秋元康の「国民的ガールズバンド」計画が大炎上! メンバー募集で〈IT社長と結婚したい人〉と女性蔑視丸出し

リテラ

2018/9/12 15:36


 秋元康氏とワーナーミュージック・ジャパンが組んで現在オーディションをしている「国民的ガールズバンド」プロジェクトのメンバー募集フライヤーが女性差別的であるとして、現在大炎上している。

問題となっているオーディション参加者募集告知は原宿駅などに貼られていたものだ。

フライヤーは手書き風で複数種類があるのだが、〈秋元康プロデュースガールズバンド 第1期生募集!! 未経験OK 恋愛OK〉という共通コピーが書かれたうえに、〈夢は弾いてかなえろ!〉〈武道館でライブしたい人〉など、メインコピーはそれぞれ個別の文言がおどっている。

〈恋愛OK〉というのをわざわざ打ち出すあたりも絶妙に気持ちが悪いのだが、さらにひどいのがメインコピーだ。

個別キャッチコピーのなかに〈有名人と熱愛したい人!〉〈IT社長と結婚したい人!〉という文言があったのだ

どうしてガールズバンド募集の惹句に〈有名人と熱愛したい〉やら〈IT社長と結婚したい〉といった言葉が出てくるのか。

つまるところ、女性たちの音楽的技術やクリエイティビティ、あるいは音楽を通した自己表現などにはなんの価値もなく、女性にとっての幸せは名声や富を持った男と関係をもつことにあるのだと宣言しているようなものではないか。

日本の音楽シーンではいま、ガールズバンドブームが起きている。SCANDAL、SILENT SIREN、ねごと、SHISHAMO、CHAI、yonige、the peggie、赤い公園、BAND-MAID、リーガルリリー、Hump Backなど、多くのバンドが活躍している。

どうせ、「アイドルの次はガールズバンドだ」というような、適当なマーケティング感覚で進出したのだろうが、いま、活躍しているガールズバンドは、自分たちの内部から出てきた表現にこだわり、同性のファンからも高い支持を得ているバンドがほとんどだ。

そんななか、秋元康氏らは〈有名人と熱愛したい人!〉〈IT社長と結婚したい人!〉などという女性蔑視まるだしのキャッチコピーでメンバーをかき集めようとしているのだ。

いったいどういう神経をしているのか、と首をひねりたくなるが、しかし、プロジェクトの顔である秋元康氏の過去を振り返れば、それも納得がいく。

本サイトで何度も指摘してきたことだが、秋元氏は自らがプロデュースする女性アイドルに女性蔑視的な歌詞を歌わせ、そのたびに炎上を繰り返してきた。

近年におけるその典型は2016年4月に発売されたHKT48のシングル「74億分の1の君へ」に収録されているカップリング曲「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞である。

おニャン子クラブの時代から秋元氏の書く歌詞に女性差別的構造があるのは変わらないが、「アインシュタインよりディアナ・アグロン」はそれにしても差別の強度が強かった。

〈難しいことは何も考えない 頭からっぽでいい 二足歩行が楽だし ふわり軽く風船みたいに生きたいんだ〉
〈女の子は可愛くなきゃね 学生時代はおバカでいい〉
〈テストの点以上瞳の大きさが気になる どんなに勉強できても愛されなきゃ意味がない スカートをひらひらとさせてグリーのように〉
〈世の中のジョーシキ 何も知らなくてもメイク上手ならいい ニュースなんか興味ないし たいていのこと誰かに助けてもらえばいい〉
〈女の子は恋が仕事よ ママになるまで子供でいい それよりも大事なことは そう スベスベのお肌を保つことでしょう?〉
〈人は見た目が肝心 だってだって 内面は見えない 可愛いは正義よ〉

●HKT48「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の思想がそのまま?

