笑福亭鶴瓶『西郷どん』悪役・岩倉具視は「“よー似ているな”って言われる」

クランクイン!

2018/8/11 08:00

 落語家としてだけではなく、俳優としても数々の映画やドラマに出演し、高い評価を受けている笑福亭鶴瓶。現在放送中の大河ドラマ『西郷どん』では、幕末の混乱期、公家という立場ながら大きく時代に関与した岩倉具視を演じている。撮影前は「500円札になった人」くらいの知識で臨んだというが、いまは「どんどん面白くなってきた」と目を細めた鶴瓶が、岩倉の魅力や、鈴木亮平や瑛太との共演について語った。

【写真】『西郷どん』で岩倉具視役を演じる笑福亭鶴瓶

鶴瓶演じる岩倉は、下級公家でありながら、強い上昇志向があり、一筋縄ではいかない人物。近代日本の礎を作った人物として高い評価を受ける一方、破天荒な立ち振る舞いは悪者とされることも多かった。しかし鶴瓶は、演じているうちに大いに共感できる部分が出てきたという。

「ほんまに面白い人ですよ。公家のなかでは下級の家柄なので、悔しさもある。なんとか這い上がろうとしていましたが、権力をつかみかけてから転落し、蟄居(ちっきょ)生活。その間、金がないから家で賭博場を開くとか普通じゃないですよね。でも『このままでは終われない』という気持ちはよくわかるんです。僕もいつも向上心を持って生活しているので」。

非常に多面性を持った岩倉という人物。鶴瓶は「役作りというよりは、岩倉を楽しんでいる」とアプローチ方法を述べると「演じれば演じるほど面白くなってくる役柄。基本的に悪い奴だと思われているようで『鶴瓶さんによー似ているな』と言われるのですが、僕は悪者ではないですからね」と、ヒール役という意味では自分とは違うと念を押していた。

鶴瓶の大河ドラマ出演は、1999年に放送された『元禄繚乱』以来、約20年ぶりとなる。当時は、親交の深かった大石内蔵助役の五代目中村勘九郎(18代目中村勘三郎)から依頼を受けて「ラストだけ出演した」とのことで、「実質は今回が初めてのようなもの」と語る。

大河経験の少ない鶴瓶にとって、起伏の激しい岩倉という人物でのオファーは「自分に務まるのだろうか」と最初は悩んでいたという。それでも西郷吉之助役の鈴木、大久保一蔵役の瑛太との共演は、鶴瓶にとって大きな魅力となった。

「亮平も瑛太も仲が良いんです。瑛太は『ディア・ドクター』という映画で一緒だったのですが、どんどんと芝居の腕を上げていて、彼とまたやれるというのはすごく楽しみでした。一方の亮平も、ちょいちょい飲みにいく間柄なのですが、今回の役は亮平にピッタリで、本当にいい。一緒に芝居できるのが楽しみでした」。

しかし、仲が良すぎるからこそ、鈴木からは強烈なダメ出しを何度も受けているという。

「僕は撮影の2日前に集中してセリフを覚えるわけです。でも亮平は人のセリフまで覚えている。こちらがちょっとした勢いで間違えというか、間違えでもないのですが、ニュアンスが違ったセリフを言うと、『もうヨレヨレじゃないですか! 大河ですよ、ちゃんと覚えてきてくださいよ』ってものすごい突っ込みを入れてくるんです。『よくそれで何冠も映画賞とりましたね』って(笑)」。

鈴木の当たりの強さに愚痴をこぼしていた鶴瓶だったが「でも、愛加那との芝居もそうでしたが、やっぱりすごい。亮平の西郷を見ていると、僕が参加してしまっていいのかなって本気で思っちゃいますよね。迷惑かけそうって…」と演技を絶賛する。

とは言うものの、鈴木が話していたように、鶴瓶は数々の賞を受賞するなど、確かな演技力を持ち、映像関係者の間でも非常に評価は高い。しかし本人は「こんなこと言ったら不謹慎かもしれませんが、僕は落語家であり、バラエティーのタレントであり、お笑いというジャンルではプロだと思っています。当然、職業として仕事を受けているのですが、役者というのは、決して本職だと思っていないんです」と胸の内を明かす。

逆に言えば、そこまで肩に力が入っていないからこそ、持ち味のナチュラルな演技を見せることができるのかもしれない。そんな鶴瓶が演じる岩倉は、第30話(8月12日放送)で大きな見せ場がある。「この回を見て世間がどんな反応を示すのか…マネージャーはすごく心配していたのですが、割とおかしくなかったと思うんです」と自信をのぞかせた鶴瓶の演技に注目だ。(取材・文:磯部正和)

大河ドラマ『西郷どん』は、NHK BSプレミアムにて毎週日曜18時、NHK総合にて20時放送。

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