「半分、青い。」112話「ちょ、待てよ」あの日あの時あの場所の真相が明かされる

エキレビ!

2018/8/10 08:30

連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月~土 朝8時~、BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~)
第19週「泣きたい!」第111回 8月9日(木)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:橋爪紳一朗


半分、青い。 下  文春文庫 北川 悦吏子

112話はこんな話
ボクテ(志尊淳)とユーコ(清野菜名)がフクロウ町を訪ねて来て、楡野家は宴会状態に。
律(佐藤健)も誘われてやって来るが、酔ったボクテが律と鈴愛(永野芽郁)の過去の話を蒸し返す。

「あの日あの時あの場所で」
ちょ、待てよ。
111話の視聴率は自己最高の24.5%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)に。
109回の14.6%から10%近く跳ね上がるというメイクドラマを起こす「半分、青い。」。
112話も爆走しました。

110話の最後に「律を支えたい」と鈴愛が言ったあと、どうなったか描かれないままになっていたが、鈴愛が律に電話するのが携帯でなく萩尾家の家電であることでなんとなく許容できる。
「鈴愛ちゃんなりに気を使ってくれてるの」と和子(原田知世)は言う。
律に取り次いでもらうたびに和子の体調を気にしてくれると和子は喜ぶ。

このことをはじめとして112話では鈴愛の過去の愚行が一気にフォローされていく。
ほとんど飲めないボクテが酔って「ふたりがすれ違ったままなんて絶対にやなの」と言い出し「あの日あの時あの場所で」鈴愛が律のプロポーズを断った本心を吐露する。
当時、鈴愛は漫画家として売れて律を迎えに行きたかったと唯我独尊なことを言っていたが、ボクテは自分もユーコも秋風の元を離れてしまったから辞められなかったのだと言う。
鈴愛は実は他人思いの優しい子なのだということがふたつのエピソードで強調された。
ただし、その一方で鈴愛がストーカーをしたことが律にバレてしまうおまけも付いていた。
そこで「そういえばより子が昼間にへんな女が来たって言ってた」と律は思い出す。よく覚えているなあ、そんなはるか昔のことを。

ええ仕事するなあカンちゃん
いままさにボクテが真相を語ろうとしたそのとき、カンちゃん(山崎莉里那)が「おしっこ」と起きてきて、一旦話は中断しかかる。
宇太郎(滝藤賢一)の「ええ仕事するなあカンちゃん」という台詞は、言ってはならなそうな不穏なことを止めるというリアルな役割と同時に、作劇の事情も物語るかのようだ。いいとことで邪魔をして視聴者の興味を引っ張る仕事がカンちゃんに託されている。
カンちゃんだけでなく、この回、楡野家の居間に集った人たちは、鈴愛と律のこんがらがった赤い糸をただして改めて結びつけるような“仕事”を天の神から託され必死で頑張っているように見えた。

ボクテを筆頭にユーコも律に妻子がいることを失念しているように振る舞う。
ボクテの演説(?)を盛り上げるために仙吉(中村雅俊)は「ぼくって」を連呼してやたらはしゃぐ。
宇太郎はひたすら客観的な視線を貫く。晴(松雪泰子)は得意な困り顔をし続ける。草太(上村海成)もいいアクセントとして出てくる。
一見強引にも見えるが、ボクテが運命のふたりが結ばれないことを許容できない純粋性及び乙女ぽさは「神様のメモ」を気に入って自分で漫画を描きたいと熱望したことが裏付けになっていて、説得力はある。

どうせ言うんやったら自分で言いたかった
せっかくのカンちゃんの仕事も功をなさず、ボクテは夏虫の駅で鈴愛が律のプロポーズを「無理」と言った真相、鈴愛は律が好きなのだと言葉にしてしまう。
鈴愛はキレて「どうせ言うんやったら自分で言いたかった」と金切り声を上げる。

昔の恋バナを酒席で語らうことはあることだろう。
行列ができるほどの食堂を(この日は行列なかった)早々と閉めて、宴会をはじめることもあるだろう。
酒が入って無礼講状態なので、ぐだぐだで、本能むきだしになるのは仕方ない。
そこでは昔話も、ボクテの性的指向も、ユーコのこれからの目標も、鈴愛の秘められた恋心も、略奪愛かと女性週刊誌のような好奇心も、おしっこ(粗相するということではありません、自然現象です)も、「ちょ、待てよ」も、なんでもかんでも出せばいい。
この喧騒、夜、飲んで騒いだあと、なぜかラーメンが食べたくなるような、仕事で疲れた帰りになぜかコンビニでいろんなものを買ってしまい、朝になってなぜこんなに買ったのかまったく食べる気が起きないような、そんなちょっと虚しい感じに似ている気がする。
こういう人間の無様な感じも面白いと思うが、そんなのいやだという人もいるだろう。ならば、ティーン向けの恋愛映画みたいな感じではどうか。
失うものも責任もなく、未来もまだ漠然としていて、目の前の欲望(主に恋愛)で頭の先から爪先までいっぱいになっているような感じ。
もしかして、その未熟さの「半分、青い。」。
何歳になってもあの頃の気持ちを、忘れたくない!(サブタイトルふう)

それにしても、ほとんど出てこないより子(石橋静河)が、第三者たちの語りによってひたすらお邪魔虫的な描き方をされているのが不憫でならない。弓道少女といい、あくまで主人公と相手役の関係性の障害に徹した描き方は昨今少なくなっているので、逆に貴重かもしれない。絶滅危惧種として大切に保護したい!
(木俣冬)

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