KEYTALK “らしさ”を詰め込みながらも新鮮さを求め挑戦し続けるバンドの強さ

SPICE

2018/8/10 19:00

KEYTALKがニューシングル「Cheers!」をリリースした。バンドの原点にあるパンキッシュなアプローチに夏の爽快感を詰め込んだ、首藤義勝(Vo/Ba)作詞作曲の「Cheers!」と、東京という街で生きる孤独を“ひとりぼっちじゃ無い”という合言葉で打ち消そうとする寺中友将(Vo/Gt)作詞作曲の「東京シネマ」。それぞれ、「Cheers!」は、C.C.レモン×松岡修造×プロデューサー蔦谷好位置という「若者、ガンバレモン!!」プロジェクトのなかで生まれた青春応援ソングであり、さらに「東京シネマ」も、日本赤十字社のショートムービー『ミラクルヒーローズ』に書き下ろしたメッセージソングだ。KEYTALKらしさを詰め込んだ必勝のロックアンセムのなかに、第三者からのアプローチが加わったことで新たな化学反応が起きた今作。結成からは10年、メジャーデビューからは5年を数えるが、いまなお“新鮮さ”を求め続けて挑戦し続けることこそ、KEYTALKの本当の強さだと思う。


――春からのツアー『Rainbow road Tour 2018 ~おれ、熊本で2番目に速いから~』を終えて、いかがですか?

小野武正(Gt):すごく充実したツアーになりましたね。前半と後半で、小バコから大バコになって、演出の具合も変化をつけたんですけど。セットリストはド頭の赤坂から大枠は変わらず。最初から完成されたツアーを廻れたんじゃないかなと思いますね。

――初日の赤坂と、終盤で演出が変わった川崎を見させてもらいましたけど。後半の演出は本当に豪華でしたよね、レーザーが飛んだり、スモークを焚いたり……。

小野:炎が出たりね。いろいろ要素を盛り込みつつも、しっかり2時間の中にまとめられたんじゃないかなと思いますね。

寺中友将(Vo/Gt):ツアーの後半のかたちは何回もミーティングを重ねて決まっていったんですけど。頭のSEをステージの袖で見てて、ライブを始まるときのワクワク感は、いままでいちばん高いっていう空気が作れたと思います。エンタメ性を底上げすることができたというか、またひとつKEYTALKとして大きくなれたなと思いました。
KEYTALK/小野武正(Gt) 撮影=大橋祐希
KEYTALK/小野武正(Gt) 撮影=大橋祐希

“エンタメをやりたいんだ”っていう感じでもなくて。楽しさを追求していった先にあるものっていう感じですかね。


――アルバムのタイトルになっている『Rainbow』っていうのも、視覚的に遊びやすいモチーフでしたよね。七色に塗ったステージも綺麗だったし。

寺中:カーレースっぽいセットもですね。アルバムの「Rainbow road」っていう曲から、マリオカートの「レインボーロード」っていうコースをイメージしてて。

――それで、あのセットだったんですか! ライブの途中には、『スーパーマリオブラザーズ』のゲームネタを入れたりして。

小野:ヤギオですね。

――八木くんがマリオに扮した(笑)。

八木優樹(Dr):そうなんですよ。

寺中:ドラマーが良いキャラをしてるのでできましたね(笑)。

――八木くんはツアーを振り返ってみて、どうでしたか?

八木:頭の3曲で『Rainbow』の曲をそのままやらせてもらったから、いつもの僕らとは雰囲気が違ったんですよ。でも、それをお客さんがちゃんと受け取ってくれるのがハッキリと見えて。それはどこの会場も一緒でしたね。曲の強さと、僕らのバンドとしての見せ方みたいなものが、ワンランク上がったのかなっていうは感じました。

――鉄板の盛り上げ曲でライブを始めるのは簡単だけど、そうじゃないっていう。

八木:アルバムツアーとして、これ以上ない感じでできたんじゃないかなと思います。

――義勝くんは「雨宿り」のときにハンドマイクで歌ってたのがトピックかなと。

首藤義勝(Vo/Ba):そうですね。ベースを弾きながら歌うところが想像できなかったんです。常に新しい挑戦をしていきたいなと思って、そのうちのひとつの試みでしたね。

――やはり今回のツアーでは、新しい試みもあり、巨匠(寺中)が言っていた“エンタメ性の底上げ”というのが大きなテーマだったんですか?

