年収が高い人ほど“語彙力”がある!?―山口拓朗の『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』

あなたは、自分の語彙力に自信がありますか?

「自信がない」または「ふつう」と答える人が多いのではないでしょうか。

語彙力に磨きをかけたい人たちの強力サポーターとなるのが、新刊『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』で話題の山口拓朗さんの短期連載(全5回)です。

「紛らわしい語彙や言い回し」から「武器になるビジネス語彙」「実践的なモノの言い方」まで、全5回に渡って語彙力アップのヒントをお届けします。

初回のテーマは、その総論となる「仕事ができる人は、なぜ語彙力があるのか?」です。

「語彙=言葉=○○」の○○には何が入る?

「その場で適切な言葉が出なくてあせった…」

「『言葉遣いがなっていない』と上司に怒られた」

「正しい敬語の使い方がわからない」

「相手に応じて言い回しを工夫することが苦手だ」

「教養のある人たちの会話についていけない」

「言葉や表現に自信がなくて、人と話すことが億劫だ」


あなたにも似たような経験があるのではないでしょうか。

これらの根本的な原因は「語彙力が乏しいこと」にある可能性が“大”と言えるでしょう。

例えば、「もっと頭を使え!」と怒られたとします。

しかし、そのまま「よし頭を使うぞ!」と、どれだけ頑張っても改善されないケースがよくあるのです。なぜなら、頭を使うには、そのベースとなる「語彙」を身につける必要があるからです。

「語彙=言葉」、もっと言えば「語彙=言葉=情報」です。

ところが、「語彙=情報」であることに気づいている人は案外少ないものです。今回の例えに限りません。私たち人間は、語彙(=情報)がなければ、考えることも、感じることも、想像することも、発想することも、他人と意思疎通を図ることもままならなくなるでしょう。逆にいえば、語彙力を磨くことで、社会人としてのパフォーマンスが大きく向上し、その後の人生は大きく変化するはずなのです。

年収が高い人ほど語彙力がある?

「語彙力がある人」は仕事ができて、「語彙力がない人」は仕事ができない。
——これは決して暴論ではありません。軽視できないデータもあります。

べネッセコーポレーションが全国の高校生から社会人まで3130名を対象に行った調査(2016年)によると、「世帯年収別語彙力」で、以下の結果が出ています。


世帯年収1200万円以上知っている語彙の割合80.3%世帯年収800万円~1200万円知っている語彙の割合72.2%世帯年収400万円~800万円未満知っている語彙の割合68.1%世帯年収400未満 知っている語彙の割合65.9%

年収400万円未満と1200万円以上では、実に「知っている語彙の割合」に15%以上の差があります。

この差は、インタビュアとして過去3000人以上に取材経験がある筆者の実感とも重なります。筆者が分析するに、「語彙の多い人」の特徴には以下のような傾向があります。

語彙が多い人の特徴

・頭の回転が速い
・思考が深い
・発想力が豊か
・コミュニケーション能力が高い


このような特徴を持つ、彼ら彼女らが仕事で成果をあげやすいことは想像に難くありません。

そうなれば、当然、収入も高くなると言えるでしょう。

手持ちの語彙が、仕事の成果を決める?

くり返しになりますが、人は「語彙=情報」がなければものを考えることができません。少し極端な具体例を挙げましょう。

 

