勝村政信、「仮面ライダー」は心の中の"男の子"を揺らしてくれる日本の文化です


●史上最強の仮面ライダー
現在、テレビ朝日系全国ネットにて好評放送中の特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』と『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の劇場版が、全国ロードショー公開されている。『ビルド』の映画タイトルは『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』。脚本をテレビシリーズと同じく武藤将吾氏、監督を『仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』(2017年)で好評を得た上堀内佳寿也氏が務める。

テレビシリーズが最終回に向けて大きな盛り上がりを見せている『仮面ライダービルド』だが、この劇場版ではテレビでは見られない仮面ライダービルド/桐生戦兎の"知られざる戦い"が描かれるという。東都、西都、北都という3つの首都が繰り広げてきた"戦争"が終わり、パンドラタワーに新政府が樹立。3つの首都にはこれまでの首相に代わって、それぞれ「知事」が置かれ、平和のための新体制が確立された――はずだった。だがそれは、仮面ライダービルド/桐生戦兎を撲滅するための、隠された真実につながる完璧なる計画だったのだ……。

今回は、映画でカギを握るキャラクター、伊能賢剛/仮面ライダーブラッドを演じる俳優の勝村政信にインタビューを敢行した。さまざまなドラマや映画、さらにはサッカー番組での司会など、多方面で活躍する彼は、1971年に放送が開始された『仮面ライダー』ど真ん中の世代。映画で"史上最強のライダー"仮面ライダーブラッドへの変身者を演じた喜びや、作品の見どころについて訊いた。

――映画のオファーが届き、それを受けた経緯についておうかがいできますでしょうか。

なんかすごいですよね。この年齢で「仮面ライダー」のオファーをいただいた驚きと、喜びが入り混じった不思議な感覚でした。

――オファーを受けた際は、最初から変身するというお話もあったんですね。

お話をいただいたときに、最初はおやっさん(『仮面ライダー』の立花藤兵衛)みたいな役なんだと思ったんです。それが仮面ライダーに変身する役だったので、正直驚きました。しかも"史上最強のライダー"。いままで積み上げてきた「仮面ライダー」の歴史の中で、そんなオイシイ役をやらせていただいていいのかと(笑)。すごいことですよね。ブラッドは、強いだけでなく、めちゃくちゃカッコいいですよ。

――特撮ヒーロー作品の撮影ということで、普段とは異なるところもある現場だと思うのですが、特に新鮮に感じられたことはありますでしょうか。

スーツアクターの方も一緒にいらっしゃるというのが、僕の中では一番インパクトがありました。セリフもちゃんと覚えていらっしゃって、アクションシーンのときにセリフをしゃべりながら演じられているんですね。殺陣ももちろんアクション監督の方がいらっしゃって、芝居と殺陣がシンクロする「仮面ライダー」の世界ができあがっているんだなと感心しました。

――今回は北九州でエキストラ3000人が参加した大規模ロケが行われたことも話題になりました。こちらの撮影の感想はいかがでしたか?

あそこまですごい規模でやるとは……と最初驚きましたよね。市役所の前をあれだけ大規模に封鎖して。人もよくあんなに集まってくださったなって。道路を封鎖してしまうなんて、昔『西部警察』が大通りを封鎖して装甲車を走らせてきました。すごい衝撃がありましたけど、それ以来の衝撃でした。今回はそこに仮面ライダーがいましたから、装甲車以上のインパクトです(笑)。

――作品で絡むことの多い、桐生戦兎/仮面ライダービルド役の犬飼貴丈くん、万丈龍我/仮面ライダークローズ役の赤楚衛二くんなど、若いキャストの方たちとお話はされましたか?

親子くらい年齢が離れていますが、すごく真面目で真剣にライダーの世界と向き合っていました。しかもおじさんに気を遣ってくださって、話もちゃんとしてくれる(笑)。「仮面ライダー」の撮影は、しっかりとしたチームワークができていますから、そこに入っていくのはおじさんには難しいところがありますが、それも理解して、とても自然に橋渡ししてくださったのはありがたかったですね。

――同じくブラッド族を演じる藤井隆さんとの、舞台あいさつの楽しいやりとりも印象的でした。

藤井くんは以前からよく知っているので楽でした。藤井くんは「こういうスケールの大きな作品に出ることができて、とても楽しい」という話をしていました。僕も同じ思いでしたね。

●おじさん、おじいさんになっても"男の子"

――今回の撮影の中で、"アフレコ"があることも大きな違いだと思うのですが、実際にやってみて、いかがでしたか。

アフレコはきついですね。犬飼くん、赤楚くんともしゃべっていたんですけど、彼らも「きつい」って言ってましたから。声を張ることが多いので、声を枯らしてしまうことがよくあるそうです。監督は、CGも含めてまだできあがっていませんが、イメージをはっきりと伝えてくださって、「ここはもうちょっと声を張ってほしい」とか、いろんな細かい要求があります。それに彼らは本当にちゃんと応えていました。戦いのシーンは、声を張るシーンばかりで、タイミングも含めて大変でした。

――伊能は初登場の人物でありながら、実はこれまでのエピソードの裏で糸を引いており、エボルトや戦兎たちとの関係性がすでに存在しています。勝村さんの中で、その埋めていく部分をどのように解釈して演じられましたか?

