愛し、愛されて20年『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』の魅力と熱いライブの数々を現地レポート

SPICE

2018/8/13 22:00

『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』2018.8.10(FRI).11(SAT)石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ


『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』が、8月10日(金)と11日(土・祝)、北海道の石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージにて開催された。日本初の本格的オールナイト野外ロックフェスティバルとして1999年にスタートしてから、今年で20回目の開催。台風の影響もあり両日共に雨模様というあいにくの天気にも関わらず、道内外から総数74,000人の観客が詰めかけチケットも全てソールドアウトする大盛況に。2泊3日のオールナイト開催のため、イベント終了は12日(日)の昼12時となる約50時間にもわたり、レジェンドから若手まで総勢約100組のアーティストが“蝦夷ロッカーズ”と共にアニバーサリーイヤーを盛り上げた。音楽好きなら誰もが一度は行ってみたいと思う、憧れの祭典『RISING SUN ROCK FESTIVAL』(以下、RSR)。今回は、SPICE編集部が実際に体験したイベントの魅力、そして目撃したドラマ溢れるライブの数々をレポートする。

■RISING SUN ROCK FESTIVALの魅力とは■

テントサイト
テントサイト

会場は札幌駅からシャトルバスで約40分のところにあり、広大な敷地に組まれた大小様々な7つのステージに分かれてライブが行われる。緑豊かな会場内には、「ヒグマ」や「カニ」、「ラーメン」といった北海道名物にまつわる名が付けられたテントサイトが設けられ、多くの人がテントを立て、あるいはBBQなどを楽しみながら一夜を過ごすことができる。あたり一面にテントがずらりと並び、まるでひとつの町のように活気が溢れていた。
初キャンプ、初テント
初キャンプ、初テント

編集部もテント泊に初挑戦。『RSR』では、アウトドアビギナーでテントなどアイテムが揃っていない人でも簡単にレンタルを申請できる。あらかじめ会場宛てに手荷物の発送も可能で、テントなど現地で受け取り、帰りは自宅に送ることまでできる。それも、今回初めて導入された「スマチケ」なら、スマホひとつで事前に決済を済ませることができるので、チケットの発券や現地で清算するなどの面倒なし。遠方からの人でも気軽にアウトドアを楽しめるように工夫されている。こういった便利なサービスを駆使して、手探りなまま完成したテントは、成功か失敗か分からぬ少し不格好な気もするが、自分で一から立てただけに愛着が沸き立派にすら思える。言うまでもなく、北海道の夏は涼しく夜は冷える。その上、今年は昨年に続き雨だ。こういったマイテントが会場内にあると、疲れたら休めるし、熱中症対策も雨宿りもできてかなり便利。また、泥まみれになったら、夜はシャワーやドライヤーのついたドレッサールームも併設された「ウォーターステーション」でリフレッシュ! 予約制で、混み合うので到着したら先に受付で予約をすませるとスムーズだ。

イベントの環境面に置いて、もう一点。 あまり知られていないが、実は今回から入場券や駐車券、クロークに至るまで、ほぼ全面的にスマホでの電子チケット化が図られた。よりよい環境を提供し、イベントを満喫すること以外の煩わしさを追求した結果だろう。20年かけて進化し続けてきた『RSR』が、ここで新たなチャレンジに踏みきり、新しいフェスの形を提示したともいえる。
テントサイト
テントサイト

と、ここで実際にテントでアウトドアを楽しんでいる人たちに、せっかくなので声をかけてみた。地方から友達を呼び寄せ今年初参戦したという新社会人のグループや、恋人と家族で毎年楽しみにしているというファミリー。中には、初開催時から20回目となる生粋の“蝦夷ロッカー”も!気づけば毎年グループの人数が増え、『RSR』での出会いを機に結婚して子供ができた仲間もいるとか。

生粋の“蝦夷ロッカーたち”
生粋の“蝦夷ロッカーたち”

