9時始業なのに6時出社、時給400円で13時間労働 非常識を強要するブラック企業の恐怖

しらべぇ

2018/8/10 10:30


(tuaindeed/iStock/Thinkstock)

世間の常識は、ブラック企業の非常識。その非常識を当たり前のように押し通そうとすることで、社員たちは悲劇に巻き込まれることになる。

GPSを使って残業時間の証拠を自動で記録できるスマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発した日本リーガルネットワーク社には、非常識のデパートとも言えるようなブラック企業エピソードが寄せられた。

■9時始業なのに「6時から待ってろ」


しゃんしゃんさんが、以前勤めていた会社をブラック企業であると感じたのは、勤務初日からだったという。

「初日は新入社員と教育係でお世話になっている他社の方に研修を開いてもらう予定でした。その日集合時間は朝の6時と伝えられていました。始発で間に合わない同僚は前日に近くのホテルに泊まるなどしていました。

そして6時に新入社員全員が揃いました。しかし、いくら待っても他社の方どころか教育係すら来ません。会社の前で30分待ったところで教育係に電話をしました。

電話に出た教育係に事情を話すと『研修開始は9時! 新入社員が会社に早く行って、待ってるのは当たり前だろ! 朝っぱらから電話なんかしてくんじゃねぇよ』と言い放たれました」

■1日13時間勤務で時給400円台


初日からとんでもない業務命令を出してきた会社だが、そこから勤務するたびに驚きの連続だったと語る。

「もともと雇用契約では勤務時間は9時~17時でしたが、実際には9時~20時まで通常業務。その後20時~23時まで新人研修という驚きの勤務体制でした。

そして2週間の新人研修が終わってからも、17時に帰れることは一度もなく、基本は22時まで仕事をしていました。休日も会社からの電話が朝から晩までかかってくる始末。

実際、1ヶ月で働いた勤務時間は315時間。給与明細をみて愕然としました。手取りから計算すると時給は400円台でした。もちろん残業代などもついてるわけがありません。

そして交通費の上限も雇用契約では15,000円でしたが実際には5,000円しか支給されず。呆れ果てて、上司に雇用契約を見せながら問いただすと、『新入社員の君たちは会社に学ばせてもらってる身分なんだぞ。働かされてると思うから、そんな呆れたことが言えるんだ』の一点張りでした」

■親戚の死去にも暴言


ブラック企業とは切っても切れないパワハラだが、しゃんしゃんさんの場合も同様。しかも、人の命にまつわる暴言だった。

「そして上司に詰め寄った私は、パワハラなど当たり前。次の日から全く仕事をさせてもらえませんでした。

そしてその数ヶ月後、近しい親戚が亡くなったため、有給を使おうと上司に理由を説明すると、『この忙しい時期に死ねる親族がそれなら、子供はこれか。そいつの顔が見てみたい』と吐き捨てられました。そのことがきっかけでA社を去りました」

■弁護士の見解は…


(©ニュースサイトしらべぇ)

鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士は、今回のケースも一刀両断する。

早野弁護士:しゃんしゃんさんが勤めていた会社は、労働時間管理の意識がまったくない典型的なブラック企業といえます。

まず、会社が入社初日の研修の開始時間を(定時前である)朝6時と指示した場合、業務命令による朝残業が発生するわけですから、会社は参加した新入社員に対して朝6時から賃金(残業代)を支払う義務があります。

「新入社員は会社に早く行って待っているのが当たり前」などという理屈で、残業代の支払いを免れることはできません。

■行政指導やパワハラの違法性も


しゃんしゃんさんのケースには、さまざまな法的な問題もあるという。

早野弁護士:また、しゃんしゃんさんは、9時から22時ないし23時まで勤務していたにもかかわらず、定時である17時以降の残業代が支払われていません。これも当然、残業代の不払いとなります。

このような残業代の不払いは、労働基準法37条に違反し、違法です。労基署に申告すれば行政指導の対象になりますし、悪質な場合は刑罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されます。

ブラック企業には付き物のパワハラも問題だ。

早野弁護士:さんざんサービス残業をさせておきながら、親戚が亡くなった時に、「この忙しい時期に死ねる親族がそれなら、子供はこれか。そいつの顔が見てみたい」などという暴言を浴びせるのは言語道断です。

上司に抗議した翌日から仕事をさせてもらえなくなったことも含めて、このような上司の言動はパワハラとして違法になる可能性が高いでしょう。

・合わせて読みたい→新入社員の給与を天引きして全社員が飲み会 ブラック企業のあきれた非常識ルール

(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク

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