「変化のない店から消えていく」回転寿司業界に異変?大手チェーンも巻き込み生き残り競争が激化

AbemaTIMES

2018/8/10 18:40


 日本人のソウルフードを手軽に、リーズナブルに楽しめる回転寿司に異変が起こっているという。8日に東京商工リサーチが発表したデータによると、今年は回転寿司チェーンを経営する会社の倒産が、過去10年で最多だった去年を上回るペースで進んでいるという。外国人観光客のお目当の一つともなっている回転寿司。東京オリンピックに向け、さらに成長すると思われた業界に、一体何が起こっているのだろうか。


 9日放送のAbemaTV『 AbemaPrime 』に出演した回転寿司評論家の米川伸生氏は、大手チェーン店の寡占化が進んでいる実態を指摘する。「10年前には全国に5000店舗あったのが、今は4000店舗ほどになっている。もともとあった地方の回転寿司店が消えていく一方、大手の"100円寿司"は伸びている」。

 実際、今年に入って倒産したのは神奈川の「ジャンボおしどり寿司」や福井の「まつりずし」など、地方で展開するチェーンばかり。「外食産業市場規模推計」(日本フードサービス協会調べ)によると、回転寿司の全体売上は6250億円のうち、4500億円以上を"業界四天王"(『スシロー』『くら寿司』『はま寿司』『かっぱ寿司』の4社が占めているという状況だというのだ。「国民の8割はこの4社にしか行っていないというデータもある。全国にある500社が、残りの2割の客をめぐって生き残りをかけた大戦争を始めている」(米川氏)。

 大手チェーンが勢力を拡大している背景について、米川氏は各社の創意工夫の結果だと話す。「『かっぱ寿司』はタッチパネルで注文すると別のレーンで運ばれてくる"特急レーン"を始め、『くら寿司』とともに郊外の大型店にボックス席を作った。また、『くら寿司』は5年ほど前から一品料理にも力を入れ始めた。その結果、ファミレスの客が回転寿司に流れ始めた」。

 業界2位の『くら寿司』は昨年「糖質オフシリーズ」を展開、シャリを半分にしたり、すべてのシャリに米酢よりもアミノ酸を多く含む黒酢を使用たりするなどの工夫を続けている。また、『はま寿司』ではタッチパネルの音声に人気声優を起用するほか、英語版も用意。2~3週間でフェアメニューを変更、5種類の醤油を用意し、ラーメンにも力を入れている。

 一方、倒産してしまった「ジャンボおしどり寿司」について米川氏は「古くからあるチェーン店で、"デカネタ寿司ブーム"もここから始まった。最盛期には月に3000万円以上を売り上げる店もあった。しかし、何もしなくても売れた時代を引きずってしまっていて、大手があの手この手で客を喜ばそうとしている中、この10年間で何も変わった感じがしなかった」と指摘。

「ただ、小さな回転寿司店でも大手に負けないような店はたくさんある。例えば東京で1番売れているのは100円寿司の店舗ではではなく、東京に進出した「金沢まいもん寿司」、いわゆるグルメ回転寿司だ。100円寿司が客単価が1100円のところ、2000~3000円の客単価で、月に5000万円ほど売り上げている店もある」。

 さらに原因の一つと取り沙汰されているのが、漁獲量の減少による魚の価格高騰だ。地球温暖化や、日本の乱獲、中国などでの需要増などが背景にあると指摘されている。主要国の1人あたりの魚介類消費量で日本は世界1位だったのが、2006年には韓国、そして2010年にはノルウェーにも追い抜かれてしまった。米川氏も「シャコなど、昔はよく食べられていたネタが高騰し、回転寿司では使えなくなってしまったケースもある。大手は原価48~50%を保っているので、ネタの量を調整して対応しているのだと思う。また、寿司以外のメニューなら、一品売れた時の粗利額が全然違う。ラーメンなら1杯で100円以上の利益が出る」と話した。

 一方、大手チェーンの未来も、必ずしも明るいとは言えないようだ。「既存店舗の売り上げは昨年対比で減少している。つまり新規店舗を作っていかない限り売り上げが上がらない状況。だから躍起になって工夫を凝らしている。業界1位の『スシロー』も、日本に出店する余地がなくなってきていると感じていて、韓国に100店舗出店する計画もあったが、途中で止まってしまっていた。これに対し、業界5位の『元気寿司』は海外進出のノウハウもあるので、『スシロー』は経営統合に向けて動いており、共同でネタを仕入れて値段を下げるなどの業務提携を企図している」。

 東洋経済オンラインの山田俊浩編集長は「そもそも『元禄寿司』が回転寿司レーンを導入した頃は、ちょっとした投資で人が集まっていたが、特急レーンや独自メニューなど、初期投資がどんどん大きくなっているので、損益分岐点的にも厳しくなっている」と話す。米川氏「時給も1500円くらいまで上がってしまっているので、機械化で対応するしかない。機械化に成功した『スシロー』『くら寿司』は人件費が5%くらいカットできた」と、激化する競争の実態を明かした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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