生粋の“蝦夷ロッカーたち”
生粋の“蝦夷ロッカーたち”

さらに、他のフェスで出会った車いすの仲間を誘って一緒に楽しみたいとの思いから、よりステージが見やすい通路側の区画を選ぶため前日から並んでステージを目の前に臨むベストポジションにテントを立てたという。ひとりでも多くの人に、北海道の魅力を知ってほしい、『RSR』の魅力を一緒に体験・共有したいという想いが参加している1人1人あるのだと知って胸が熱くなった。
いちご100%のフローズンデザート「いちごけずり®」
いちご100%のフローズンデザート「いちごけずり®」

ライヴ以外にも北海道ならではの味覚が味わえる道内屈指の飲食店の数々がズラリ。『RSR』で誕生したいちご100%のフローズンデザート「いちごけずり®」(リトルジュースバー)や、「ミシュランガイド北海道2017」にも掲載された札幌の老舗スープカレー店「ピカンティ」のスープを使用したスープカレー麺(学生団体「カタリバ北海道」)などどれも絶品!

その場で剥いて生で食べられる朝獲れのホワイトコーン
その場で剥いて生で食べられる朝獲れのホワイトコーン

札幌の老舗スープカレー店「ピカンティ」のスープを使用したスープカレー麺
札幌の老舗スープカレー店「ピカンティ」のスープを使用したスープカレー麺

はるきちオーガニックファームによる「石狩市場」では、直売所のとれたて野菜を使用した地元料理が提供され、その場で剥いて生で食べられる朝獲れのホワイトコーンは感動的な美味しさ。
ジンギスカン
ジンギスカン

気軽にBBQが楽しめるオフィシャルダイニング「チュプ」では、くさみの全くない新鮮な生ラムが味わえるジンギスカンも大人気。ライブを楽しめて、地元の食まで堪能できるところも醍醐味だ。

オフィシャルダイニング「チュプ」
オフィシャルダイニング「チュプ」



さらに、薪割り体験など自然を満喫できるアトラクションに、環境問題について学べるブースに、腰かけられる干し草の俵や数々のフォトスポットに至るまで、ステージ上で音が鳴っていない時間も楽しめる要素が満載となっている。ステージとステージは離れたところで歩くと20分もかかる程に広い。
フードエリア
フードエリア

だからこそ、ステージ間でこういったフードやアトラクションを楽しんだり、掲示された過去の開催概要を見て回って歴史を垣間見れば、飽きることなくより充実した時間を過ごすことができる。因みに、「RSR」が公式アプリをリリースしていて、マイタイムテーブルを組み立てることができる上、ステージ間の移動にかかる所要時間も明記された便利な代物。全国のフェスで使える「fes+」というアプリでは、マイタイムテーブルの開演時間前に通知してくれるほか、現在位置がマップに出るので、広い会場でも迷わないので安心。

■初出演yonige、CHAI、初日トリを務めて凱旋のサカナクション■


さて、ライブステージはというと、メインとなるSUNSTAGEで、初日のトップバッターを飾ったKEMURIは、ご機嫌なスカチューンで観客を躍らせ、朝から詰めかけた多くの観客を前に、伊藤ふみお(vo)が「目の前の景色を誇りに思います」と「I am proud」を投下。時を同じくして、RED STAR FiELDではサンボマスターが「世界をかえさせておくれよ」「光のロック」とキラーチューンでのっけからぶち上げ。山口隆(Vo/Gt)が、「20回目の青春だー!」と「青春狂騒曲」でフィールドはもみくちゃの盛り上がり。そう、『RSR』では各ステージが並行して同時に進行される。にも関らず、どのステージも溢れんばかりの蝦夷ロッカーズで熱気がムンムンに。
yonige (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:小川舞
yonige (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:小川舞

