大人でもどう考えたらよいか難しい問題。さてどう答える?

BOOKSTAND

2018/8/10 12:00

 2018年春から小学校で教科化されることとなった「道徳」。文部科学省のほうで「考え、議論する道徳」というキャッチフレーズを掲げているように、従来の形式的な道徳の授業以上に、子どもたち自らで考え、議論し、道徳性を育んでいくことに力が注がれているようです。

たしかに、今後ますますグローバル化、多様化していくであろう社会の中で、自分の考えを持ったり、それを表現したりすることはとても大切。けれどやっかいなことに、大人でさえも世の中の問題に対し、どう考えてどう答えたらよいか戸惑ってしまうなんてことは日常茶飯事なんですよね、実は。

そこで、そうした問題について親子で、家族で、友達同士で考えて議論するのに役立つ一冊が『答えのない道徳の問題 どう解く?』です。

たとえば、本書に出てくるのはこんな道徳の問題の数々。「ついていい嘘と、ついちゃいけない嘘ってどう違うんだろう?」「人数が多いほうが、正しいってどうして言えるんだろう?」「蝶々を殺して、ネコを殺しちゃいけないのは、どうしてだろう?」「男の人と女の人は好きになると結婚する。どうして好きな女の人どうしは、結婚しないんだろう?」――子どものころ、皆さんも一度は父親や母親にこんな質問をしたことがあるのでは? もしかしたら、自分の子どもから同じ質問を受けている人もいるかも。

でも、こうした質問にすぐさまパッと明確に答えられる大人はいったいどのぐらいいるでしょう? 中には時間をかけたとしても、自分なりの答えを出せないような問題もあるかもしれません(事実、私はそうでした)。

そこで頼りになるのが、本書の後半に出てくる「考えるためのヒント」です。ここでは各界の有識者や著名人が、質問に対する自身の意見を述べています。「うそ」については詩人の谷川俊太郎さん、「せんそう」についてはジャーナリストの池上彰さん、「べんきょう」については棋士の羽生善治さん、「すき」については能町みね子さん、などなど......。一つの質問についても、さまざまな角度から光をあてて考えることができます。

ただし、これはあくまでも正解ではなく単なる「ヒント」。まずは自分で考えるべく、問いかけのみが先に出され、その後に手引き的な感じで「考えるためのヒント」が掲載されています。

順番としては、まずはいっぱい考えていっぱい悩んで自分なりの答えを見つけてみる。次はお父さん、お母さん、友達などといっぱい話し合ってみる。そのうえで「こんな風な考え方もあるよ」というつもりで「考えるためのヒント」を読むのがよいでしょう。

さらに巻末には、本で考えた疑問や問題、自分の意見を話し合うためのワークシート付き! めいっぱい、子どもの対話するチカラ、考え抜くチカラを伸ばすことができそうです。

大人にとっても自分の倫理観や道徳観を見直すためになるであろう本書。堅苦しく考えず、フラットな気持ちでトライしてみてください。そして子どもがいる人は、ぜひ一緒に取り組んでみて。彼らと本音で話し合うよい機会になるに違いありません。

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