欅坂46を卒業する今泉佑唯の苦悩と情熱 平手友梨奈一強体制に一石を投じるか

wezzy

2018/8/10 01:25


 8月7日、欅坂46の今泉佑唯がブログでグループからの卒業をブログで発表した。詳細な卒業時期は決まっていないものの、8月15日発売のシングル「アンビバレント」の選抜からは外れており(カップリング収録のソロ曲「日が昇るまで」のみ参加)、また、8月11日から始まる全国アリーナツアーにも参加しない予定だ。

今泉佑唯は卒業について次のようにブログに綴った。

<昨年の冬頃から、ライブやイベント前の欠かせることのできないリハーサルに参加することができず、お休みが続いてしまっていました。握手会やイベントなどで大好きなファンの皆様に会いたい。その気持ちがあるのにできない、もどかしい気持ちでした。この状態が続いてしまっていることはファンの皆様、グループ、スタッフの皆様にとって良いことではないという思いをずっと抱いていました。こんな私でも応援してくださるファンの皆様、いつもそばにいてくれる家族のためにまだまだ頑張りたい。前を向きたい。前を向かなきゃ…そう思っていました>

自分自身で納得できる活動ができていない現状に悔しさを滲ませ、その状況を打開するための卒業なのだと説明している。また、グループからは離れるが、今後も芸能活動は続けていく意向だという。

彼女は体調不良などを理由に、昨年から断続的に活動を休止してきた。まず、昨年4月に体調不良で一時休養。その後、同年8月に復帰するも、数カ月後の12月には再度休養に入ることになり、『第68回NHK紅白歌合戦』、『第59回 輝く! 日本レコード大賞』(TBS)などの大型歌番組に出演することはできなかった。年が明けてすぐに復帰するものの、今年5月に行われたライブイベント「ビバラポップ!」は体調不良のため欠席するなど、ここ最近は再び体調不良で仕事を休むことが増えていた。

具体的な病名などは明かされていないものの、インタビューなどで病状を話してはいた。「BRODY」(白夜書房)2018年2月号で彼女は、<去年の夏頃から調子が悪くなることがあって、仕事をお休みしてしまったりしていたんです。良くなったり、悪くなったりの繰り返しで、それが今年になってから心身ともに限界まできてしまって。それでスタッフさんに話したんです。「休まないとたぶん欅坂46を辞めることになってしまいます。助けてください」って。それがデビュー1周年記念ライブの3日間でした>と語り、体調不良は2016年の夏から始まって、2017年4月6日に行われたデビュー1周年記念ライブの直前で限界に達したと明かしている。

2016年の夏というと、欅坂46のデビューシングル「サイレントマジョリティー」(4月6日発売)が大きな話題となり、芸能人や各界のクリエイターなど従来のアイドルファン以外の層にまで波及し、グループとしても平手友梨奈をセンターとして表現をつくっていくヒエラルキーが確立されはじめていた時期。

そんな時期に彼女を襲っていた苦しみとは、いったいどのようなものだったのか。前掲「BRODY」で今泉は<色々な悩みはあったんですけど、上手く言葉にできなくて。それが積み重なって弾けちゃった>と語る。その悩みを誰にも打ち明けることができず、自分のなかに溜め込むほかなかったようだ。彼女は<誰にも言えなくて、最初は1人で抱えていました。夜、眠れないくらい悩んで、1人で泣いていました>と明かし、また、休業中には、<もう、自分が欅坂46にいる理由とかがわからなくなっちゃって……勝手に一人でパニックになっちゃって>という状態にまでなったと告白している。

では、いったいなにがそこまで彼女を追い詰めたのだろうか。その片鱗は彼女のこのような言葉から読みとることができる。

<今もセンターになりたい気持ちはあります。きっと私がセンターになっても誰も喜ばないだろうなって思ったりもします。でも、なりたいです>

<今まで自分たちでも自覚している部分はあったんですけど、平手がいなきゃ欅坂46は成り立たないって言われるのが、すごく悔しいし悲しいんです。他にも個性的なメンバーがたくさんいるよって思いながらずっとパフォーマンスしてきたので。もっと自分も見てほしいって気持ちがだんだんと芽生えてきて、それからセンターになりたいって気持ちが強くなっていきました>(前掲「BRODY」より)

周囲の評価などを受けて、欅坂46の方向性はグループ発足当初とはいささか変わっていった。今泉もグループのなかでは中心メンバーのなかに入っていたが(1stシングル「サイレントマジョリティー」、2ndシングル「世界には愛しかない」では共に1列目に配置されている)、しかし、そこで絶対的なセンターとなるのは平手友梨奈であり、次第に彼女は居場所を見失っていった。その状況が心身に大きな負荷をかけていたと読み取ることはできるだろう。

たとえ当人に実力があっても、環境が自分に合わないがために、うまく能力を発揮できないというケースは、アイドル業界ならずとも、どんな仕事でもある。以前いた職場では芳しい成績を残せていなかった人が、転職や配置換えなどで場所を変えた瞬間、見違えるように輝き始めるというのも往々にしてよくあることだ。

また、絶対的センターとされている平手友梨奈も、昨年から体調を崩しがちではある。その肩にのしかかる重圧は並大抵ではないのだろう。平手一強体制への疑問はファンからもちらほら聞こえてはくるが、今泉の離脱はその構造に一石を投じるものでもあるかもしれない。

今泉佑唯は「blt graph」(東京ニュース通信社)2017年8月号のインタビューでこんな言葉を残している。

<歌がないと生きていけないです。本当に歌うことが大好きなので──。だから、グループに何かひとつでも貢献できるとしたら、私には歌しかないと思ってるので、もっと歌唱力を上げたいです>

残念ながら、グループへの貢献というかたちで歌を披露する機会はなくなってしまうが、これからは欅坂46とはまた違ったかたちでファンの前で歌うことになるのだろうし、その時は、もっと楽しく自由で伸びやかに活動してほしいものだ。

(倉野尾 実)

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