屋根付きのステージで、熱気がテントの外まであふれていたのはEARTH TENTの2組目で登場したyonige(1日目)。初出演の『RSR』がとにかく新鮮だったようで、テント泊が楽しそうだと羨ましがったり、牛丸ありさ(Gt/Vo)は「電気グルーヴで一緒に踊ろうぜ」と、ごっきん(Ba)は「北海道、クソ大好きなんです。なぜなら、食べ物が美味しいから!」と、相も変わらず素直なMCを繰り広げる2人。ガツガツしないマイペースなトークとは裏腹に、衝動のままに駆け出したくなるような「our time city」や「アボカド」などアッパーな曲をゴリゴリのバンドサウンドにのせて放つ。かと思えば、「沙希」をしっとりとエモーショナル歌いじっくりと聴かせ、ラストはCMにも起用された「笑おう」のショートバージョンを披露。「またライブハウスで会いましょう。大阪、寝屋川、yonige」でした、といつもの挨拶で締めくくった。地元の寝屋川から遠く離れた北の大地で、いつも通りのスタンスで、いつも以上の熱を帯びたステージを繰り広げ蝦夷ロッカーズの心に鮮烈な印象を残していった。
CHAI (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:藤川正典
CHAI (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:藤川正典

同じく屋根付きのdefgarageが、スタート10分前から観客が入りきらないほど溢れていたのはCHAI(2日目)。彼女たちも『RSR』初登場。高まりきった観客のボルテージを更なる高みへと誘うように、分厚いサウンドのアンサンブルで観客を心躍らせていく。物販紹介もメロディーに乗せて楽曲のようにして紹介。急にメンバーが楽器を置いて、ABBAの名曲「ダンシング・クイーン」を替え歌にしてそろい踏みのダンスをしながら自己紹介。そんなおきて破りのユニークな展開に引き付けら、気づけばCHAIの世界をどっぷりと堪能。“みんなかわいい。最初からかわいい”、“コンプレックスは個性。コンプレックスはアートなり”と、新たな“かわいい”を提唱する彼女たちの想いが込められた「N.E.O.」を、そして最後には「sayonara complex」で観客とグルーヴを高めていく。「We are CHAI! You are CHAI!」と叫んでいたように、彼女たち自身が新たなジャンルになりつつある予感と、彼女たちが新たにシーンを切り開いていく期待感が満ち満ちたステージだった。
サカナクション (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:古渓一道
サカナクション (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:古渓一道

defgarageは、「どんな大物の海外アーティストも、全てがガレージで音を鳴らしたところから始まった」というステージコンセプトがある。この日本でも小さなライブハウスからシーンを駆け上がり、今では各地のフェスや大きな会場でメインを張って熱狂の渦を巻き起こしている名だたるバンドが、SUNSTAGEには多数出演。Suchmos(1日目)は、「直感に従って音楽を楽しもう」とYONCE(vo)が投げかけ、北海道の風を感じながらビートルズの名曲をマッシュアップして観客を驚かせる。札幌で生まれたサカナクション(1日目)は、初日のトリを務めて凱旋。闇夜も本降りとなった雨も演出かのように、レーザービームが飛び交い、ストロボがバシバシとキマる怒涛のステージングは異世界のような高揚感でいっぱいに。
マキシマム ザ ホルモン 撮影:浜野カズシ
マキシマム ザ ホルモン 撮影:浜野カズシ

また違った意味での異世界を、汗だく泥まみれの混沌とした興奮を生み出したのはマキシマム ザ ホルモン(2日目)。雨風に打たれた疲労から観客を「ぶっ生き返す」かのように、ヘヴィなサウンドでまくしたてていった。
TAIRA-CREW 撮影=大西健斗
TAIRA-CREW 撮影=大西健斗

7つのステージの他にも、夜になると幻想的なライトアップが施されるTAIRA-CREWやDJサウンドが鳴りやまないダンスホールと化したPROVOなど、個性的なエリアがいくつかある。日中はバーカウンターとしてドリンクを提供しているRED STAR CAFEは、深夜まで営業しているスナックへと変貌して、出演者とカラオケが楽しめる催しが行われたり。そのすぐ隣には、東北大作戦とコラボしたステージもあり、弾き語りなどが披露された。
よよかの部屋 (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:藤川正典
よよかの部屋 (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:藤川正典

