新型ジムニーをみんなが欲しがるのは「見た目が無敵のおふくろの味」だから

日刊SPA!

2018/9/9 08:55



最近、玄人はもちろんクルマ素人のみなさんの魂を、これほどまでにゆさぶったクルマがあったでしょうか? 新型ジムニーは、そんな稀有なクルマであります。見た目がよくて、小っちゃくて、軽自動車だから安そう。MTの設定もあるからカーマニアも納得。だから大人気! さて、このジムニーはいくらで買えるのでしょうか?

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi

池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆新型ジムニーが玄人にも素人にも受けるのは形がおふくろの味だから

SPA!の綿密なる調査によると、超絶ディープなカーマニアから、クルマにまるで無関心だったパンピーまで、非常に幅広い層のみなさまが、新型ジムニーを見て「欲しい!」と思ったとのことです。

その最大の理由は、クルマの原点回帰とも言うべき、ボクシーなスタイルにあるでしょう。

クルマは成熟商品なので、多くのニューモデルが見たことのない驚きを与えるべく、鬼面人を驚かすデザインを採用していますが、ジムニーにはそういう部分が皆無。幼児のころ、男の子なら誰でも描いた「じどうしゃ」の形そのものです。

それが実物となって目の前に突き付けられた結果、多くの人々の魂をゆさぶったのですね。誰もが死ぬまぎわには「おかあさ~ん!」と叫ぶみたいなもんですか。

そんな、無敵のおふくろの味みたいに魅力的なカタチのクルマが、税金の安い軽自動車だっつーんだから、「なら一台買ってみようかな」と思うのも、無理からぬことでしょう。

で、「あのー、ジムニーください」と、生まれて初めてクルマを買いに行ったみなさまの多くは、営業マンの一言で挫折しました。

「もう年内の納車はムリです」

えええええ~~~~~っ!? 新型アイフォンだって、ひと晩並べば発売日に買えるのに、クルマ買うのに半年以上待つなんてありえんのか!

しかしジムニーはもともと、送電線の維持管理などお仕事で林道を走る方々や、ディープなオフロードマニアのためのクルマ。国内向けの生産台数は、ジムニー(軽)が年間1万5000台、ジムニーシエラ(1500ccの普通車)にいたっては、たったの年間1200台しかないのです。

そんなマニアックなクルマが、幅広い層の魂を揺り動かしてしまったため、現在の受注台数はジムニーが1万7000台、ジムニーシエラが3500台に達しているとか。つまりジムニーで1年余待ち。ジムニーシエラはヘタすりゃ3年待ち! ヒエ~~~~~~! 新型フェラーリより納車待ちが長い~~~!

あまりにも納車待ちが長くなってしまったので、スズキは増産を検討しているとも言われますが、それにしたってかなり待たねばならない。

クルマを買いにディーラーに行けば、下にも置かぬ扱いをしてくれるだろうと思っているみなさま。ジムニーは今や、客のほうが土下座して売っていただく超人気商品ですので、覚悟してください。

で、そんな感じで、カタチに釣られてジムニーが欲しい! と思ったみなさまの多くは、林道など金輪際走る気はなく、たまのレジャーや近所の買い物に使おうかと思っていることでしょう。

もちろんそれで何の問題もないのですが、ジムニーは本来、超本格的なオフロード車でして、悪路の走破性を第一に設計されております。よって、普段使いすると、若干弱点がございます。

まず2ドアであること。シロートの方は「なぜ4ドアがないの?」とおっしゃるでしょうが、そういうみなさまにはハスラーがオススメです。納車もすぐだし、新古車のタマ数も豊富。コミコミ105万円くらいから買えますヨ!

あとジムニーの弱点は、構造がトラック同様とても頑丈なぶん、軽としては車体が重いこと。エンジンは全車ターボ付きですが、ATは耐久性を重視して4速トルコンを採用しているので(軽の多くは高効率なCVT)、加速もあんまり良くない。真四角なので空気抵抗も大きく、燃費もあんまり良くない。高速道路での直進安定性もあんまり良くない。

それに値段が高いです。売れ筋のグレードに、ナビ等通常のオプションを付けると、諸経費込みで230万円を超えます。

「ええ~~~~~~~っ! 軽なのにそんなに高いのかあ!?」

それでもジムニーは大人気なのです。あそうだ、乗り心地はとてもいいです。あと、MT車もあります。

結論

私もジムニーをひと目見て「欲しい!」と思い、発表直後にディーラーに行ってみましたが、232万円という数字を見て挫折し、「中古のBMWでいいや」と思いました。

【清水草一】

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

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