仮に私たちの世界に「かっこいい」や「かわいい」という言葉以上に具体的な言葉がなければ、仕事のやり取りをするときに、どのような事が起きるでしょうか。

以下は住宅建築の業界で働くAさんとBさんの会話例です。

Aさん 「今回のインテリアも、“かっこいい”でお願いします」

Bさん 「わかりました。今回は“かわいい”ではなく、“かっこいい”ですね?」

Aさん 「はい、“かっこいい”でお願いします」


どうやら、ふたりの間に“かっこいい”と“かわいい”の違いがあるようです。

ところが、“かっこいい”を掘り下げて具体化していく様子はうかがえません。というよりも、掘り下げるための「語彙=情報」がないため、掘り下げようがないのです。

だからといって彼らに不自由はありません。不具合も起きません。なぜなら、世の中すべての人が、“かっこいい”や“かわいい”という概念しか持っていないからです。

さて、ここから現実に戻ります。

もしも、さまざまな語彙に囲まれる現代社会で先ほど同様のやり取りをする場合、「はい、“かっこいい”でお願いします」で“事足りる”はずがありません。もしもBさんが「かっこよく作りましたよ」と完成したインテリアを見せても、Aさんは「うーん、これは私が思うかっこいいとは違うなあ」とがっかりするだけです。

そもそも“かっこいい”を具体的に掘り下げずに、双方が理想とするデザインを共有することは至難の業です。

地域色を出すなら「アメリカンスタイル」「北欧スタイル」「アジアンスタイル」などがありますし、時代性を盛り込むなら「ロココ調」「ヴィクトリアン調」「ゴシック」「モダン」など。あるいは、古さを重視するなら「アンティーク&ヴィンテージ」「ジャンク」「レトロ」「シャビー」などのスタイルがあります。ほかにも「シンプル」と「デコラティブ」、「ポップ」と「シック」、「カントリー」と「アーバン」など、それぞれ相反するさまざまなテイストがあります。

このことからもわかるように、私たち現代人は、膨大な語彙を手持ちの駒にして、考えを深め、物事を具体化し、情報を取捨選択し、判断・決断をしています。また、思考するうちに創造性のドアも開き、さまざまな発想(アイディア)も生まれやすくなります。例えば、「和風とモダンをミックスさせて、和モダンにしよう!」という具合です。

一方で、前述した<「かわいい」と「かっこいい」で完結する世界>では、手持ちの語彙を超えて深く考えることも、魅力的なアイディアを出すことも、他人に情報や感情を伝えることもできません。このことへの理解が深まると、冒頭で示したデータ(語彙力がある人=世帯年収が高い/語彙力がない人=世帯年収が低い)にも納得がいくのではないでしょうか。

使用語彙を増やすことが、できる人になる近道!

語彙には「理解語彙」と「使用語彙」のふたつがあります。

「理解語彙」とは、意味を理解している言葉のことです。その語彙を見た瞬間にパっと意味がわかるようなら、その言葉は、その人にとって「理解語彙」です。

一方、「使用語彙」とは、自分で書いたり、話したりすることができる言葉のことです。したがって、実社会のなかで、「語彙」がある人は「使用語彙」が多い人、ということがいえます。

いくら「理解語彙」の量が多くても、「使用語彙」が少なければ、実社会で多くのメリットは得られません。なぜなら、現代のビジネスシーンでは、頭の回転の速さや、深い思考、発想力などと同様に、他者と情報や感情を共有したり伝達したりする言語コミュニケーションが必須だからです。「使用語彙」が少ないほど他者との意思疎通が図りにくく、「使用語彙」が多いほど他者との意思疎通が図りやすい。良くも悪くもこれが現実なのです。

もしもあなたが仕事の成果を上げたいなら、あるいは、収入を上げたいなら、どちらを目指すべきか、言わずもがなでしょう。

知識としての「理解語彙」だけでなく、実践で使える「使用語彙」に磨きをかけていきましょう。

著者:山口拓朗

 

『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』著者

伝える力【話す・書く】研究所所長。「論理的に伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメールコミュニケーション」「売れるキャッチコピー作成」等の文章力向上をテーマに執筆・講演活動を行う。『伝わるメールが「正しく」「速く」書ける92の法則』(明日香出版社)のほか、『残念ながら、その文章では伝わりません』(だいわ文庫)、『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)他がある。最新刊は『できる人が使っている大人の語彙力&モノの言い方』(PHP研究所)。

山口拓朗公式サイト
http://yamaguchi-takuro.com/


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