このステージで、ひと際注目を集めていたのは弱冠8歳、小学2年生のドラマー・よよかが率いる家族バンド、「よよかの部屋」(1日目)。あどけない姿からは想像できないほど、パワフルでテクニカルなドラミングを披露。そして、まさかのサプライズで、奥田民生にKenKen(RIZE,Dragon Ash, LIFE IS GROOVE)、CROSS ROADSの聡一郎、そしてCharが呼び込まれてレッド・ツェッペリンの「Good Times Bad Times」を披露。大歓声と拍手喝采が巻き起こる圧巻のステージに、「凄いのを観てしまった…」と観客から声がこぼれていたほど。
山下達郎 撮影:菊地英二
山下達郎 撮影:菊地英二

一方、最年長となる山下達郎(2日目)が、4年ぶり3度目の出演。7月にリリースしたばかりの新曲「ミライのテーマ」を披露。「若い人たちにはまだまだ負けてられません」と、御年65歳にしてまだまだ勝ちに行く、挑戦して闘っていく姿勢に圧倒される。何より、約1分近くは掻き鳴らされたであろうギターのカッティングの凄みに、これでもかと人がまた集まってくる。誰もが一聴したことはある名曲「クリスマス・イブ」が歌われるとワッと会場が沸き立ち、作曲を手掛けたKinKi Kids「硝子の少年」のセルフカヴァー、さらにはさらに「このまま続けるつもりでしたけど、ノイズが入ったのでギターを変えます。お詫びにオマケで」と呟き、近藤真彦の「ハイティーン・ブギ」へと続く観客歓喜の展開も。「アトムの子」まで高らかに歌われ、気づくとコーラスがひとり増えていた。遅ればせながら、山下が改めて紹介。竹内まりやがコーラスで参加! フェスで、野外で、これだけ贅沢なステージを目の当たりにできるなんて……。「最年長であと何回出られるか分かりませんが、また呼んでもらえたら嬉しく思います。最後に夏の終わりのこの曲を」とラストはギターを置き「さよなら夏の日」でステージを後に。
サニーデイ・サービス (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹
サニーデイ・サービス (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹

歌の持つ力を痛感することができた、山下達郎のステージ。時計の針を少し戻すと、時をほぼ同じくしてBOHEMIAN GARDENでは、「RSR」初回では大トリを飾り、10回目でバンド再結成を果たすなど、イベントの節目と共にドラマを重ねて来たサニーデイ・サービス(2日目)がライブを。この日、曽我部恵一(Vo/Gt)がこの瞬間への感謝を伝えた後に披露された「セツナ」。パンクに荒ぶる轟音は、雨を吹き飛ばすような熱気。というか、覇気を帯びていた。壮絶なステージングの後、「亡くなって、さみしいよ。それだけ」と、今年の5月に亡くなったメンバーの丸山晴茂について触れ、「白い恋人」、「愛と笑いの夜」、そして「青春狂走曲」と初期のナンバーが続いていく。“そっちはどうだい/うまくやってるかい”と投げかける歌詞が、丸山に語り掛けてるように思えてならない。途中、思わず涙を流す観客に向けた「泣いちゃダメだよ」と曽我部の言葉に、込み上げてくる想いがより溢れ出てしまった。とはいっても悲しみに暮れたようなムードでは決してなく、次なる節目の30回目の「RSR」ではどんなステージを見せてくれるのだろうかと、前向きな想いで未来に向かう煌めきと熱量の混じったステージだった。
怒髪天☓RSR FRIDAY NIGHT SESSION (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:西槇太一
怒髪天☓RSR FRIDAY NIGHT SESSION (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:西槇太一

