日本人が大好きな「南向き物件」は本当に明るくて暖かい?

日刊Sumai

2018/9/8 21:30

今回は住戸の向きについてお話ししたいと思います。
日本人は南向きが大好きというイメージが強いですが、以下でご紹介するデータはそれを見事に裏付けたものでした。
しかし東向きや西向きにもメリットはあり、南向きにこだわらなければ住まい選びの選択肢はずいぶんと広がります。
そもそも「南向きの物件」は明るくて暖かい、というのは本当なのでしょうか?
日本人は南向きが大好きであることがデータからも判明
表組
25階~29階の西向きを基準としたときの階数帯毎の方位別価格差
首都圏で2009年から2018年の10年間に供給された物件を対象に各住戸の指数を階数別・方位別にまとめたデータが、株式会社マーキュリーから先日発表されました。
日本人の不動産に対する好みが如実に表れていて興味深いものがありました。
イラスト
方位別価格設定の法則
新築マンションはたとえ同じ面積であったとしても階数や方位によって価格設定が異なります。
一定以上の利益を確保しつつ竣工前に完売させなければならないため、値付けというものは担当者の腕の見せ所になります。
表組
南向きを1とした時の階数帯毎の方位別価格差
データでは物件の平均坪単価を1とした際の各住戸の坪単価を指数化していますが、これがそのまま人気を反映していると考えて差し支えないと思います。
日本人にとっては南向きが東向き・西向きよりも人気が高く、また階数では上層階ほど人気です。

南向きは本当に明るくて暖かいのか?
マンション
kunio / PIXTA(ピクスタ)
南向き住戸は日本人に大人気ですが、「明るくて暖かい」というイメージは果たして本当でしょうか。
新築物件の営業をしていた時代、筆者は忘れられない体験をしています。
横浜市旭区でL字型マンションの完成物件の販売を担当していた際、大阪から転勤が決まったというご一家に契約していただいたことがあります。
先発隊として出てこられた奥様と商談を進め、南向きの部屋で話を詰めて最終確認として週末にご主人を迎えたのですが、ここで予想外の展開となりました。
日当たり
りつ。 / PIXTA(ピクスタ)
本命物件を引き立たせるためまず西向きの部屋を先に案内し(このような部屋のことを「あて物」と呼ぶ)、次いで商談を進めてきた南向きの部屋に入ったのですが、そのとたんご主人が「部屋が暗い」と言い出したのです。
さっきの部屋をもう一回見ようと最初の西向きの部屋に戻り、「こっちの方が明るい」ということで最終的な結論をいただきました。
筆者の不動産業界での経験の中で、客があて物を気に入ってしまったというのは後にも先にもこの時だけです。

南向き物件は、実は暗くてひんやりしている!?
マンション
p_curo / PIXTA(ピクスタ)
筆者は西向きと南向きを比べてみたことは何回もありますが、確かに西向きから南向きに移動すると部屋が暗くひんやりと感じたものです。
太陽が南側にあるときは高い場所にあるため日が差し込みにくく、南向き住戸というのは意外と暗くて寒いのです。
またリビングが南向きだと居室は北向きですが、こちらの部屋は日が当たることがありません。
一方で西向き住戸の場合、午前中は居室側から日が入り、午後になるとリビング側が明るくなるので、一日を通じて室内のどこかに明るい場所があるのです。
洗濯物
patchii / PIXTA(ピクスタ)
意外と明るくて暖かいというのは東向き住戸についてもいえるのですが、どういう訳か分かりませんが筆者はこれまで東向きはほとんど見たことがありません。
東向き住戸にお住まいの方に話を聞いたことがありますが、リビングに朝日が差し込んでくるというのはなかなかいいものだそうです。
ただし午後になると洗濯物が乾かないとこぼしていました。

西向きのよく知られたデメリットと意外なメリット
真夏の日差し
bonb / PIXTA(ピクスタ)
明るくて暖かい西向きですが、デメリットといえばやはり夏の西日です。
レースのカーテンで随分と変わってきますが、暑さが厳しい6月下旬から9月上旬までの3か月は基本的に我慢するしかありません。
しかし、西向きにはデメリットを補って余りあるメリットがあります。
富士山
東京や神奈川の場合は西側に富士山があるため、冬になって空気が澄んでくると場所によっては素晴らしい眺望を楽しむことができます。
富士山
時にはこんな光景が見えることもあります。
「〇〇ビュー」として強みになるのは東京タワーと海と富士山ですが、首都圏で富士山ビューを楽しむことができるのは西向きだけです。

南向きにこだわらなければ選択肢は随分と広がる
マンション
ABC / PIXTA(ピクスタ)
南向きが必ずしも最高であるといえないことについてご理解いただけたのではないかと思います。
東向きや西向きには南向きにないメリットがあり、価格の点では確実に安く手に入れることができます。
マンションの営業をしている際に「私は南向き以外考えていません」という人にずいぶんと出会いましたが、南向きにこだわらなければ住まいの選択肢は随分と広がるのです。

【参考】
※ 新築マンション価格設定の法則~過去10年間を対象に階数と方位から算出~

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