情弱おっさん上司のせいで効率化どころか非効率に…現場から不満続出

日刊SPA!

2018/8/20 08:52



もはや仕事をするうえで必須となったパソコンなどのデジタル機器。ワードやエクセル、パワーポイントといったソフト類も使いこなせないと、なかなか業務は円滑に進まない。最近ではGoogleドキュメントやスプレッドシートなど、オンライン上でデータを共有する機会も珍しくない。

20代から30代であれば、多くの読者が「デジタルネイティブ」、すなわち物心がついたときには何らかのデジタル機器に触れていたことだろう。その少し上の世代でも青年時代にはポケベルやガラケーがあった。いまではスマホを操っているのがほとんどだろうし、パソコンの操作そのものに抵抗がある人というのはマイノリティーかもしれない。しかし、現実問題、会社では……。

◆情弱おっさん上司のおかげで効率化どころか非効率に…

「よし! そのデータを50部印刷して、会議で配っておいて!」

50代の上司から告げられた都内の会社員・山本孝弘さん(仮名・30代)は、思わず舌打ちをしそうになった。

無理もない。件のデータができるまでには、紆余曲折、そして何より、どう考えても非効率的で理不尽な経緯があったからだ。

「新人研修用の資料作成をしていたのですが、あまりに非効率で泣きたいです。まず会議をして、ホワイトボードに意見を書き込むんです。僕がそれをパソコンに打ち込もうとしたら上司から『情報流出の恐れがある』として、使用させてもらえず。わざわざホワイトボードをノートに書き写し、それをまた新たにパソコンで打つ……そのデータをさらに紙出力して、上司がチェック……さらにチェックした部分をホワイトボードに書き出し、また会議……それをまた紙に書き写して……って、もう我慢の限界ですよ!」

この「新人研修用」の資料だが、社内では“進んでいる”とされる人事部から「パソコンで見られるデータで提供してほしい」と打診があったのだが、上司たちは一切許さず。研修に参加した新人たちは、一人一台貸与されたパソコンを持っていたのだが、勤怠管理システムの仕組みについて説明を受けるとき以外でパソコンを開くことはなかった。その代わり、紙の資料とボールペン、赤ペンを使って熱心に(?)研修を受けていたというのだから、山本さんの気持ちはいかほどか……。

山本さんは「理不尽」と嘆くが、上司たちにとっては「当然」なのかもしれない。いま、こうしたデジタル格差が、ネイティブ世代とそうでない上司の世代でどんどん拡がっている。

◆資料作りを丸投げ…業務量が10倍に

神奈川県内のメーカーに勤務する橋本祐一さん(仮名・30代)も憤る。

「エクセルを使った表計算ができるのが、部署で自分一人なんです。いままでは上司たちが紙と計算機を使って作っていた資料が、従来の10分の1くらいの時間でできるようになった、とみんなから褒められていたのですが……」

10分の1の時間という「効率化」、そして橋本さんのスキルが、まさか橋本さん自身を苦しめることになるとは露とも思っていなかっただろう。

「10分の一でできるなら、と業務量が以前の十倍以上になったのです。しかも、できるのが僕一人だから、資料作りがすべて僕に回ってくる。うわさを聞き付けた他部署の上司からも『頼むわ』と丸投げされて……」

悲劇はこれだけでは終わらない。今春まったく別の部署に異動した橋本さんだったが、かつての部署の上司たちからは「ちゃちゃっとやってよ」「簡単でいいから」「片手間に少しだけ」と資料作りの依頼が押し寄せたのだ。

昔と比べれば業務ははるかに効率的に回っているはずなのに、それをいいことに業務量を増やしてくる上司や会社。そのぶん、橋本さんの給料が増えるかと言えば、もちろん、そんなことはない。橋本さんのストレスはたまる一方なのだ。

◆パソコンがあれば何でもできると勘違いしている

「この人たちは本当に現代人かと疑ってしまいます」

関西地方の大手商社に勤める間々田さん(仮名・20代)も、上司との間にデジタル格差を感じている一人。

「資料作りだけでなく、アニメーションや動画作成、音楽制作やイラスト、CGまで、パソコンさえあれば何でもできる、と思っている人が意外と多いんです。それらはパソコンがあればできるかもしれませんが、すべてスキルが伴ってないといけない。たとえ、そこに飛行機があったとしても『お前が運転してハワイまで乗せてって』なんて誰も言わないでしょうに……」

外資系のクライアント向けに資料作成をしていたときのこと。パワーポイントを使った平凡な資料を作成し、上司に見せたところ「もっとこう……“カッコ良く”してよ」とぼんやりとしたやり直しを命じられた。“カッコ良く”と指示されても具体的にはどうすればいいのやら。

「ほら、なんかさあ、“ジョーブズ”みたいな。デジタル風のこう、あるだろ!」

ジョーブズ……。テレビで見た、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏を真似しろ、ということはなんとなくわかったが……。ジョブズはパワポを使っていなかったし、間々田さんにはジョブズの後ろに映し出されていたような動画を作る特別なスキルもない。そもそも、アップル製品のようなスマートなプロダクトを売るためのプレゼンでもない。現実は、自社の狭い会議室で、先方の担当者せいぜい4~5名に見せるための資料作りなのだ。

「結局、簡単なアニメーションと効果音をつけただけの資料を持っていくと『すごい』と褒められましたが、その後『これだけできるなら、彼には会社のPRビデオを作ってもらおう』などと上司たちが盛り上がっているのを聞いて寒気がしました」

間々田さんの上司たちは、いまだに社内のパソコンで風俗系サイトを閲覧し、総務部などの管理部署にバレて呼び出しを食らうような面々。まるでデジタルに初めて触れた「おサルさん」のようだという。業務中にこっそりエロ動画を見ていた上司などは、イヤホンが接触不良であることに気がつかず、フロア中に女優の喘ぎ声が響き渡ったこともあるというから驚きだ。

デジタルデバイスの進化により、我々の生活は激変した。そのほとんどはものごとの「効率化」など、我々の生活を豊かにしてくれているはずだが……そうした変化に追いつけない人々もいるということだ。

とはいえ、自ら前のめりになって「覚えてやろう」と鼻息荒い上司は、あなたの周りに果たしてどれくらいいるだろうか。<取材・文/森原ドンタコス>

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