セクハラ・パワハラは「部下への愛だ」…ブラック上司たちの身勝手な言い分

日刊SPA!

2018/9/11 08:52



連日のニュースではセクハラやパワハラを聞かない日はなく、もはや嫌気が差してしまうほどだ。またもや在京テレビ局や大手新聞社でセクハラ疑惑が発生、体操などのスポーツ界においてもパワハラが報じられている。

私たちの身近に潜むセクハラやパワハラ問題……。企業において、加害者は上司であることがほとんどだが、やった側の言い分とはどのようなものだろうか。

◆年齢差がある中、“共通の話題”と思って…

東京のIT企業に勤める山下育弘さん(仮名・40代)は昨年、部下の女性へのセクハラによって会社から厳重処分を受けた。

「コミュニケーションのつもりでした。年齢の違う男女の共通の話題と言われてもわからない。面白くてざっくばらんに語れることと言えば……やっぱり、性の話になるでしょう。最初は『彼氏いるの?』から始まって、『最近いつしたの?』とか。部下(の女性)も答えるからエスカレートしちゃって……。酒の席だから許されると思ったのですが」

コミュニケーションのために「よかれ」と思ってやったことが裏目に出たと嘆くが、今も「あれくらいで」と不満気だ。この感覚こそが「自分と他者」を軽々しく同一視していることの証左であるが、当人はまったく気が付いていない模様。

そもそも上司と部下という関係である以上、上司のセクハラ発言を部下は受け入れざるを得ない場合が多く、パワハラ的要素もはらんでいるのだが……。

◆部下の気持ちを勝手に解釈

お次は部下の女性と酒を飲み、泥酔した女性をホテルに誘ってコトを致し、後から訴えられたというパターン。一般的には「準強姦」、最近では「準強制性交」とも言われるが、やった本人の罪の自覚は薄い。

「部下の相談を聞きながら飲んでいたら終電を逃したので。ホテルに送り、部下をベッドに寝かせて自分はソファで横になっていたのですが、よくよく考えれば、部下は私に心を開いているとさえ思えました。そうじゃないと、私の前で泥酔はしない。そう思ううちに部下のベッドに入り体を触ってしまったのですが、抵抗もされないし、やはり受け入れられたと思ってました」

大手電機メーカーに勤める男性(40代)も、泥酔した部下の態度を勝手に「自分が受け入れられた」と解釈し、抵抗ができない状態であるにもかからず、部下を凌辱したのだ。女性は後日、会社に訴え出た。男性は人事部付けとなり懲戒処分を受けた。出世コースからも完全に外れたと溜息をつく。

「嫌なら来るなって話。多少その気がないと2人きりで飲みにもいかないはずだし、俺の前でつぶれるなと」

この男性には、自身が女性の上司である、という自覚があまりにもなさすぎる。そもそも上司に誘われた飲み会であれば、その上司が多少嫌いでも、部下は参加せざるを得ない場合が多い。そして、上司の前で部下が酔いつぶれることが、部下からの性的なメッセージであるはずもない。部下は上司を信頼しているからこそ、飲み潰れている可能性だってある。

そんな気持ちを「性的なもの」と解釈する短絡さには、開いた口が塞がらないというもの。

◆パワハラ発言も部下への「愛だ」

お次は、パワハラを「愛だ」と言い切る管理職の女性(50代)。

「多少口は悪いかもしれないけど、最近の若い子は『根性がない』とか『まったく会社の戦力になってない』とか思わず言っちゃうことはあるけど、本心でないことは“普通”わかるでしょう。私は、上司として部下にこうなってほしいとか、こうするべきなど、自分の経験をもとにアドバイスしているだけで、それはいわば“愛”なんです。それをパワハラだセクハラだって、だから日本は弱体化するし、将来は真っ暗じゃないの」

こちらも価値観の押し付けにほかならないが、本人は一顧だにしない。それどころか、自分が正しいと開き直り、「いまの世の中がおかしい」と逆ギレまでして見せる始末。

要するに、他人のことがまったく見えていないのだ。部下に毒を差し出しておきながら「愛」と言ってみたところで、部下にとっても世間的にもそれは「毒」でしかない。だが、この上司はそれを理解しようともしないのだ……。

あなたの周りにもこうした人々が存在するだろうし、ほかならぬ読者自身にも思い当たることはないか。今回紹介した部下から訴えられてしまったケースも独りよがりで自分勝手な価値観が招いた結果である。

相手(部下)がどう感じているのか。もしも“気づき”がなければ、いつの間にかあなたはセクハラやパワハラの加害者になっているのかもしれない。<取材・文/伊原忠夫>

― 本当に実在した! 隣のブラック上司たち ―

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