“テレ東パクリ”にうんざり……ドラマ『船越英一郎殺人事件』に見たフジテレビの凋落ぶり

日刊サイゾー

2018/9/9 15:00


 去る8月24日、フジテレビ系にて放送された金曜プレミアムドラマ『船越英一郎殺人事件』。俳優・船越英一郎の芸能生活35周年を記念して制作された2時間サスペンスドラマで、自他ともに認める“サスペンスの帝王”船越が本人役を演じ、巻き込まれた殺人事件の謎解きに挑む──という内容で反響を呼んだが、このドラマ、やはり、故・大杉漣さんの遺作となった『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)との類似をツッコまざるを得ないだろう。

昨年1月期に放送された深夜ドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』は、その名の通り“名脇役”として名高い大杉漣、遠藤憲一、松重豊、光石研、田口トモロヲ、寺島進の6人が本人役で出演し、シェアハウスで共同生活を送るという、ユニークかつ斬新な設定で人気を博したもの。

主演の6人以外にも、役所広司や椎名桔平、竹中直人、安田顕といったベテラン俳優から、野村周平、志田未来、川島海荷といった若手実力派に加え、“出家騒動”で騒がれた清水富美加までもが実名でゲスト出演し、コアなファンのみならず、業界関係者からの絶賛を集め、同年10月には「東京ドラマアウォード2017」作品賞の連続ドラマ部門優秀賞、「第33回ATPテレビグランプリ」優秀賞を受賞した。

今年2月には続編『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』が水曜夜のプライムタイムに昇格して放送されたが、続編発表の会見時、松重が「民放の連ドラは(視聴率が)2ケタ超えないと続編はないという常識で生きているんですが、テレビ東京はありがたいことに2~3%でも(続編を)作っていただける。懐の深い局」と語った通り、視聴率そのものは全平均2.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と振るわなかったものの、業界視聴率30%超えといわれるほど、その評価は高かった。

その『バイプレイヤーズ』の記憶もまだ新しい中で放送された『船越英一郎殺人事件』だが、船越が初めて本人役で主役を演じたほか、内藤剛志や萬田久子、吉田鋼太郎、山村紅葉ら豪華共演陣も本人役で登場。ドラマの売りとして「フィクションの中にリアルが織り込まれる2時間サスペンス」をうたっただけに、主演の船越と、離婚した女優・松居一代との“泥沼離婚騒動”を連想させる場面が満載され、「不倫や離婚騒動で騒がれている時は沈黙が一番」「愛妻家探偵だろうが、恐妻家刑事だろうが、バツイチ検事だろうが何でもウエルカム」などといった自虐的なセリフの数々が盛り込まれた。

こうした設定や小ネタが視聴者に受け、視聴率でも同時間帯の音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)や、スタジオジブリの映画『猫の恩返し』(日本テレビ系)を抜いたと話題になったが、主演共演含め、俳優を実名で登場させ、自虐ネタを絡ませる手法は『バイプレイヤーズ』シリーズの“パクリ”ではないかとの疑念を抱いたのは筆者だけだろうか? あるいは、テレビ局としては“格下”のテレ東で人気を博したドラマを彷彿させたものでしか、今のフジテレビには対抗できるものがないのか……。

かつては高視聴率を誇り、時代をつくった“月9”のようなオリジナリティドラマの製作が実現しない限り、“ドラマのフジ”といわれた時代を取り戻すのは、至難の業かもしれない。
(文=本多圭)

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