寺中:そうですね。自分たちがやれることはどんどんやっていきたいんですよ。

小野:でも、“エンタメをやりたいんだ”っていう感じでもなくて。楽しさを追求していった先にあるものっていう感じですかね。

首藤:いつも“自分が初めてKEYTALKのライブを見たら”って考えるようにしてるんです。BGMがフッと止んで、照明が暗くなって、メンバーが出てきたときの昂揚感みたいなのって、僕らも好きなアーティストを見に行って味わったことがあるから。KEYTALKのライブに来てくれた人にはリピーターになってほしいんです。今回のツアーは、きっと2回目、3回目って、また足を運んでくれるだろうなっていう達成感は得られましたね。

――うん。初めてKEYTALKのライブに来た人が“また来たい”って思うのと同時に、何度もKEYTALKのライブを見てるリピーターの人も“また違う楽しさがあった”っていう新鮮な楽しさもあるライブだったと思います。

首藤:そう思ってもらえたら嬉しいですね。
KEYTALK/首藤義勝(Vo/Ba) 撮影=大橋祐希
KEYTALK/首藤義勝(Vo/Ba) 撮影=大橋祐希

いつも“自分が初めてKEYTALKのライブを見たら”って考えるようにしてるんです。ライブに来てくれた人にはリピーターになってほしい。


――で、それと同じように、今作「Cheers!」は14枚目のシングルになりますけど、“また新しいKEYTALKに出会ってしまった”という新鮮な一枚でした。

小野:ありがとうございます!

――いちばん新鮮だったのは、ツインボーカルで。いままで義勝くんと巨匠が交互に歌うのが、KEYTALKの特徴でしたけど、今回一緒に歌っている部分が増えた気がしたんです。

首藤:そうですね。ふたり同時に歌うというか、声が混ざると良い感じになるっていうのを、今回は改めてフィーチャーして。すごく元気に聞こえて良いんですよね。

寺中:一緒にユニゾンしたり、ハモりが増えたところもあるんですけど、今回は歌い分けの切り替えがパパパッと早いところも多いんですよ。そこも、学生に向けての応援ソングっていう「Cheers!」のコンセプトにマッチしてる感じですね。

――そう言えば、春のツアーでも、いつもと歌い分けを変えて、「Cheers!」みたいに一緒に歌う部分が増えていませんでした?

寺中:ああ、たしかに。「Summer Venus」とかそうだったかも。CDだと俺がひとりで歌っているところに義勝が入ってきたところが、ちょこちょこありましたね。


――ですよね。そんな「Cheers!」はC.C.レモンのタイアップソングでもあり、MVでは松岡修造さんともコラボしてます。修造さんはどんなふうに制作に関わっているんですか?

首藤:制作に取り掛かる前に、まずミーティングを開いてくれて。そこで初めて喋ったりしているうちに“こういう曲がいいんじゃないか?”っていうイメージが湧いてきたんです。そういう意味で今回、修造さんに引っ張られた部分もあると思います。

小野:ミーティングでは、修造さんは「熱さとかを出すのは得意なので」っておっしゃていたのと、「いままでは、ほぼセリフみたいな曲もやったことがあるけど、今回は歌いたいんです」みたいなことをおっしゃっていたのを覚えてますね。

――やはり修造さんはテレビで見るような熱い方ですか?

小野:熱いですよ。レコーディングの前に手紙をいただきましたからね。メンバー一人ひとりに、「よろしくお願いします」って。すごく達筆でした。

八木:修造さんは、僕のことを下の名前で呼んでくれるんですよね。親しみを込めて。僕はあんまり下の名前で呼ばれることがないので、グッと来ましたね(笑)。

――C.C.レモンとのコラボという部分では、どういうところを大切にして作りましたか?

