優しかった麻薬売りの少年が「獣」に 『スノーフォール』シーズン2、全米を揺るがす歴史的事件へ

海外ドラマNAVI

2018/8/11 20:00

80年代のロサンゼルスを舞台に、麻薬の売買に関わる人々を描く『スノーフォール』。シーズン1で優しさと機知を見せた19歳のコカイン売りの少年フランクリン(ダムソン・イドリス)は今期で一変、ドラッグ帝国を統治する残忍なボスとして、売買網の拡大を目論む。アメリカ全土が政治的混乱に傾く80年代の雰囲気を色濃く反映した本作は、米FXで放送中。

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■抜け目ない少年ディーラー vs 後のないCIA職員
犯罪の横行するロサンゼルスのサウス・セントラル地区で、麻薬取引をするフランクリン。路上の安価なコカイン売りからスタートした彼は、その機転を活かしてシーズン1で瞬く間に「出世」。今では売買グループの元締めを務めるほか、安価だが危険なクラック・コカインの精製法を会得し、さらにビジネスを拡大しようと企んでいる。イスラエルの大物犯罪者アヴィ(アロン・アブトゥブール)とその支持者たちの支援を受け、ロスの裏通りでの存在感をますます高めていく。

そんな彼を罠にかけようと目論むのは、CIA職員のテディー(カーター・ハドソン)。失職寸前の彼は、CIAの極秘ミッションを担当。中米ニカラグアのゲリラ勢力によるコカインの密輸を幇助し、ゲリラの資金調達を助けるという、危険な非公式任務だ。これはロナルド・レーガン大統領の命によるもので、80年代アメリカを憲政の危機に駆り立てた実際のイラン・コントラ事件がモデルになっている。少年とCIA職員の駆け引きが、アメリカ全体を揺るがす事件に発展してゆく――。

■気さくだった少年の心を取り戻すには......
知性的なギャングスターを演じる主演のダムソンは、シーズン1の放送でブレイクした新進気鋭の26歳。その演技は映画『ゴッドファーザー』に登場する裏社会の成功者、マイケル・コルレオーネにも匹敵する、と米Vultureは讃える。隙がなく、常に一歩先の動きを用意し、切るべきカードを懐に用意しておく周到なキャラクターを完璧に演じる。

シーズン1では気さくで利口な少年だったフランクリンも、今期はまるで獣のように残忍な人物に変化。演じるダムソン本人は米Newsweekのインタビューで、麻薬取引での失敗を繰り返して心が折れ、裏社会の人物との衝突を経て次第にモンスターのような男に変貌した、と背景を明かしている。関係者にはボスとして接するフランクリンだが、淡い恋心を抱くメロディー(レイン・エドワーズ)の前では少年の心を取り戻す、とダムソン。彼女の存在は、フランクリンが優しさを取り戻す鍵となるのだろうか。

シーズン1放送前にダムソンは米GQのインタビューで、フランクリンには恋の相手を見つけてほしいと語っていた。スマートで弱みを見せない彼にとって、恋人の存在は良い意味で弱点となるだろうとのこと。シーズン1では互いに親しみを感じていながらも、麻薬の隠蔽に利用して傷つけてしまった過去を持つ二人。今シーズンでの関係が気にかかる。

■80年代ロサンゼルスの空気感
不安定な政治情勢と、輪をかけて治安の悪いサウスセントラル地区の空気感を、画面を越えて味わわせてくれる本シリーズ。Vultureは、80年代ロサンゼルスの空気が隅々にまで行きわたっており、独特の空気感を確立していると評価。銃撃戦や脅しなどスリルあふれるシーンが目白押しで、この上なく素晴らしいシリーズだと賞賛している。特に第1話は無駄のないストーリー運びで、緊迫感を残したエンディングまで一気に魅せてくれる。

プロデューサーのジョン・シングルトンは、細心の注意を払って80年代ロサンゼルスの音と光景を画面に再現。米Atlanticはこうした入念な時代考証を讃えるほか、アメリカの歴史上の事件の背景を知ることをできる点が興味深いとしている。

路地裏を制する少年の活躍が眩しいクライムドラマ『スノーフォール』は、米FXでシーズン2が放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『スノーフォール』シーズン1
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