『バリバラ』で障害者が戦争中の過酷な差別を告白!「役に立たないから死ね」はいまも杉田発言や自民党の政策に

リテラ

2018/8/10 14:59


 終戦から73年。今年も各メディアで戦争を振り返る企画が組まれているが、「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティの人たちのバリアをなくすために考える」情報バラエティ番組『バリバラ』(NHK Eテレ)も、8月5日放送回にて「障害者×戦争」と題して戦争特集を放送した。

これは、戦争を経験した世代の障害者に、戦争中どのような体験をしたのかを語ってもらう企画だったのだが、そこで語られたのは、人を人とも思わぬ扱いを受けたという、あまりにも過酷な体験の数々だった。

まず登場したのは、現在93歳の松田春廣さん。重度の脳性まひをもっており、生まれつき身体が不自由な松田さんは学校に入学することも認められなかったのだが、徴兵検査なしで徴兵免除とはならず、徴兵検査を受けさせられることになった。そこでの体験は生涯忘れられないものになったという。

「昭和19年、私は20歳でした。徴兵検査があり受けさせられました。みんなで裸になり検査を受けました。裸に(されて)辱め(を受けた)。みんな笑ってた。『穀潰し』って言われた」

松田さんはその後、戦況が悪化して食糧難になってからはご飯を与えてもらえなくなったという。口減らしのため「間引き」されそうになっていたのだ。松田さんは続けてこのように語っている。

「恐ろしいことだ。私は殺されていたかもしれない。それはハッキリ言いたいな」

戦争の極限状態のなかにいれば人間はどこまでも残酷になる。脳性まひで生まれつき足が不自由な現在79歳の上村慶子さんは、6歳のとき空襲をきっかけに家族から「死んでしまえ」と言われた体験を語る。

上村さんは足が不自由なため、母に背負われて逃げたのだが、防空壕から母がはみ出してしまったという。上村さんは番組内で詳細に説明していないが、おそらく、足の不自由な子どもを背負って逃げるのが遅くなったため防空壕がいっぱいになってしまい、母が入れなかったということなのだろう。無事、ケガひとつすることなく空襲を乗り切ったのだが、その際、きょうだいから言われた言葉は残酷なものだった。

「『お前のようなものがいるから。こんなつらい目にお母さんをあわすなら死んでしまえ』っていう言葉が返ってきました。母が『慶子に言った言葉を取り消しなさい』って言いましたけど、本当に歩けないってことは、こんなつらいものかと思いました」

「死ね」との言葉を投げつけたのは家族だけではない。上村さんは続けて語る。

「近所の人でしたけど、『子どもを死なせなさい』って、『去勢しなさい』って。社会全体がそうだったんですね。もう生きていく資格もない。生きていく資格のない者は殺せって」

優生思想が幅をきかせた戦時中は、教育現場でも残酷な扱いが公然と行われていた。番組では、1943年7月2日に京都盲学校で満州建国大学の森信三教授が話した講話を紹介している。

〈あなた方は少年航空兵にもなれず 潜水艦にものれず 直接召に応じて出征することが出来ない身の上であります。敵と体あたりをして散ってゆく同年輩の青年 さうした人々と自分とをひきくらべてみて 目の不自由から来る 身の至らなさに思ひを致されなければなるまい〉

戦争の役に立たない人間は生きる資格がないとでも言わんばかりの言葉で、これを聞かされた生徒の心中は察するに余りある。

ただ、『バリバラ』の戦争特集が伝えたのは、戦中世代の障害者が語る筆舌に尽くしがたい体験を受けたという過去の記憶だけではない。2018年のいまも、この社会でまったく同じことが起きていることを指摘したのだ。

●「戦争」が「経済」になっただけで「役に立たない人間は死ね」は変わらない

その象徴的な例として挙げられたのが、2016年7月に発生した相模原障害者殺傷事件。この事件で19人もの人々を殺害した犯人は「障害者は不幸しかつくれない。いないほうがいい」などといった優生思想に基づく強い差別意識をもっていた。

そして、この事件で明るみになったのは、犯人のような差別的な考えをもつ人は決して少なくないという事実だった。番組レギュラーの大橋グレース氏はこのように語る。

「そのときネットに出ていた『障害者でお金がかかる人は死んでも当然だ』とかっていう言葉と内容が(戦争中と)あまり変わらないと感じましたね」

同じく番組レギュラーの玉木幸則氏も、「戦争」が「経済活動」に置き換わっているだけで、障害者をめぐる視線はさほど変わらないと指摘する。

「戦争のときは、戦争の役に立つか立たないかという指標があって、いまはいまで、経済的な活動の役に立つか立たないかという指標があって、それでいくとね、すごくキツいなと思うんですよね」

大橋グレース氏は多発性硬化症を発症し、呼吸器を付けて生活しているが、やはりそのことに対しても差別的な言葉を投げかけられることがあるという。

「私自身も呼吸器使ってたら『金のムダだ』とか『みんなのお金使って』と言われることあるから、それは戦争の時代と何も変わっていないんじゃないかなって。やっぱり、命っていうのは、価値があるとかないとか分けられないものだっていうのを、本当に認識しないと、間違った優生思想のもとに、この命は大事だけどこの命は大事じゃないとかってなってしまうと怖いなと、それは戦争がある時代もいまもそうなんじゃないかなと思っています」

つい先日、自由民主党の杉田水脈議員が「LGBTは『生産性』がないので支援する必要はない」などとする差別丸出しの主張を「新潮45」(新潮社)2018年8月号に寄稿し、大きな問題となったのは記憶に新しい。

しかも、安倍首相のゴリ推しのもと自民党入りした彼女に処分がくだることはなく、杉田議員からはいまだに説明や謝罪の声はない。

自民党や安倍政権の本質、日本社会の本質は、障害者に「国の役に立たない人間は死ね」と迫った戦争中とほとんど変わってないということだろう。この社会を変えないかぎり、障害者が戦時中に受けた残酷な体験はこれからますます「当たり前のこと」になってしまう。『バリバラ』の戦争特集はそのことを再認識させてくれたといえる。
(編集部)

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