【夏は「ビタミンD不足」に要注意!】過剰なUVケアが、体内で産生されるべきビタミンDを不足させることに!ビタミンD欠乏のリスクと効果的な摂取法を紹介!

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2018/8/14 12:00

近年、国内外で様々な研究結果が発表され、注目が高まる「ビタミンD」。その効果や適切な摂取方法、「ビタミンD」が不足することで生じるリスクや疾患への正しい理解促進を目的とし、大塚製薬はビタミンD研究の第一人者である、神戸学院大学 栄養学部 教授 田中清先生の監修の下、「ビタミンD」の理解促進を目的としたレポートをまとめた。

【注目が集まる栄養素「ビタミンD」とは?】


・ビタミンDの摂取、体内産生方法
ビタミンDは油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつ。食事からの摂取だけでなく、紫外線(日光)の下で、皮膚で産生することが出来るという特徴を持っている。

・ビタミンDの役割
強い骨の形成と維持に必要なカルシウムとリンの体内吸収を促進し、丈夫な骨を作る働きがある。ビタミンDが不足すると骨粗しょう症や骨折になるリスクが高まる。また近年の研究で、骨だけでなくビタミンD不足による様々な健康への影響が分かってきている。

・一日に必要なビタミンD摂取量の目安
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、18歳以上の男女では、1日5.5μg(マイクログラム)のビタミンD摂取が必要であるという指針が示されている。※表1を参照

・日本人におけるビタミンD摂取の現状
平成28年度国民健康・栄養調査よると、20歳以上の日本人におけるビタミンD摂取量の平均は7.8μg/日(男性:8.2μg/日,女性:7.5μg/日)であった※[1]。しかし、「日本骨粗鬆(しょう)症学会」による骨粗しょう症の予防と治療ガイドラインの推奨摂取量では10~20μg/日、アメリカ・カナダの食事摂取基準では70歳以下に対し15μg/日、それ以上の年齢の方は20μg/日※[2]、IOF(国際骨粗鬆症財団)では20μg/日※[3]が推奨されており、国内外の指標に基づいた際、日本人のビタミンD摂取量は不足していると見られている。

ビタミンDの食事摂取基準

※[1]「厚生労働省 平成 28 年度「国民健康・栄養調査の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf

※[2] Institute of Medicine (US) Committee to Review Dietary Reference Intakes for Vitamin D and Calcium; Editors: Ross AC, Taylor CL, Yaktine AL, Del Valle HB (2011) Dietary Reference Intakes for Calcium and Vitamin D, National Academies Press
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK56070/pdf/Bookshelf_ NBK56070.pdf

※[3]Dawson-Hughes B, Mithal A, Bonjour JP, Boonen S, Burckhardt P, Fuleihan GEH, Josse RG, Lips P, Morales-Torres J, Yoshimura N (2010) IOF position statement: vitamin D recommendations for older adults. Osteoporos Int 21, 1151-1154

【過剰なUVケアで生じる、ビタミンD欠乏のリスクとは!? 夏は「ビタミンD不足」に要注意!】


・日光からビタミンDが体内産生される仕組み
紫外線が、皮膚の中にあるコレステロールの一種「7-デヒドロコレステロール」に作用することでプレビタミンD(ビタミンDの前段階の物質)が産生。その後、時間をかけてこの物質がビタミンDとなり、血液中に取り込まれる。

・夏の「紫外線不足」がビタミンD不足を引き起こす
近年、特に夏場は、紫外線量の増加や美肌ブームによる過剰なUVケアによって、女性を中心に極端に紫外線を避ける傾向がある。その結果、ビタミンDの体内産生量が減少し、ビタミンD不足に陥るリスクが上昇すると考えられている※[4]。

・ビタミンDを体内産生する上で必要な日光浴の目安時間
ビタミンDを10μg産生するために必要な日光浴の時間量・時間帯は季節や場所によって変わる。緯度が低い程、紫外線量が多いと言われているため、必要な日光浴の時間は少なくなる。
※各地の日光浴の必要時間は表2を参照

ビタミンD10μgを体内産生するまでに必要な日光浴の時間

【補足】鍵は「メラニン」の血中濃度!ビタミンD体内産生のための日光浴の最適な時間は、皮膚の色味によって異なる。
日光からビタミンDを体内産生する能力は、皮膚の色の濃い人の方が低いと言われている。皮膚の色が濃い人ほど、紫外線から肌細胞を守る色素である、メラニンの血中濃度が高いため(肌のUVケア能力が高いため)、より長時間にわたって紫外線(日光)を浴び、ビタミンDの体内産生を促す必要があるからだ。一方で白色人種は、皮膚の着色の基となるメラニンの血中濃度が低いため、紫外線を遮る色素が少なく、有色人種と比較して、短時間の日光浴でより多くのビタミンDを体内産生することが可能と言われている。紫外線照射実験を行った際、色白の人に比べて、皮膚色の濃い対象者では、血液中のビタミンD濃度の上昇が低かったという研究結果もある※[5]。

※[4]Matthias Wacker and Michael F. Holick“Sunlight and Vitamin D”Dermato Endocrinology  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3897598/(参照2018-07-13)

※[5]Libon F, Cavalier E, Nikkels AF.Skin color is relevant to vitamin D synthesis.Dermatology. 2013;227(3):250-4

