八千草薫「3度目でも初めて演じるような感覚」~舞台『黄昏』開幕前日会見

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2018/8/10 06:00



2018年8月10日(金)から、東京・紀伊國屋ホールにて八千草薫の主演舞台『黄昏』が初日を迎える。その前日、同劇場にて公開ゲネプロ(通し稽古)が催され、ゲネプロ前には八千草のほか、村井國夫、朝海ひかる、松村雄基が囲み会見に臨んだ。

本作は1979年にニューヨークで初演され、1981年にはヘンリー・フォンダ、ジェーン・フォンダ、キャサリン・ヘップバーンが共演した映画版も公開され、いずれも大好評となった。ある湖畔の別荘を舞台に、老夫婦とその娘、娘のパートナーとその連れ子がひと夏の間に経験する交流の中で、老いと家族の絆という普遍的なテーマを穏やかに描いた物語だ。

八千草は御年87歳。宝塚歌劇団を経て昨年芸能生活70周年を迎えた今も、現役として活躍し続けている“小さな”大女優だ。その八千草が『黄昏』に挑むのは2003年、2006年に続いてこれが3度目となる。
(左から)朝海ひかる、村井國夫、八千草薫、松村雄基
(左から)朝海ひかる、村井國夫、八千草薫、松村雄基

会見には誰よりも小柄な八千草を優しく包み込むように、村井、朝海、松村がその脇を固めていた。3度目の上演について八千草は「新しい作品をやっているような気持ちです。2回やってきたので、3度目は何か新しい所を探そうかと思っていたのですが、実際は初めて演じるような感覚になりましたね」と穏やかに語った。

八千草が演じるエセルの夫、ノーマン役を演じる村井は、今回初めてこの役を演じる。「八千草さんがかわいくてかわいくてどうしようもない。母性本能(笑)が湧いてきます。お守りしなければ」と目尻を下げていた。
『黄昏』
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『黄昏』
『黄昏』
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ノーマンとエセル夫婦の娘チェルシー役を演じる朝海は、宝塚の大先輩を前にして、「昨日、舞台稽古で八千草さんと目を合わせてお芝居をしていると、あまりの美しさとオーラにびっくりでした。稽古場で何度もやらせていただいているのに、舞台に上がるとさらにオーラが増し、本当にキラキラしているので、思わず台詞を飛ばしてしまいました」と苦笑。チェルシーのパートナー、ビル役の松村も、朝海が台詞を飛ばしてしまったその瞬間を「見ていました」とニヤリ。「僕は一場面しかご一緒できないので、後は客席で観ていたのですが、本当にチャーミングでかわいらしくてずっと観続けてしまい、僕も台詞を忘れそうになりました」と朝海の気持ちに共感していた。

共演者からの「可愛い」の連呼に八千草は「(八千草が演じる)エセルという人がとても魅力的なんですよ。皆さんが本当に優しくしてくださって、男女問わず労わってくださるので余計私はプレッシャーを感じまして、ちゃんとやらなきゃと思います」と恥ずかしそうにコメントした。

「年齢と共に体力がダメになりますね」と語る八千草は「いつでもステーキを食べて、毎朝歩くこと」が健康の秘訣と語る。東京公演の後は、9月半ばまで地方公演が続く。このことに村井は「お守りします」とバリトンの美声で八千草を包み込む。ちなみに村井の健康法は「妻の食事を食べることだけです。後は何もしません」と笑い、愛妻・音無美紀子との絆も垣間見せていた。
『黄昏』
『黄昏』
『黄昏』
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公開ゲネプロでは、老いを感じながらもポジティブに生きようとするエセルと、強気を見せながらも迫りくる老いに怯えるノーマンが、八千草と村井の安定した演技によって、よりリアルなものとして伝わった。さらに父親と確執を持つチェルシー役の朝海は、村井演じるノーマンと“似た者親子”過ぎてソリが合わないのでは、と思わせるくらいのDNAを感じさせ、まるで本当の父娘のよう。
『黄昏』
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老いや家族の絆というテーマは、ともするとどこか重たさを作り出してしまいがちだが、ビルの連れ子・ビリー役の若山耀人の今どきの少年らしい素直な演技や、何より八千草の太陽のような輝きによって、万人の心に自然に染み込むやさしさに溢れた作品となっていた。

取材・文・撮影=こむらさき

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