椎名林檎も絶賛、チケット入手困難の講談師・神田松之丞の芸に迫る

AbemaTIMES

2018/8/10 17:46


 高座に置かれた釈台(しゃくだい)と呼ばれる机を張り扇(はりおうぎ)で叩いて調子を取りつつ、物語を読み上げる「講談」。900人以上いる落語家に比べ、「講談師」の数は10分の1以下の80人しかいない状況だという。


 そんな中、一人の講談師の登場によって、100年ぶりの"講談ブーム"が到来していると言われている。それが神田松之丞(35)だ。階級は「二ツ目」で、トップの「真打ち」ではないが、爆笑問題の太田光、椎名林檎などの著名人もその芸をこぞって絶賛、高座のチケットは即日完売してしまう。テレビや雑誌の取材、ラジオの収録もこなす多忙ぶりだ。トップバッターを務めた日の高座は平日にも関わらず満員で、本題に入る前から会場は大爆笑に包まれていた。

■「おっさんは評論家になりがちだ」
 高校時代にラジオで落語を聞き、立川談志のファンになった松之丞。24歳で3代目神田松鯉に入門し、29歳で二ツ目に昇進した。「聴衆もおじいちゃん、おばあちゃんばっかりで。もっと面白くなるのに過小評価されているというか、誰も気付いていないというか。演出次第ではもっと面白くなると、生意気ながら思っていた。宝の山を見つけたみたいな感じがあった。目の前に釈台があって、張り扇でパンパン叩く様子がイメージできなくても、"講談"という言葉を聞いたことがある人は多いと思う。ただ、落語における『笑点』のような、みんなが知っている"核"のようなものがないので、僕がメディアに結構出させて頂いていることで、何となくアイコンになっているのかなと。上手い人がもっといらっしゃるので、その案内人になれればいいと思っている」

 楽しさを共有してくれる女性客を意識する一方、「おっさんは評論家になりがちだ」と指摘する。

「9割9分のお客様は素敵な人だが、僕はおっさんを敵視している。ある常連のお客様は本当にやっかいで、"マニアがジャンルを潰す"というのはこのことだなと思う。講談は狭い世界で閉鎖的なので色々なことを言われてきた。でも僕はそういう人間と戦ってきたし、1年目から"お前らにやってるわけじゃないよ"と思ってきた。若い人や、ちゃんとしている年配の方に向けてやっているんだと思いながらスベっていた(笑)」。

■「若い人が興味を持ってくれて、いい流れになってきている」
 落語に比べて笑いの要素が少ないイメージがあることについて松之丞は「例えば泥棒を扱う場合、落語だと昨日今日でなった泥棒が間抜けで失敗ばかりしているような話になるが、講談の場合は歴史やノンフィクションを扱うので、石川五右衛門とかねずみ小僧など、時代を代表する泥棒が出てくる。例えば我々は関ヶ原の戦いの結果を知っているが、それをドラマチックに、こういうことがあったのかと面白く話す。堅いイメージがあると勘違いされがちだが、講談にも面白い話はたくさんある」と説明する。また、「張り扇」については「刀になったりして便利だ。無いと喋りができないし、息継ぎができない。張り扇の音も講談だ、という人もいる。楽器と一緒で、いいところでパーンと鳴るとお客様も気持ちがいい。お客様と呼吸を合わせて鳴らすが、毎回違う。ジャズに近い」と説明した。

  頭の中には140ほどの演目が入っているという松之丞。かける演目は高座に上がる直前に決めるという。「お客様の前で雑談をして、反応を見て、"今日はひねってる方が好きそうだ""間をゆっくり置いた方が伝わりやすい""反応が早い"といったことをチェックしていく。ちょっとホストクラブみたいなもの。45分、50分とネタをやった時に"あっという間だった"という感想が一番嬉しい」。

本編に入っていてからも調整を繰り返す。「本編に入ってから逃れられないと厳しいので、パターンをいくつか用意しておく。"ウケないな"と思ったら最後に人情話っぽく持っていくなど、お客様に合わせ古典をアレンジし、枝分かれさせる。他の講談師はお客様が想像する余地を3割くらい残す。今の僕は感情移入する方なので、想像の余地がなかったりする。もっと声を張らずに、淡々とやってお客様を引きずり込めると嬉しい。そういう名手がたくさんいる」と語った。

 ネット上には「水戸黄門も遠山の金さんも元は講談だった?」「江戸時代は落語より人気だった?」「講談師は昔のニュースキャスター?」「講談社は『講談』の読み物を専門で出していた所?」など、講談に関する様々な噂がある。松之丞はこれらについて「全部その通り」と話す。「最初の見習い期間が3か月くらい。そして4年ぐらい前座修業があって、二ツ目という武者修行期間が10年くらいある。入門して15年くらい経つと真打ちにいける。私は11年目なので、あと4、5年で真打ちになれる。そうすれば弟子も取れる。若い人たちが講談に興味を持ってくれて、お客様が増えてきた。講談に若い人がどんどん入門してきてくれるのが夢だったが、今年だけで4人も来ている。いい流れになってきている」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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