助演男優賞は吉田鋼太郎! 主演・田中圭は『今どき、こんな役者いない』【ドラマアカデミー賞】

ザテレビジョン

2018/8/10 07:00

2018年春クールに放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン 第97回ドラマアカデミー賞」の受賞作が発表。助演男優賞は、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で、主人公・春田創一(田中圭)に思いを寄せる上司・黒澤武蔵を演じた吉田鋼太郎が受賞。

乙女キャラ全開で同作の“ヒロイン”を務め上げた熱演に「吉田でなければ成立しない役」と絶賛の声が相次いだ。そんな吉田に名シーンの裏側と共に作品や共演者への思いを聞いた。

――「カラマーゾフの兄弟」(2013年フジテレビ系)「花子とアン」(2014年NHK総合ほか)に続いて3度目のご受賞、おめでとうございます。しかも「おっさんずラブ」は6冠です。受賞のご感想をうかがえますか?

この作品はSPドラマ(2016年)放送当時から反響が異例に多くて、面食らいまして。連ドラ化されて、そこからの反響もさらに大きくて。今振り返ってみますと、本当に良質なラブストーリーですし、男性か女性かに関係なく、人が人に恋する情熱や、悲しさ、切なさや幸せなど、いろいろな要素を美しく、そして一生懸命、熱く描いていたドラマだったなと。今考えると皆さんもそういう部分を観たかったんじゃないかな、と思います。

――元々2016年の単発版がきっかけとなって連ドラ版が制作されたわけですが、春田創一役の田中圭さんとは、単発版からお芝居を変えようといった相談はされましたか?

ほぼ暗黙の了解と言いますか、僕らの共通意識として「1シーン1シーン、命懸けでやんないとダメだね」って流れには自然となっていましたね。例えば男性と抱き合うとかは不慣れなものですが、ちょっとでも照れがあったりしては絶対ダメだと。僕なら本気で武蔵としてはるたん、田中圭を愛していないといけないな、と。そうじゃないとおちゃらけたものになってしまうし、やるからには見ている方の胸を打たなければいけない。

――ちなみに舞台を含めても、男性を好きになる役のご経験は?

ちょっと思い出してみても、あんまりないですね。映像では実際、男性だけじゃなくて、女性との恋愛ものというのも、あまり演じたことがないのでね(笑)。ましてや抱き合ったり、大きな声で愛を告白したりというのも、対女性ですらやったことがない(笑)。僕にとっては割と、初めて尽くしのドラマでした。

――田中さんとのお芝居で、化学反応を感じられた部分もありましたか?

やっぱりこのドラマを引っ張っていったのは田中圭だと思うんですよね。彼の皆から愛される、真っ直ぐで正直なキャラクターが、本当に素晴らしい春田を生み出したなと。僕はとにかく圭についていく感じ。で、圭のリアクションをいっぱい引き出してあげる。そうすると圭がますます面白くなってさらにいい芝居をしてくれるようになるので。本当に圭とのお芝居が楽しかったですね。

――例えば、第2話で牧(林遣都)と春田を巡って喧嘩する場面では、自分の方が春田のことを理解しているという牧が春田の悪いところを挙げるのに対して「はるたん、そんなんじゃねぇよ!」と思わずアドリブが出たと伺っています。

(脚本の)徳尾(浩司)さんがそういうのは心得ていらっしゃって、直前にも武蔵が興奮して同じことを何回も言ってしまう女子高生みたいになっていたり、ツボを押さえたセリフを書いてくれるので、それに乗っかっていった感じですね。林遣都というのも何かが乗り移るタイプの俳優なんで。彼もこっちにぶつけるエネルギーがすごくてね。そこに右往左往する春田を挟んで、こっちはそれをどこかで面白がりながら…どうしたら圭が困るだろう、と。そうすると遣都の方も本当に全身全霊で来るから、じゃこっちも全身全霊で受けねば!って(笑)。そうやって2人でやっていくとますます圭が困るっていう、今回の「おっさんずラブ」なりの面白い三角関係の図式が、一番表れたシーンだったんじゃないかと思いますね。