首藤:爽やかさとか青春感を入れつつ、歌詞を書いていくうちに夏っぽさを出したいな、みたいな欲も出てきたんです。明くてサビに抜け感のある曲を意識しました。

――初めてプロデューサーに蔦谷好位置さんを迎えましたけど。制作のどの段階から一緒に作っているんですか?

首藤:デモ音源をお送りして、蔦屋さんなりにイジッてもらったのを返してもらったころから始まったので、本当に最初からですね。プリプロの段階から関わってもらって。アレンジはメンバー主導で進めつつ、「もうちょっとパンクっぽいほうがいいよね」っていう話もしながら。蔦屋さんってサウンドメイキングはもちろんですし、ディレクションが上手い方だなと思いました。メンバー個々の演奏の、より良いところを引き出すことに長けているんです。

八木:うん。すごい引き出してもらった感じがあります。プレイヤーの集中力とか意識を上げるのが上手いんです。気合いが入ったテイクが録れましたね。
KEYTALK/八木優樹(Dr) 撮影=大橋祐希
KEYTALK/八木優樹(Dr) 撮影=大橋祐希

僕らはホールでも関係なくやれると思うんです。間違いなく僕らはホールが似合うバンドなので、楽しみにしててください。


――今回のパンキッシュなサウンドでは八木くんの存在感も大きいですよね。

八木:特にこういうタイプの曲では、1回1回集中して録るっていう、シンプルだけど大事なことを教えてもらいましたね。あとドラムに関しては、「もっと、みんなで縦をそろえていこう」(各楽器の音を鳴らすタイミングを合わせる)って言われたんです。すごく当たり前のことなんですけど、僕らはそういうことをあんまり周りの人に言われてこなかったから。それをすんなり受け入れられる言葉で言ってくれたんですよ。それで、自分が向かうべき方向性が定まったというか。やるべきことを明確に持って臨めましたね。

――巨匠はどうでしたか? 蔦屋さんとの制作に関して。

寺中:スピード感がすごくて、あっという間に終わってしまったんですよ。“よし録れた”“いまのはここが良かった”みたいな。歌う側としては、“いまのは歌えてるのかな?”って。いつも不安なんです。でも、そこのジャッジをスパッて返してくれるのが良かったです。

――第三者で、しかも今回初めて関わってくれた方なのにボーカルの判断が速いのはすごいですね。その判断の基準が何なのか、一緒にやってみてわかったことはあります?

首藤:上手なテイクと、ほぼほぼ上手でエモいテイクだったら、エモがまじってるほうなのかなっていうのもありました。

小野:あとは何回も歌い込む楽曲でもないっていうのもあって。いちばん最初に出てきた爽やかなテイクを大事にされていたのかなと思いますね。

八木:フレッシュなやつですね。


――なるほど。2曲目の「東京シネマ」は巨匠の作詞作曲ですが。これは、2018年度赤十字運動月間ショートムービー『ミラクルヒーローズ』の書き下ろしということで。

寺中:これは、まずお話をいただいたタイミングで“誰でもヒーローになるチャンスがあるんだ”っていうテーマがあったんです。で、プリプロぐらいのタイミングで映像が上がってきて、そこから歌詞のイメージを膨らませていったんですよね。

――最近の巨匠らしい曲調ですよね。スケール感があって。

寺中:ちょうどマラソンの前に作っていた曲なので(KEYTALKは2月18日の熊本城マラソンにメンバー全員ランナーとして参加)、公園をぐるぐる走っていたんですけど、そのときに頭のなかで作ってたメロディですね。ギターを弾きながら作ったものではなかったので、だからこそ勢いのあるものができたのかなっていうふうに思ってます。

八木:いままでの巨匠のこういうタイプの曲って、ひとつのリズムで押すことが、あんまりなかったように感じてたんですけど、今回はシンプルなんですよ。切迫感というか、どんどん前に進んでいくような印象を受けたので、できるだけそうなるように演奏しました。ずっとがつがつしたエイトビートなので、バンドのかっこよさが出てるなと思います。

首藤:巨匠感が出たほうが良い歌と思ったので、義勝色をなるべく消そうっていうのはありましたね(笑)。あと、この曲は歌詞が好きなんです。<キラリ光った 追憶の星が/あの日の鼓動を 呼び覚まして行く>のところ。やっぱり熱い男だなと思います。

