仲間になったり裏切ったり 女の子の世界は難しい――ドラマ『チア☆ダン』第4話

日刊サイゾー

2018/8/10 20:00


(前回までのレビューはこちらから)

ブルーハーツの曲を初めて聴いたのは、まだ10代の頃だった。

「ドブネズミみたいに美しくなりたい」

ラジオから流れてきた「リンダ リンダ」の最初のフレーズに心を奪われたのを覚えている。あれから30年、彼らの音楽がこんなにも長い間歌い継がれ、多くの物語を生んでいくことになるとは、思いもしなかった。

ドラマ『チア☆ダン』(TBS系)第4話、ダンスシーンで使われたのは、ブルーハーツの名曲「人にやさしく」だった。

2学期が始まった。わかば(土屋太鳳)が学校に行くと、先日のチアダンス大会でROCKETSが失敗した時の写真が校内に貼られていた。犯人は、わかばが以前所属していた、チアリーダー部の部員たち。2年生の望(堀田真由)を中心としたメンバーは、チアダンス部を立ち上げたわかばをよく思っていないのだった。

そんな時、ROCKETSのメンバーは、校長(阿川佐和子)の配慮で、福井中央高校のチアダンスチーム「JETS」の練習を見学することとなった。緊張の中、練習場に入ったROCKETSは、その自主的な練習法に圧倒される。ひとりひとりが自分の目標を決め、先生ではなく、お互いがチェックし合う仕組みや、持ち回りでリーダーを担当し、当事者意識をもたせるスタイルなど、ROCKETSがそれまでやっていた練習とは、何もかもが違っていたのだ。

わかばは、まずその練習法をまねてみることを提案する。同意するメンバーの中で、茉希(山本舞香)だけは乗り気ではない。

翌日、ROCKETSは、早速JETSをマネした練習を開始する。髪を上げておでこを出し、その日のリーダーを決めてレッスンする。しかし、やり方に納得していなかった茉希は、仲間ともめて練習に来なくなってしまう。

そんなROCKETSに、商店街のお祭りでチアダンスを踊らないかという話が舞い込んでくる。一度はやる気を見せたメンバーだったが、活気のない商店街であることや、曲選びや振り付けに時間がかかるということで断ってしまう。

一方、チアリーダー部では、1年生の芙美(伊原六花)が、次の応援に使う曲として、ブルーハーツを提案していた。この曲は、芙美の亡くなった父親が好きだった曲なのだ。しかし、部長の望は無下もなく却下し、「もう来なくていい」とまで言う。

チアリーダー部内での人間関係に悩む芙美。そんな彼女に声をかけたのは、わかばだった。わかばは、芙美からブルーハーツの曲を聴かせてもらい、その思いを知る。

ここまでの展開を見ても、女の子の世界というのは、本当に難しいものだと思う。男女の差別とか、どちらがいいとか言うわけではないが、男である私から見て「大変だなぁ」と感じることがしばしばある。

ドラマでも描かれているように、女の子は、自分がどこの集団に属しているのかを強く意識している。みんなと仲良くしたいけれど、チアリーダー部の上級生がチアダンス部につらく当たるので、同じようにせざるを得ない芙美や、本当は茉希に強く意見したいけれど、相手の反応が怖くて言うことができない妙子(大友花恋)などは象徴的だ。

比較的、「気が合うか合わないか」というような二元論で、仲良くしたり、そうでなかったりするだけのような男子からしてみれば、気遣いばかりで息が詰まるように見える。

一度はメンバーの反対にあい、出演をやめたお祭りだったが、顧問の漆戸(オダギリジョー)の説得もあり出場することになる。漆戸は、この経験を通して、チアに必要なものを何かつかんでほしいと考えたのだ。

もちろん、出るならば全員でパフォーマンスしたい。汐里は、練習に来なくなった茉希を心配し、説得しようと試みる。そこで、茉希から、過去のつらい経験を聞くことになる。茉希は、かつて親友に裏切られたことがあり、それ以来、心を閉ざしてしまっていたのだ。

「どうせ裏切られるのなら、最初から信じないほうがいい」そう話す茉希に、汐里は、皆のことが信じられるようになるまで、無理に輪に入らなくていい、それでも練習には来て欲しいと伝える。

翌日、部室で待つメンバーの元に、茉希が現れる。全員揃って、お祭りに出ることができるのだ。

そうしてやってきたお祭りの日。ROCKETSが選んだ曲は、ブルーハーツの「人にやさしく」。人にやさしくしてもらえない誰かに、僕が「頑張れ」って言ってやる――そんな力強く励ます曲は、「誰かを励ますために踊る」というチアダンスの精神そのものだ。思えば、その後の時代を経ても、常に「人を励ます曲」という系譜は、面々と続いているように思う。このドラマの主題歌を歌っているサンボマスターなども、まさにその流れの中にあると言っていいだろう。

祭りでは、ROCKETSのパフォーマンスに、徐々に人が集まってくる。踊り終えた時には、アンコールの声が上がるまでになっていた。確かな手応えを感じたメンバーたち。わかばは気づく、たとえどんなにダンスがうまくなっても、誰かを心から応援する気持ちがなかったら意味がない。大切なのはチアスピリッツなのだと。

祭りの後、踊りを見ていたチアリーダー部の芙美と、カンナ(足立佳奈)が入部したいと申し出る。仲間が増えたのだ。こうして10人体制となったROCKETSだったが、まだまだ女の戦いは続きそうだ。

女の子の世界はめんどくさい。自分は男で楽だったな、と思ったりもする。でも、ドラマのシーンのように、女の子の集団がみんなで楽しそうにしているのを見ると、「女の子っていいよなぁ」と思ってしまうのもまた事実なのだ。男の身勝手な感想である。

(文=プレヤード)

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