――最終話の結婚式のシーンでは、春田が泣くのは台本にあったけれど、吉田さんもそのお芝居を受けてウルッとされていたそうですが…。

いいシーンなんですよね。あの“逆「卒業」(主人公が花嫁を結婚式場から奪うシーンが有名な1967年の映画)”みたいな、ね。僕なんかアメリカン・ニューシネマの世代なので、あのシーンが俺たちも出来るんだ!っていうワクワク感もあったんです。だったらすごくいいシーンにしたいなって。あそこは、ずっと部長と牧の間で揺れ動いていた春田の、田中圭との最後の見せ場だったのですが、やっぱり田中圭がすごいですよね。こっちが先輩ですから、「泣けるまで待ってくれ」とは絶対言わないんですよ、あいつは。先輩を待たせるわけにはいかないって、そういう非常に律儀な、体育会系なところがある男で(笑)。自分の中で感情を盛り上げて、俺の顔をグッと見ながら高めていったので、それに感動しましたね。今どきねぇ、こんな役者いないなって思いましたよ。

――第1話で武蔵が春田に告白した場面での吉田さんのお芝居が、最終話、春田から牧への求婚シーンで乗り移ってしまったと田中さんもおっしゃっています。部長からたくさんの愛をもらって、いざ自分が愛を与えるときには部長が出てきた、と。そうやって田中さんのお芝居にも影響を与えられたようで。

あー、それ面白いね。そういう見方もできるわけだ。それは素晴らしいですね…。いや、皆影響し合ってますよ。春田の、田中圭のリアクションはすごいですからね。ああいう(春田のような)人、本当にいるんじゃないかと思ってましたからね。

――2人のきずなも深いあまり、吉田さんのクランクアップ時になぜか田中さんが号泣という事件もありましたね。

そう、びっくりしちゃった(笑)。お前のアップじゃねえだろって。俺のアップなのにって。きずなはもちろん感じましたが、逆に、圭が大変だったんだなぁとも感じましたね。僕としては先輩・後輩関係なしにのめり込んでいたので、それだけ関係が濃密だったんだと思います。「恋」って感情を中心に動いている現場なんで(笑)。僕なんてラブストーリーものに出ることも少ないし、日常生活でもしばらく誰かに恋はしていないし。「恋」って感情は、何かを動かしますよね。そういうことに満ち溢れた現場だったと思います。またこの作品はね、皆恋に真剣なんだけど、そのために誰かをおとす、ということがなかったので、そこは割と皆安心しながら相手を好きになったんじゃないですかね。どうしても誰かを好きになって誰かとうまくいくと、別の誰かが悪者になったりするじゃないですか。そういうのがなかった。武蔵も本当は春田と一緒にいたいんだけれど、でも最後はしょうがねぇ、というところを徳尾さんが見事に書いてらっしゃいましたね。

――武蔵がフラッシュモブを仕掛けて春田にプロポーズするシーンは賛否両論でしたが。

撮影現場で「こんなプロポーズって本当にあるの?」って聞いたら、ホントにあるんですってね、今。それで納得できたのですが、あれじゃ嫌って言えないですものね。ただ、あれは武蔵にとって、俺は失うものはないぞという感じじゃないですか。もちろん、嫌と言えないだろうことは武蔵の中でも分かっているんですよ。でも結局それは、やっぱり牧のところへ行けよっていう布石でもあって。だからあのシーンは、ちょっと悲しいんですよね。そこまで頑張っちゃっているのか、武蔵、と。

――続編への期待もあります。これが、「最後から5番目の恋」というせりふもあり、かつ武川(眞島秀和)さんとも何やら予感させるものがありました。

冗談でね。ただ武蔵がまた別の人を好きになったら、あの時の春田への気持ちは何だったのってことで、暴動が起きることになるんじゃない? 暴動を起こさずに続編をやるのは、プロデューサーは大変だなと思いますよ(笑)。

――ファンは、部長含めみんなに幸せになってほしいんでしょうね。

ただね、愛している時が、幸せな時なんですよね。フラれたから不幸、という終わり方ではなかったと思うんです。武蔵は武蔵なりに、あの結末は幸せだったんだと思います。そこがまた深いところで(笑)。

――この作品を経て、吉田さんの中で何か変わったことはありますか?

ここですごくピュアな気持ちで人を愛する役をやっちゃったので、次もし、誰かを好きになるっていう役がまた来たときに、何となく「おっさんずラブ」を踏襲してやりづらくなるんじゃないかっていう気がしますよね。次はまたこれを越えなければいけないわけですから、もう何すればいいんだ?っていう感じはしていますね(苦笑)。

助演女優賞・木村多江さんの受賞インタビューは昼12時に公開予定、

脚本賞・徳尾浩司さんの受賞インタビューは8月11日(土)昼12時に公開予定!(ザテレビジョン・取材・文=magbug)

https://news.walkerplus.com/article/158000/

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