小野:<ひとりぼっちじゃ無い>っていうのが安心しますね。

――そこがこの曲のキーワードですよね。

寺中:そうなんですよね。東京が舞台なので、そこで感じる孤独がテーマなんです。これだけ人がいるのに、むしろ人が多いから孤独を感じてしまうというか。
KEYTALK/寺中友将(Vo/Gt) 撮影=大橋祐希
KEYTALK/寺中友将(Vo/Gt) 撮影=大橋祐希

“大丈夫、君ならできる”みたいなことって、逆につらい人もいる。それは怖いなと思いながら、いつも歌詞を書いてるんです。


――あのショートムービーをもとにして、東京をテーマしたのが巨匠らしいです。もっと壮大なメッセージに行きそうなのに、むしろ自分の身近なテーマに引き寄せてて。

寺中:やっぱり自分の目で見たものからしか、歌詞が生まれないんですよね。あの映像みたいに、誰かが倒れたときに“誰かがどうにかしてくれるだろう”って思ってしまう。もし急いでたりしたら、自分も同じように思ってしまうかもしれなくて。それが東京なのかなって。あと東京って、東京出身じゃない人がめちゃくちゃいるじゃないですか。僕も、そのうちのひとりですけど。夢を抱いて東京に来る人がたくさんいる。一人ひとりが東京で自分のストーリーを描いていると思うから。そこから歌詞を広げていったんです。

――<時々不安になるよ この歌が君を 傷つけてしまうこと>っていう歌詞が気になったんですけど。これは、巨匠がKEYTAKの曲を歌ってて、実際に抱く想いですか?

寺中:特に、自分の歌詞ですね。「Oh!En!Ka!」っていう曲も作りましたけど、“大丈夫、君ならできる”みたいなことって、100人に聴いてもらったら、みんながみんなストレートに受け取ってもらえるわけじゃないと思うので。それが、逆につらい人もいる。それは怖いなと思いながら、いつも歌詞を書いてるんです。

――今回の表題曲も「Cheers!」っていうエールソングですし。

寺中:でも、その裏にこの「東京シネマ」で書いたような想いがあれば、それだけでも救われる人もいるのかなって思うので。それも言葉にしたかったんです。

――なるほど、これはちょっと他の3人には書けない曲ですね。

小野:本当にそうですね。
KEYTALK 撮影=大橋祐希
KEYTALK 撮影=大橋祐希

――で、このシングルがリリースされたあとは、9月8日に幕張メッセで360°を客席で囲むセンターステージを使ったライブ『KEYTALK幕張メッセワンマンライブ「ド真ん中で頑張マッセ~shall we dance?~」』を開催すると。

小野:幕張は初めてですね。9~10月には初めてのホールワンマンツアーもあるので(『KEYTALKホールツアー2018 ?目指せホールインワン あなたの心へ100ヤード? 』)。初めてのこと尽くしでもあるんです。KEYTALKの新たな挑戦なので、また違う新鮮さもあると思うので、一緒に楽しんでもらいたいなという気持ちですね。

寺中:春のツアーを経て、演出面を考える楽しさとか、やりがいも目の当たりにして、演奏だけじゃない方向にも視野が広がってきてる段階なので、それをさらに成長させていきたいです。みんながビックリすることをやりたいなと思って、考えてます。

――ホールツアーのほうはイスありですし、またライブの雰囲気が違いそうですね。

八木:僕らはホールでも関係なくやれると思うんです。イスありで、自分のテリトリーがあるってことは、ゆっくり見られる機会じゃないですか。だからこそ歌ものに寄った曲に振り切って見せることもできるけど、逆にいつものようにやってもいいし。まだ考えてる段階ですけど。間違いなく僕らはホールが似合うバンドなので、楽しみにしててください。

――最後に、義勝くんもライブに向けて、ひとこと。

首藤:楽しみです。がんばるぞっ!!

――本当に一言だ(笑)。

全員:あはははは!

取材・文=秦 理絵 撮影=大橋祐希
KEYTALK 撮影=大橋祐希
KEYTALK 撮影=大橋祐希

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