影山貴彦のテレビのホンネ。芸人が芸人らしく輝く「千原ジュニアの座王」

Walkerplus

2018/9/11 12:23

■ こういう番組は守り抜いて欲しい。芸人は「芸人らしい仕事」に飢えているのだ

芸人たちには、もっともっと「芸人らしい仕事の場」をテレビの作り手は与えるべきだと思う。グルメレポートもいい。街ブラを悪いとは言わない。コメンテーターには、いささか「?」がつくが、人によるだろうか。たとえばカンニング竹山など、コメンテーターとしても素晴らしい味を出す芸人も、中にはいる。

だが、誰よりも芸人たち自身が、「芸人らしい仕事」に今飢えているのだ。ある若手芸人が、ボクにしみじみ言った。「どんな時間でもいいので、テレビで芸を披露する場がもっと欲しいです」と。

現在放送されているお笑い番組の中で、特に気に入っているのが、「千原ジュニアの座王」(カンテレ)だ。番組MCを務める千原ジュニアが「お笑い十種競技」と名付けている通り、芸人たちは頭をフル稼働して、自らの芸のセンスを全力で披露することを課せられている。

まず10人の芸人がイス取りゲームを行う。ぞれぞれのイスには、「モノマネ」、「モノボケ」、「大喜利」など即興ネタのお題が書かれている。イスに座り損ねた芸人は、「このお題で、こいつになら勝てる」と思った芸人を指名し、2人で争う。この勝負を繰り返し、最後に「座王」が芸人審査員によって決定されるという流れだ。出演者は若手芸人が中心を占めるが、中堅芸人も顔を出す。それがまた味があっていい。ベテラン近くなったおっさんが、必死で汗を流し奮闘する姿は可笑しくもあり、感動も誘う。

フジテレビ制作の全国ネット番組、「IPPONグランプリ」を想起する方もいるだろう。もちろん「IPPON」も面白いが、「座王」には、ガチの中にも何か関西的なユルいテイストが漂っている。千原ジュニアが、若手の芸を楽しそうに見守っている姿もいい。深い時間の放送だが、ぜひこういう番組は守り抜いて欲しい。必ず芸人たちの糧になるはずだ。

【著者プロフィール】かげやまたかひこ/同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科教授。元毎日放送プロデューサー(「MBSヤングタウン」など)。早稲田大学政経学部卒、関西学院大学大学院文学修士。「カンテレ通信」コメンテーター、ABCラジオ番組審議会委員長、上方漫才大賞審査員、GAORA番組審議委員、日本笑い学会理事。著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。(関西ウォーカー・影山貴彦)

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