『この世界の片隅に』尾野真千子の嗚咽シーンに視聴者も嗚咽…「平和教育の教材に」との声も


 松本穂香が主演を務める連続テレビドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)の第7話が2日に放送され、平均視聴率は前回から1.3ポイントアップの9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。

第7話は、不発弾の爆発によって右手を失ってしまった北條すず(松本)が布団に横たわり、一緒に居たはずの黒村晴美(稲垣来泉)の名前をうなされながら呼び続けるシーンから始まる。しかし、目を覚ますとそこに晴美の姿はない。爆発で亡くなってしまったのだ。

義姉の黒村径子(尾野真千子)もすずのせいではないと頭ではわかっていても、娘を亡くした悲しさからすずに辛い言葉を吐いてしまう。それでもなんとか気丈に振る舞うようにしていたものの、トマトを見たときに美味しそうに食べる晴美の顔を思い出し、嗚咽を漏らして一人道端で悲しみに明け暮れるのだった。

この頃、呉では毎日のように空襲警報が発令され、北條家にも焼夷弾が落ちるようになっていた。訓練が中止になり家に帰ってきた北條周作(松坂桃李)は、手を失ったすずを見てすぐに駆け寄る。「あんたが生きとってえかった」と言われるも、自分だけが生き残ったことに罪悪感を感じていたすずは、その言葉を素直に受け止めることができない。

爆撃機を目の前にして死を覚悟するように立ちすくむすずだったが、間一髪のところで周作に助けられる。だが、北條家にもう居場所はないと感じていたすずは「広島へ帰る! 帰る!」と言い張り、実家に帰省することに。しかし帰省当日、支度を手伝いながら言った径子の「くだらん気兼ねなんとせんと、自分で決め。あんたが嫌にならん限り、すずの居場所はここじゃ」という言葉を聞いて北條家に残ることを決めたのだった。

その後すぐ、まぶしい光とともに大きな揺れが呉を襲う。外に出ると広島のほうに見たこともないキノコ雲が。それから、何か起こったのか全員わかるすべがなく、さまざまな噂が飛び交っていたが「どうやら広島に新型爆弾が落とされたいうのが正しいようじゃ……」と、すずの実家の広島で大変なことが起こっていると知る。

婦人会でつくった草履を広島に救援物資として届けに行くと知ったすずは、自分の髪を切り落として「これで結う手間も省ける! 足でまといにはならん!」と連れて行ってくれるように必死で頼み込むのであった。

今回は、ドラマ始まって以来の生々しい戦争シーンが多く登場。右手を失ったすずには血のあとがにじむ包帯が巻き付けられている。それでも、晴美を失ったうしろめたさから、「痛い」や「辛い」という言葉をすずが口にするのは許されないといった状況。晴美を失ったことさえ、家族の誰も悪いことではないのに、誰かのせいにしていないと辛いという径子の気持ち、ひいてはツライことをツライと言えない状況によって追い込まれていくすずの姿に、改めて戦争の惨さを目の当たりにした視聴者が多かったようだ。

以前では、図書室に漫画『はだしのゲン』(中沢啓治/汐文社)が置かれている小学校も多かったが、生々しい描写や内容に異議を唱える声が出て、撤去された小学校もあるという。子どもが戦争について知る機会が減っているといわれる今、『この世界の片隅に』は、戦争の惨事を酷い描写ではなく、当時を生きていた人の心情に寄り添うことによって伝えている。

インターネット上でも、「今のところこのまま学校教材にすればいいのではと思ってる」「 『この世界の片隅に』を平和教育の教材にして欲しいな」「そこらの教師が語るより、『この世界の片隅に』を戦争の一つの教材にした方がいいね。学校とかでも」という声が多数寄せられている。

また、第7話では亡くなった娘を思い出して嗚咽する尾野の演技に対して、「泣かされた」「演技ヤバイ」などと絶賛の声も上がっている。さらに、ドラマでの細かい描写に対して「映像と現代パートでより現実的に若い方にもっと見てほしい。そんなに昔ではない日本の話」「一時間もない映像の中で、こんなにも苦しい嗚咽はない。こんなにも苦しい、誰かの現実だった事から絶対に目を背けられない。初めて何度も目をそらして初めて懸命に画面を見た」という声もあがっているだけに、視聴率だけでは評価できないドラマといえるかもしれない。
(文=絢友ヨシカ/ライター)

当記事はビジネスジャーナルの提供記事です。

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