すべての黒幕ですからね。みなさんがこれまで長い期間やってらっしゃったドラマの話にズンっと入ってきて、見事にリンクしていく。その肝となる役ですから、失礼のないように、世界観を壊さないようにということを心がけました。あとは背負った物語が大きいので、あまり生活感が出ないように。知事という設定も含め、人々から熱狂的に支持される魅力も必要です。そのへんが大変でした。

――「仮面ライダー」作品に出演してみて、あらためて「仮面ライダー」シリーズの魅力はどんなところにあると感じられましたか?

子どもから大人まで、男の子の心をいつまでも揺らしてくれる作品なのだと思います。僕も一番最初に『仮面ライダー』を見た世代なんですけれど、50になっても60になっても、心のどこかに男の子っているじゃないですか。そういう心をいまだにくすぐってくれるんだなと。

僕はもう55歳で、人生が80年だとしたら、あと20年くらいで死んでしまいますが、「仮面ライダー」はずっと残る。子どもたちに夢を見せ続けてくれます。『仮面ライダー』で本郷猛を演じた藤岡弘、さんはスーパーレジェンド、藤岡さんや当時のスタッフのみなさまが繋いでくださった奇跡のような作品ですよね。どのくらいシリーズが続くかはわかりませんが、もしかしたら永遠に続くかもしれないわけです。だからこの作品は日本の文化の一つです。作品に関わっているみなさんの深い"ライダー愛"が、作品を文化に押し上げたのでしょう。

――その歴史の中でも仮面ライダーブラッドは唯一勝村さん演じる伊能だけが変身するですからね。

史上最強ですからね。もう一度いいます、史上最強です(笑)。本当に光栄です。

――初代のライダーから見られていたということなのですが、あえて一番好きなライダーを挙げるとしたら?

やっぱり最初の藤岡さんの仮面ライダー1号がインパクトありましたね。あとは『仮面ライダーV3』です。いきなり色味が変わって、すごいカッコよかった。怪人も今の言葉で"ハイブリッド"でした。「テレビバエ」も「カメバズーカ」も、今でも鮮明に覚えています。数十年経って、これだけ時間が流れてもこんなに覚えているんですから、作品の力の証明ですね。"ライダー力"とでもいうんでしょうか。

――久しぶりに帰ってきて、「仮面ライダー」のここが変わったなと思ったところはありましたか?

スケール感が違いますね(笑)。登場するライダーの数もすごいし。「殲滅」とか、なかなか言わないセリフを楽しませていただきました。

――制作発表会見では変身ポーズをつけなかったことを後悔している……とお話されていましたが、こういうのやってみたかったなというものはありますか?

シンプルな「変身!」でももちろんいいんですけど、せっかくですからエレガントなものでもよかったのかな。クラシックな感じの変身ポーズを一度くらいはやってみてもよかったのかなっていう。欲張ってしまいますね(笑)。

――『仮面ライダー』で胸をアツくした勝村さんの同世代のファンの方に、この作品をおススメするとしたらどんなところでしょう。

これがずっと繋がってきているってことですよね。「仮面ライダー」は、男の子で嫌いな人はいないと思います。どの世代でも影響受けている作品です。それに、「仮面ライダー」は風車でしたけど、「仮面ライダービルド」はフルボトルを使って変身するという、まったく違う変身アイテムが登場します。そこも世代世代で楽しめるものですよね。作っている方たちも、様々なアイデアを創造し続けるところもすごい。そういうグッズも含めて繋がっています。そんな作品はなかなかありませんからね。

――仮面ライダーブラッドのビジュアルを見た印象はいかがでしたか?

もしかしたら今までで一番かっこいいんじゃないかなと思っています(笑)。で、本当は見せちゃいけないんですけど、こっそり何人かに見せちゃいました。「写真は送れないけど、コレ見て! スゲーだろ」って。男の子たちはみんな「ウワァ!」ってすごく驚いてましたよ。"男の子たち"っていっても、みんな50手前なんですけど(笑)。みんなやっぱり男の子なんですね、おじさん、おじいさんになっても。

――あらためて映画の見どころをお願いします。

伊能たち「ブラッド族」がどういう行動を起こすのか、そしてどんな戦い方をするのか、が見どころです。ビルドたちとは格が違うんだぞという。そんな強大な敵に対してビルドたちがどのように立ち向かっていくのか、楽しみにしていただきたいですね。

劇場版「ビルド・ルパパト」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

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