【漢字トリビア】「露」の成り立ち物語

TOKYO FM+

2018/9/9 11:00

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今回の漢字は「露」。「朝露」の「露(つゆ)」、「露天」「露骨」の「露(ロ)」。今年の九月八日は二十四節気の「白露」です。



「露」という字は雨かんむりの下に「道路」の「路」と書きます。
雨かんむりは、気象に関する事柄を表す部首。
「雨」という漢字は雲の合間から水滴が落ちてくる様子を描いています。
一方、「路」という字は、「足」という字のとなりに「各地」「各国」の「各」と書きます。
「各」は、神への祈りの文である祝詞を入れる器を供え、神が下りてくることを求める祈りの様子を表す漢字。
その願いに応えて神が降臨することを表しています。
そこに「足」を加えた「路」という漢字は、神の降りてくる「みち」をあらわしているといいます。
「露」とは万物を潤し、育てるために、神聖な道を通って天から降ってくるありがたい水のこと。
そこから「つゆ、うるおう、ひたす」という意味をもつ漢字になりました。

夜明け前、肌寒さを感じて目を覚ましたいにしえの人。
寝床を抜け出しておもてへ出てみれば、季節が進んだ気配を感じます。
熱を放ち続けていた地面から顔をのぞかせる草花。
光を宿した姿にそっと触れれば、零れ落ちるしずくが、大地をゆっくりと湿らせてゆきます。
厳しい夏を懸命に乗り越えたものたちに与えられる、ねぎらいの水。
それは、神さまが降りてくる道から降り注ぐ恵みの水です。
美しくきらめく朝露を数えながら、いにしえの人は、涼やかな初秋の風に吹かれています。

ではここで、もう一度「露」という字を感じてみてください。

白い露、と書いて「白露(はくろ)」。
朝夕の気温が下がり、草花に朝露が結ばれる頃の様子を表す季語です。
中国の陰陽五行思想において「白」は「秋」を示す色。
葉の上をころがるそのしずくは「露の玉」とも呼ばれ、その響きは涼しさとはかない美しさを耳に届けてくれます。
残暑をつかの間忘れさせ、秋の訪れをしみじみ喜ぶ言葉の魔法。
それは、私たち人間にだけ与えられた恵みのひとつです。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……、
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献
『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
『新選漢和辞典 第八版』(小林信明/編著 小学館)
『読んでわかる俳句 日本の歳時記 秋』(宇多喜代子、西村和子、中原道夫、片山由美子、長谷川櫂/著 小学館)

9月15日(土)の放送では「寿」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜7:20~7:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/kanji/

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