知られざるナチスの蛮行と反逆の実録ドラマ『ヒトラーと戦った22日間』

まいじつ

2018/9/8 11:01


『ヒトラーと戦った22日間』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ヒトラーと戦った22日間』


配給/ファインフィルムズ ヒューマントラスト有楽町ほかにて全国公開中
監督/コンスタンチン・ハベンスキー
出演/コンスタンチン・ハベンスキー、クリストファー・ランバートほか

悪名高きナチスドイツがポーランドに作った絶滅収容所は、アウシュビッツの他にもいくつか存在した。その1つであるソビボルの実話はあまり伝わらないが、アウシュビッツと同様に悲惨極まりないもの。そんな絶望の収容所から、反逆の果て、脱走を図る“英雄たち”がいた! という実録ドラマである。

監督&主演のハベンスキーはロシアの国民的俳優で、この反逆と脱走の“奇跡的英雄”アレクサンドル・ペチェルスキーを称えるため、世界的プロジェクトとして作ったのが、この映画だそうだ。収容所を仕切る悪役のナチス高官に『ハイランダー』シリーズなどのハリウッド著名スター、クリストファー・ランバート(個人的には、美人女優ダイアン・レインの元旦那として記憶している)を起用したのも国際色の表れ。ハベンスキーとランバートという2大スターがガップリ四つ、“男の激突”がドラマとしての“核”でもあり、“格”でもあり、見ごたえ十分であった。

第二次大戦中、アウシュビッツと並ぶ悪名高き絶滅収容所ソビボルではユダヤ人が大量虐殺され、生き残った者にも虐待と絶望の日々が続いていた。そんな中、ひそかに脱走を企てるグループがあり、リーダーにふさわしき人物としてソ連軍人ペチェルスキー(ハベンスキー)が収容され、前代未聞の計画が実行される…。

人は絶望の中からも希望を見いだす


冒頭から、ショッキングなシーンが続く。国籍や貧富に関係なく列車で運ばれてきたユダヤ人が男女に分けられ、女性たちは真っ先に全裸にさせられ、シャワー室だと偽られ、ガス室へと誘導される。その中には一際目立つ美女(宝石職人の妻)もいたが、彼女もまた全裸の屈辱の中、毒ガスに倒れる。これまで映画の中で、アウシュビッツものでもガス室シーンは出てきたが、これだけ大勢の女性の全裸が映し出される映像も珍しく、悲痛度がいや増す。

ナチス高官たちが、まるで座興のようにユダヤ人たちを惨殺してゆくシーンと平行して、念入りな脱走計画が練られる後半が実にスリリング。そんな中にも、“赤毛の女性”と“メガネの男”のロマンらしきものも芽生える。人は絶望の中でも、何とか希望を見いだそうとするもの、ということがあらためて分かる。この男女は実在人物で、2人は収容所で出会い、生き残って戦後60年間一緒に暮らした、という“チョットいい話”もある。浜の真砂は尽きるとも、ナチスドイツの罪深い蛮行には、まだまだ知られざるエピソードがゴマンとあるということを思い知らされた。

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