さらに時計の針を戻したdef garageでは、怒髪天がホストとなってbloodthirsty butchersのトリビュート・ライブを実施。「RSR」初開催時にも出演していた、札幌生まれのbloodthirsty butchers。2013年に吉村秀樹(Vo/Gt)が急逝してから5年たった今、20回目の開催という節目だからこそ、吉村に捧げるようにブッチャーズが好きな仲間が集った。1番手を担うMy Hair is Badの椎木知仁は、「光栄です」と緊張した面持ちで「ジャックニコルソン」を、続くKO(SLANG)は吉村の写真パネルを掲げて登場。怒髪天は感極まりながらも「I’m on fire」を捧げた。さらに、吉野寿(eastern youth)は、吉村が愛飲していたいいちこを片手に、エレキで「Never Give Up」を弾き語り。後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)は、先に終えていたアジカンのステージでも、吉村が好きだったという「マーチングバンド」とブッチャーズの「banging the drum」をカバーして披露していたほど慕っていたという。さらにTOSHI-LOW(BRAHMAN)は「散文とブルース」の歌詞を変え、「ライジングサンにまた戻ってきて」と熱唱。会場には、拳がゾクゾクと突きあがる。ブッチャーズのジャケットを描いてきた奈良美智も呼び込まれ、出演者と吉村への愛を語り、数々の“ジャイアン伝説”で大笑いする明るい場面も。最後は、bloodthirsty butchersが登場。射守矢雄、小松正宏、田渕ひさ子の3人が轟音を響かせた瞬間、空気が変わった。涙をこらえていた者も抑えきれず、ただただ拳を突き上げる。確かにブッチャーズの音が鳴っていたのだ。誰かが亡くなりこの世界にいなくなっても、音楽は残る。胸に焼き付いた記憶は消えない。20回目ともなると色々あるが、改めてそんな音楽の力を感じることができた瞬間だった。
獄門島一家 (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:西槇太一
獄門島一家 (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:西槇太一

『RSR』ならではいえば、この日だけのコラボも魅力のひとつ。『RSR』で初ライブを披露した、獄門島一家(1日目)は、「ミスター・ライジングサン」こと20回皆勤賞の中村達也(LOSALIOS、MANNISH BOYS)が家長となり、KenKen(Ba)、ペトロールズの長岡亮介(Gt)、そして女王蜂のアヴちゃん(Vo)からなるバンド。ステージを歩きいてはステップを踏むだけで視線を釘付けにするアヴちゃんの、妖艶なハイトーンボイスに、ドスの効いたボーカルのスイッチが冴え渡る。ねじり鉢巻きに腹巻を身に着けた父・中村とKenKenの強靭なリズムが、観客の興奮を押し上げ、シブガキ隊の「スシ食いねェ!」のカヴァーには観客も万歳!獄(極)上のロックサウンドが観客を飲み込んでいった。

■「普段は寝て夢を見てる時間だと思うけど、今日は起きて夢を見てくれよ!」クロージングアクトに東京スカパラダイスオーケストラ■


アニバーサリーイヤーのクロージングアクトを飾ったのは、東京スカパラダイスオーケストラ。ドラムの茂木欣一と、中村達也のドラムソロバトルから幕を開けたステージはスペシャルコラボのオンパレード!谷中敦(Sax/Vo)が、「一生懸命作ってきたオリジナルの数々を披露できると思うとうれしいよ!普段は寝て夢を見てる時間だと思うけど、今日は起きて夢を見てくれよ!俺達が作った夢を思いっきり楽しんでくれよ!」と興奮しながら挨拶。すると早速、最初のゲスト・奥田民生が「美しく燃える森」をムーディに熱唱。さらに、未発表だったチバユウスケ(The Birthday)がクールに登場して「カナリヤ鳴く空」を唄う、いきなりサプライズな展開に。キヨサク(MONGOL800)とバンドでもコラボした「流れゆく世界の中で」に続いて、なぜかパンツイチのTOSHI-LOW(BRAHMAN)が「野望なき野郎どもへ」をパワフルに轟かせる。(急遽、出演が決まったため、スーツが用意されておらず、裸になったとか)。

