までは、SNSを使って優雅な生活をアピールしてセミナーの集客を増やすというやり方が、盛んに行われていました。言葉や写真で煽るような集客をすると、『内容が伴っていない』というクレームにつながりやすいので、本来なら避けるべきなのですが、とにかく人を集めたいという主催者は、過剰演出に頼る傾向が強いです」

■“誰でもウェルカム”なセミナーも怪しい

また、参加資格を設けていないセミナーも「避けるのがベター」と、安井さん。

「セミナー主催者として、参加資格を設けないことは、基本的にありえません。誰でもOKにすると、参加していただいても有用な情報が何も得られない可能性があるからです。質の高いセミナーにするためには、ある程度の線引きは必須です」

たとえば出版セミナーの場合、売り出したいブログ、SNSコンテンツがある、書き溜めた企画書があるなど、参加資格をある程度絞ります。これを、“誰でもウェルカム”にしてしまうと、「なんでもいいから何かしてみたい」という状態の人が集まるため、セミナーの質が落ちてしまうのだそうです。

「提供する側も、そのセミナーに参加することでどんな学びが得られるのかを、参加者に明確に提示する必要があります。参加者には値段以上の学びや経験を得てもらわないと、セミナーに来てもらう意味がありませんから」

やりたいことを探すためにセミナーに行く場合は、あらかじめ予算を決めておくことが重要、と安井さん。基本的には、そのルールさえ守れば大丈夫だといいます。

ゴール設定があいまいであったり、どう見ても過剰な演出だと思われる主催者のセミナーには、近づかないのが賢明。A子さんのように、散財してから目が覚めた、なんてことがありませんように。
(島野美穂/清談社)

安井麻代(やすい・まよ)
セミナー・イベントの企画から制作、運営までを行う、セミナー・イベントプロデューサー。セミナーや講演会、パーティなどのプロデュースをはじめ、現在までに自身がプロデュースしたセミナー・イベントは1000本を超え、延べ1万人以上を動員。企業、教育機関での講演やセミナー・イベント開催協力、雑誌・ラジオ・ポッドキャストなどへの出演実績などを持つ。新著『セミナー・イベント主催で成功する71の秘訣』(セルバ出版)が発売中。
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