中尾明慶、明石家さんまの“愛”と“偉大さ”『Jimmy』再撮で実感


明石家さんまの企画・プロデュースによるNetflixオリジナルドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』(全世界190カ国独占配信中)で主演を務めた中尾明慶。中尾が演じたのは、さんまに見出されてお笑い芸人となり、のちに絵描きとして才能を開花させたジミー大西役だ。

“アホみたいなホンマの話”というタイトルどおり、ジミーの破天荒でぶっ飛びのサクセスストーリーとなっている。さんま役の小出恵介が無期限活動停止となってからは、玉山鉄二が代役を演じ、再撮を敢行。その他、Mr.オクレ役を六角慎司、村上ショージ役を尾上寛之、大竹しのぶ役を池脇千鶴が務めた。

中尾はジミー大西とは全然違う風貌だが、直々にオファーされたさんまの期待に応え、劇中では見事にジミーっぷりを発揮し、役者として新境地を開拓。中尾にインタビューし、プロデューサーも務めたさんまとの心温まるエピソードや、仰天の撮影裏話を聞いた。

――さんまさんと舞台『七人ぐらいの兵士』で共演されたことがきっかけで、本作のオファーが入ったそうですね。

舞台は何が起きるのかわからない生ものだから、僕は毎回緊張しながらいっぱいいっぱいでやっていました。舞台でさんまさんが僕をいじくり倒すシーンがあったのですが、その時にさんまさんが「あれ?ジミーがいる。こいつならいけそうだ」と思われたそうです。

――ジミー大西を演じるにあたり、最初はとてもプレッシャーを感じられたとか。

僕がジミーさんが演じて、果たしてあんなに強烈なインパクトを与えられるのか?と不安でした。実在の方を演じるということですが、光野(道夫)監督からは「本人に寄せすぎなくてもいい」と言われました。モノマネをしすぎると観た人が冷めちゃう場合もあるだろうし、どこまで寄せるのかと、そのバランスが非常に難しかったです。

――「破顔一笑」という感じの笑い方がとても印象的でした。

普通の顔でいると、ジミーさんから遠くなってしまうので、真面目な顔をするのはやめました。笑い方はかなり意識しましたし、頭をくしゃくしゃっとする仕草など、いろんなポイントも押さえていきました。

――現場でさんまさんからジミー役について何かリクエストが入ったりしましたか?

アドバイスをたくさんいただきました。例えば「こういう仕草がやれそうだったらやってほしい」と言ってくださるんですが、それも“絶対”ではなくて、「入れられたら入れてほしい」というニュアンスです。あくまでも僕に委ねてくださるので、本当にありがたかったです。さんまさんに限らず、ほかのプロデューサーの方々も「ジミーに見えてきたよ」とほめてくださって、僕の気持ちを高めてくださいました。

――さんまさんからは、ジミー役についてどんな感想を言われたのですか?

すごくほめてくださいました。さんまさんは、プロデューサーとしてもすごいんです。「今日は完璧だったよ」と耳元でささやいてくださったりするので、僕も「ありがとうございます! 明日も頑張ります!」とやる気になれたんです。

――現場が良かったからこそ、ドラマの配信延期が決まった時は、かなり落胆されたそうですね。

「もうダメだ……」と相当落ち込みました。単純に「終わった」と思って、とりあえずパンケーキを食いました(苦笑)。その日の夜にさんまさんからご飯に誘われたんですが、さんまさんは会っていきなり笑い話をされたんです。

その後、飲み屋に連れていってくれて、さんまさんはドンチャン騒ぎをされていました。自分がプロデュースしたドラマが、お蔵入りの可能性があるのに「ありえない」と思いましたが、僕が相当落ち込んでいたので、元気づけようとしてくださったんでしょう。さんまさんご本人が一番辛かったと思うのに、そんな素振りを全く見せないんです。すごい方ですよね。

――ドラマさながらに、さんまさんの懐の深さが伝わってきますね。

『Jimmy』の内容もそうで「どんな状況でも絶対に笑いに変える」という感じです。かたやジミーさんはよく泣く方で、さんまさんが「なんでいつもそんなに泣いてるんや。笑え笑え」とおっしゃるんです。本当にドラマのような流れでしたが、再撮できて本当に良かったと思いました。

――新しくさんま役にキャスティングされた玉山鉄二さんの印象を聞かせてください。

玉山さんにはすごく助けられました。演じる人によってガラリと変わるし、そこが役者としての楽しみでもあるんです。より男前なさんまさんを作り上げてきたという印象で、いい意味で、玉山さんご自身が兄貴肌な方なので、そこがリンクして、カッコいいさんまさんができあがったと思います。

――ジミー役は、第1話の股間をヒモで縛って上からつるされるという恥辱的なシーンから始まり、かなり体を張った脱ぐシーンが多かったのですが、演じてみていかがでしたか?

あのシーンも撮り直しだったので2回やっています。1回目の時は助監督が作ってくれた“●ンチン装置”をつけてそれをくくって撮ったんですが、2回目の時はそれがなくて。というか、僕も「つけなくていいや」と思ったので、そのまま自分のものをくくってやりました。女性スタッフには「申し訳ないけど、見えたらごめんなさい。見ないように調整してください」とお願いして。

――照れとか恥ずかしさとかはなかったのでしょうか?

まあ、しょうがないかなと。毎回脱ぐシーンが出てくるので、その度に前貼りをするのが面倒くさくなってくるんです。どうせ見えたら使われないので「もういいや」と思い、変なテンションでやっていました。男性女性限らず、キャストにも見えていたと思います。

――ジミー大西さんの人生を生きてみて、どんなふうに思われましたか?

ジミーさんは本能のまま生きているので、気持ちいいです。僕は30歳になりましたが、若い世代はそんなふうに生きられないというか、いろんなことを我慢してしまう世代ですから。みんなが模範であることだけを目指し、ちょっと浮いたことをすると「変な子」というレッテルを貼られてしまう。

ジミーさんのように、生放送で放送禁止用語を言うような後輩に対しても、そこを敢えて「面白い」と受けとめるさんまさんもすごい。いまの世の中がそういうふうになってくれるといいなとも思いました。

――中尾さんご自身も、さんまさんには、とても感謝されているそうですね。

さんまさんのプロデュース作品じゃなかったら、絶対にジミー役は僕に来てないですから。そのことは僕自身が痛いほどわかっているので、僕は今後さんまさんに足を向けて寝られないです(笑)。たとえこの先、引っ越したとしても、さんまさんの家の方向を確認して寝ようと思っているくらい感謝しています。

さんまさんは本当に偉大な人だし、愛が深い方なんです。このドラマは1回つまずきましたが、それでもやろうと思ってくださったさんまさんやスタッフさんの思いが強いから、日本に限らず多くの方に観ていただきたいと心から思っています。

■プロフィール
中尾明慶
1988年6月30日生まれ、東京都出身。2000年にドラマ『ママまっしぐら!』でデビュー。主なドラマの出演作に『3年B組金八先生』第6シリーズ(01)、『GOOD LUCK!!』(03)、『WATER BOYS2』(04)、『セーラー服と機関銃』(06)、映画化もされた『ROOKIES』(08)など。連続テレビ小説『まんぷく』(2018年10月~)が待機中

■著者プロフィール
山崎伸子
フリーライター、時々編集者、毎日呑兵衛。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者を経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムを中心に執筆。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』、好きな俳優はブラッド・ピット。好きな監督は、クリストファー・ノーラン、ウディ・アレン、岩井俊二、宮崎駿、黒沢清、中村義洋。ドラマは朝ドラと大河をマスト視聴

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