【ビタミンD不足によって生じる、がんのリスク】


・ビタミンDが不足している人は、ビタミンDを十分に摂取している人と比べてがんの発生リスクが高い
国立研究開発法人 国立がん研究センターは、岩手や沖縄など8県の40~69歳の男女3万3, 736人を1990年以降平均約16年間追跡し、その内約8千人の血液中のビタミンD濃度を調査。ビタミンD濃度によって分けた4つのグループで調査した結果を2018年3月に発表している。この報告の中で、血液中のビタミンD濃度が低いと、各種がんの発生リスクが上昇することが分かった※[6]。

血液中のビタミンD濃度が最も低いグループががんになるリスクは、他グループと比較すると約20%高く、さらに、血液中のビタミンD濃度が最も高いグループと低いグループを比較すると、後者のグループが肝臓がんになるリスクは約50%高いという結果が明らかになった。一方で、ビタミンD濃度が上昇すると、各種がんの発生リスクが低下することも判明している。ビタミンDには、異常な細胞の増殖を抑えたり、アポトーシス(生物の細胞が、役目を終えて不要になると自ら死ぬ現象)を促進する作用が確認されており、この作用により、がんの発生を予防する効果があると考えられている。本調査結果により、ビタミンDを十分摂取することで、がん予防の一助とすることができると考えられ、現在も研究が進められている。

一方、米国では、大腸がんや乳がん、卵巣がんなど様々な癌の死亡率に地理的変動があり、その確率は南西と比較して北東のほうが約2倍高いということが判っている。これは、紫外線量の少ない地域でビタミンDの体内産生量が減少することが、がん発生リスクに関与しているためであると言われている※[7]。

以上のように、ビタミンDが様々ながんリスクの低減に関係していることが分かってきました。また紫外線における体内のビタミンD生産も、がんリスク低減に非常に重要であることが示唆されている。

血中ビタミンD濃度とがん全体の罹患リスク

※[6] Budhathoki S et al. Plasma 25-hydroxyvitamin D concentration and subsequent risk of total and site specific cancers in Japanese population: large case-cohort study within Japan Public Health Center-based Prospective Study cohort. BMJ. 2018 Mar 7;360:k671. doi: 10.1136/bmj.k671.

※[7] Grant WB. An estimate of premature cancer mortality in the U.S. due to inadequate doses of solar ultraviolet-B radiation. Cancer 94:1867-1875, 2002

【<女性必見>ビタミンDが左右する、健康・身体への様々な影響】


・慢性的な紫外線不足によるビタミンD欠乏が乳がんになる可能性を高める(サウジアラビアの研究結果より)※[8]
サウジアラビア国立がん登録簿2007年のデータによると、同国に於ける各種がんのうち最も多く診断されたのが乳がんであり、同年の女性では新たにがんと診断された患者のうち、乳がんが約26%を占めたことが発表された。主な理由は以下2点。

①サウジアラビア人は、肌の色が濃いために日光の紫外線からビタミンDを産生する能力が低い。
②同国の女性は、全身を黒いローブとスカーフ等で纏う文化的風習があるために、日光を浴びる機会が制限され慢性的に紫外線不足となる。これによりビタミンDの体内産生が大きく妨げられている。

体質や生活習慣等様々な要因による慢性的な紫外線不足から、ビタミンDの体内産生が減少した結果、乳がんの発症リスクが高まったと考えられる。短期的な紫外線不足が乳がんのリスクにつながるとは言えないかも知れないが、日常的に食事等からビタミンDの摂取を意識することで乳がん等のがん発生リスク対策に努めることが重要だ。

【イメージ画像】イスラム女性

※[8] Yousef FM et al. Vitamin D status and breast cancer in Saudi Arabian women: case-control study. Am J Clin Nutr. 2013 98:105-110, 2010

・肥満を防ぐ鍵はビタミンD!ビタミンD不足が女性の体重増加と関係あり!(アメリカの研究結果より)~血液中のビタミンD濃度が低いシニア女性は、体重増加を起こしやすい!※[9]~

2013年、アメリカ・オレゴン州ポートランドにおいて、65歳以上の女性4,659人のビタミンDの数値と体重の調査が行われた。5年間におよぶ本研究において、体重が増加した571人の女性の中で、ビタミンDレベル(30ng / mL未満)が不足している女性の平均増加体重は18.6ポンド、ビタミンDを十分なレベルで摂っていた女性は平均16.4ポンドであった。

さらに、研究開始の時点で ビタミンDレベルが30ng / mL未満の女性とそれ以上の女性を比べると体重が重かったことも明らかに。女性はビタミンDを十分に摂取することが、健康的な体型維持に繋がると言える。

【イメージ画像】女性の体重増加

※[9] LeBlanc ES et al. Associations between 25-hydroxyvitamin D and weight gain in elderly women. Journal of Women’s Health 21:1066-1073, 2012

【補足】日常的にビタミンDを取り入れることが大事!
ビタミンDが不足することで様々なリスクが生じることが、最近の世界中の調査・研究により明らかになってきている。

日差しが強まるこの季節は、紫外線対策への関心も高まっている。しかし上述した様に、過剰なUVケアに伴う紫外線不足はビタミンD産生不足につながる。紫外線が気になる夏こそ、UVケアと合わせて適切なビタミンD摂取を心がけることが重要だ。

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