ちなみに、〈ディアナ・アグロン〉とは、ドラマ『glee/グリー』で、チアリーダーのクイン・ファブレー役を演じた女優。確かにクインは、「どうせこの田舎町を出られない」というあきらめから、容姿にこだわり、恋愛とスクールカーストの勝者になることだけを目指してきた女性として描かれ、好きでもない男の子どもを妊娠したりもする。しかし、シーズンが進み、グリークラブでの活動を通して人間的に成長したクインは、出産に向き合い、その体験をエッセイに書き、そして、最後はそのエッセイが高い評価を得て、名門のイェール大学に進学するキャラクターとして描かれる。

また、そのクインを演じたディアナ・アグロン自身も〈頭からっぽでいい〉とは真逆の女優であり、2014年の国際ユース・デー(世界の子供及び若者の人権保護と社会参画を呼び掛ける日)にグローバル・シチズンシップ大使としてこんなスピーチを行っているという。

「私はリプロダクティヴ・ヘルスケアにアクセスして、自分が決断した時に子供をもち家族生活をスタートする時期を選ぶことができます。そしてゲイとレズビアンの友人たちは同性婚の権利を全米で獲得しました」
「しかし世界における18億人もの若者たちはそれほど恵まれてはいません。
 世界には大人への移行期に、ジェンダー間の平等、教育機会の獲得、公共医療に関する乗り越えがたい困難に直面する多くの若者が存在します」

というわけで、前述の歌詞はそもそもの引用自体が的外れなわけだが、それはともかく、内容が内容だけに「アインシュタインよりディアナ・アグロン」には批判が殺到。本サイトも含め多くのメディアが記事に取り上げた。だが、ここから驚くべき事態が起こる。

なんと、彼の女性蔑視的な視線を批評した本サイトの記事に対して、AKB48の運営会社であるAKSの法務部が「名誉毀損及び侮辱罪が成立する」「即刻、記事を削除せよ」というメールを送ってきたのだ。本サイトが反論すると、その後、運営側は沈黙したが、批評さえ恫喝で黙らせようとする態度を見る限り、秋元氏およびそのスタッフに批判を真摯に受け止める姿勢は感じられない。

●『ワンダーウーマン』のイメージソングでも! だだ漏れの女性蔑視思想

こういった無反省の姿勢は案の定、その後も度々女性蔑視問題を引き起こしている。

たとえば、2017年日本公開の映画『ワンダーウーマン』の日本版イメージソングとして提供した「女は一人じゃ眠れない」(シングル「逃げ水」カップリングに収録)での炎上騒動。

ワンダーウーマンは、バットマンやスーパーマンと同じDCコミックスのヒーロー。1941年に連載がスタートし、これまでも何度か実写化やアニメ化されてきた作品だ。

ワンダーウーマンは連載開始以来、女性解放運動と密接に結びついてきたキャラクターで、フェミニズムのアイコンとして愛されてきたワンダーウーマンを描いた映画にもかかわらず、そのイメージソングに〈女は/いつだって/一人じゃ眠れない/(恋が邪魔をしているよ)/どうする?/感情が動いて眠れない/(胸のどこかが叫んでる)/寂しくなんか ないないない/誰かといたい〉といった女性蔑視ダダ漏れの歌詞を入れ込んだ。当然、これには映画ファンやアメコミのファンから批判の声があがった。

このように秋元氏の書いてきた歌詞で女性蔑視的なものを挙げていけばキリがない。

今回のガールズバンドオーディション告知の文言が〈有名人と熱愛したい人!〉〈IT社長と結婚したい人!〉というものになったのも、プロデューサーである秋元氏のこうした姿勢と無関係ではないだろう。

音楽を通して自己表現する「アーティスト」を見つけ出したいのではなく、意のままに操って金を運んできてくれる、見栄えが良くて若い「人形」がいればいい。根底にそういう思想があるから、歌詞や宣伝戦略にそれがだだ漏れになる。

しかし、今回はガールズバンドである。同じことをやっていたら、いつもどころではない、手痛いしっぺ返しをくらうことになるだろう。
(編集部)

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