夢のような時間はまだまだ終わらず、ハナレグミと「追憶のライラック」を、さらに今度はあのピンクのジャケットを身にまとった甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)と「星降る夜に」を披露。ステージで弾けるヒロトの姿に、観客もなりふり構わず大盛り上がり!さらにさらに、尾崎世界観(クリープハイプ)と「爆音ラヴソング」を、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)が「白と黒のモントゥーノ」を歌ってスカパラと共に祝祭感溢れるステージを彩っていく。最後のゲストは、このために駆けつけてきた峯田和伸(銀杏BOYZ)。谷中の心配も他所に、おもむろにステージから飛び降りては、身を乗り出して「ちえのわ」を歌う峯田。朝方に唄いたかったという「めくれたオレンジ」も披露され、最後は谷中と峯田がハグする感動的な場面も。

東京スカパラダイスオーケストラ (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:n-foto RSR team
東京スカパラダイスオーケストラ (C)RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:n-foto RSR team

すっかり明るくなった明け方を迎え、ラストは「DOWN BEST STOMP」。特大のクラップが巻き起こり、アンコールの「Paradise Has NO BORDER」ではゲスト全員がステージに揃って踊り最高潮のフィナーレに。涙を浮かびながら、「一生のうちに、こんな時間あるかないかだよ。生きてるって気がしたぜ!」と谷中がシャウトして、またとない新しい朝を蝦夷ロッカーズと迎えることができた。

雨が続き、足元も泥まみれで決していい環境だったとは言えない中、最後まで蝦夷ロッカーズの笑顔が絶えることがなかった。そして何より、彼らに負けないぐらい出演者ひとりひとりがとにかく楽しそうで、皆が『RSR』への愛を語っていたことが印象的だった。初日のトリを務めた、レキシのステージはイベントを象徴していたようにも思う。この日一番と言ってもいいほどの大雨の中、予定時間を大幅に越して、約2時間にもわたるライブを繰り広げた。トリなので、夜中の0時30分からスタートして、2時すぎまでライブが続いたのだ。それでもRED STAR FiELDを覆いつくすほどの、蝦夷ロッカーズの数はほとんど減ることなく、皆が楽しそうにしてキラキラした笑顔で、手と稲穂を振っている。ライブが終わりそうになると、残念がる観客に応えてもう1曲、さらにもう1曲となかなか終わらないライブ。これには池田貴史も自慢のアフロがしぼむまで、雨に濡れながら歌い続けていたのだ。レキシとして初めて出演したフェスが『RSR』だったと語り、今もあの日の光景を追い求めながら、ライブをしているという池ちゃん。「“ラサロ”(RSRのこと)は、我が家です。俺にとっては一番のフェス。愛されている数では、日本一のフェス!」と、イベントへの想いの丈を明かしていた。

蝦夷ロッカーズたちに、そしてアーティストたちに愛され続けて20年目を迎えることができた『RSR』。雨にも風にも、夏なのに寒い北海道の気候にも負けず、どんな状況でも、音楽を楽しもうというポジティブなムードで会場は、常に活気に満ち溢れていた。隣のテントの人がまるでファミリーかの様に、すれ違う人が友達の様に、『RSR』がひとつの町となった一体感は、なんともいえない解放感と温かさがあった。そして、緑に囲まれた非日常な環境で、夜を共に乗り越えて朝を迎えた瞬間の清々しさと胸の高鳴りは格別だ。他では味わうことができない、この瞬間のために、きっと来年も多くの人がこの石狩に集うことだろう。

早くも来年の開催が8月16日(金)、17日(土)の2日間に渡って決定している。また来年も、その先も何度でも、この地で多くの人と共に音楽を楽しみながら、夜を超え、新しい朝を迎えたいと思った。

取材・文・会場写真=大西健斗

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