「最後のクラウンらしいクラウン」は何代目? ワゴンも直6エンジンもハイブリッドもラインナップ

日刊SPA!

2018/9/8 08:50



やっぱりクラウンが大好きな腕時計投資家の斉藤由貴生です。

前回の記事では、クラウン史上もっとも売れた8代目をご紹介したのですが、今回は、1999年に登場した「11代目(170系)」をご紹介したいと思います。

◆ラインナップが大きく変わった11代目クラウンの特徴は?

11代目クラウンは、ラインナップの構成が大きく変わった世代で、それまでの「セダン/ハードトップ」が、この世代からは「ロイヤル/アスリート」となりました。特に、ハイヤー、パトカー、個人タクシーなどが、それまでのクラウンセダンから、一般車と特に変わらないクラウンに変わったため、街の景色が変わった印象もありました。特にパトカーがロイヤルになった様子は「高いほうのクラウンを警察が採用した」というように見え、最初は印象がよくありませんでした。それは覆面パトカーも同様で、一般車と区別しづらい感じになったのは、このころからだといえます。

◆最上級グレードにもワゴンがあるのは11代目だけ!

この世代ではワゴンも新しくなり、歴代クラウンとして唯一セダン系(ハードトップ)と遜色ない構成となったのです。過去のクラウンにもワゴンは存在していましたが、最上級グレードにはワゴンが存在しなかったのです。特に3リッター車は、意外にもワゴンへの採用は歴代でこの世代のみとなっています。

◆クラウンにも初めてハイブリッドモデルが登場!

搭載されるエンジンのラインナップも特徴的です。この世代にはトヨタのハイブリッドモデル第3弾、かつクラウンとしては初のハイブリッドモデルが登場。これはマイルドハイブリッドと呼ばれるシステムだったのですが、プリウスのようなハイブリッドではなく簡易的なハイブリッドという内容でした。

ラインナップされたエンジンは全てが6気筒だったのですが、最後の直6エンジンが採用されたクラウンでもあります。排気量のラインナップも豊富で、2リッター仕様も存在。なかでも、もっともインパクトが強いのは「アスリートV」に搭載された2.5リッターのターボエンジンだといえるでしょう。このエンジンは、ヤマハが開発したスポーティーなエンジンなのですが、後にも先にもこのような趣旨のエンジンは、11代目クラウンにしか採用されていません。

そして、そのターボエンジンを搭載する「アスリートV」というグレードはワゴンにもきちんと採用されており、クラウンとしては異例の「爆速ワゴン」となっています

◆11代目クラウンは安全、環境、ITが進化したモデル

1990年代に日本車は大きく進化したといえますが、その進化は、「安全」「環境」「IT」という3つの性能から見ることができます。

安全性能といえばエアバッグですが、90年代前半に運転席エアバッグが一部高級車に採用され、90年代中盤には運転席&助手席エアバッグが大衆車にも積極的に採用。高級車にはサイドエアバッグの標準採用が目立ちました。また、この時代には衝突安全ボディーがブランド化され、トヨタはGOA、日産はゾーンボディを発表しています。また、90年代後半にはトヨタプログレがカーテンエアバッグを世界初採用。この11代目クラウンにもカーテンエアバッグはオプション設定されているのです。

環境性能は90年代後半から注目されましたが、プリウスのようなハイブリッド車だけではなく、三菱のGDIを筆頭とする直噴エンジンも注目されていました。この11代目クラウンにもクラウンとしては初の直噴エンジンが採用されているのですが、トラブルが多い傾向があり、燃費もそれほど良くないため、11代目クラウンのウイークポイントとなってしまっています。ただ、2リッターと前期2.5リッター、ターボエンジンは直噴エンジンでないため、トラブルが少ないといわれています。

ITといえば、カーナビがありますが、この11代目クラウンの時代にはワイド画面のDVDナビゲーションが採用。ちなみにこのDVDナビは、最近まで生産されていたセンチュリーと同型番のため、今でも最新版が手に入るという良さがあります。このDVDナビは、最新のHDDナビと比較して大きな差はないといえます。もっとも、ナビの性能にこだわるなら、今となってはスマホのアプリが最も優秀でしょう。

そのため、この11代目クラウンは今のクルマと比較してストレスとなる差は少なく、普段使いにおいて十分な性能だといえます。最も目立った不満点としては、スマートキーの設定がない点だと思いますが、それ以外についてはストレスとなるほど大きな差はないといえます。

◆今見ても作りが贅沢な11代目クラウン

11代目クラウンは内装の高級感が高く、車内に入るとホッとするような空間となっています。シートもとてもできが良く、10万km以上走ってもヘタリは見られませんし、長距離を走っても疲れません。特にドアの下部分は、現行クラウンより高級感が高く、ピラー部分も硬いプラスチックではなく、柔らかいパットが採用されています。

乗り心地も良く、特に一般道では「これ以上快適なクルマはないのでは」と思うほど快適です。また、程よいサイズ感は乗っていて楽に感じます。ただ、高速道路に行くと一般道ほどの快適性を感じることはなく、ゼロクラウンのほうがだいぶ進化していると感じます。

ただし、アスリートVだけは例外で高速道路でもバシッとした安定した走りで、とても快適です。アスリートVは一般道で低速で走っていても、不思議と楽しく、クラウンらしい心地よさと、クラウンらしくない運転の楽しさを兼ね備えた稀有な存在といえるでしょう。

◆気になる11代目クラウンの中古車価格は?

この11代目の次にデビューしたゼロクラウンから、クラウンの見た目が大きく変化しましたが、ゼロクラウンはクラウンらしくないと言われ、この11代目クラウンは「最後のクラウンらしいクラウン」と評価されていたことがありました。しかし、今となってはそれが古く見えるということに作用してしまっているらしく、中古車価格はあまり高くありません。

クラウンには「ちょうど安くなる世代」というのが存在しますが、2018年現在におけるそれは、まさにこの11代目クラウンだといえます。11代目クラウンは、アスリートVを除くと程度が良く、キレイで、走行距離も少ない車両が総額30万円程度で手に入ります。ただしアスリートVは例外で、特にワゴンは例外中の例外といえるほど相場は高いです。走行距離が5万km程度の程度の良い個体かつ、人気のある後期モデルなら150万円程度であっても不思議ではありません。

いずれにしろ、この世代の高級車は、今の時代のクルマと同じ感じで普段使いできるため、8代目クラウンのような旧車感はなく、普段使いの1台として十分活躍してくれるのが良いとも評価できます。

以上、11代目クラウンの特徴をお伝えしましたが、11代目は今の時代でも普段使いできるかつ、8代目に共通するような“世界中探してもこれに似たクルマはない”というような個性があるクルマだと思います。

このようなクルマが安く買える今、下駄車としてこの11代目クラウンを使うのは人生における贅沢といえるかもしれません。

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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