『健康で文化的な最低限度の生活』孤独なシンママ役・安達祐実の演技が光るも、視聴率上昇の兆しは見えず……

日刊サイゾー

2018/8/8 23:00


 吉岡里帆が主演するドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)の第4話が7日に放送され、平均視聴率5.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.3ポイントダウンとなり、上昇の兆しが見えてきません。

(前回までのレビューはこちらから)

今回、福祉生活課の窓口を訪れたのは、1年前に夫のDVが原因で離婚し、それ以来、生活保護を受給しているシングルマザーの岩佐朋美(安達祐実)。その担当を務める新人ケースワーカーの七条竜一(山田裕貴)は、母子家庭で育ったために必要以上に感情移入し、積極的に求職活動中だという朋美の言葉を信じてエールを送ります。

しかし、面談の間、朋美の娘・咲(吉澤梨里花)の面倒を見ていた義経えみる(吉岡)は、どうやら咲が母親のストレスのはけ口になり、言葉の暴力を受けていることに気付きます。そのことを七条に伝えるのですが、「あの人なら大丈夫」と、取り合ってもらえません。

その後、朋美から就職先決定の報せを受けて喜ぶ七条ですが、それから急に音信が途絶えてしまい、不審に思います。何度電話してもつながらず、訪問しても留守ばかり。そんな中、えみると街中を歩いていた時、スーパーから出てくる朋美にばったり出くわすのですが、朋美は何も言わずに逃げ去ってしまうのでした。

朋美の行動に頭を悩ます七条のもとに、ある日、朋美の妹・百合子が訪問。姉が離婚によって喪失感を味わい、さらに子育てや就職活動のプレッシャーで押し潰されそうになっているという話を打ち明け、七条に力になって欲しいと頼みます。

百合子の言葉に気持ちを新たにした七条は、なんとか朋美を福祉生活課に呼び寄せることに成功。久しぶりの面接に気合が入り、「頑張りましょう!」と激励します。しかし、これが朋美にとっては精神的な負担になってしまい、席を外してトイレへ。その後を追いかけたえみるは、トイレの窓から今にも飛び降りそうな朋美の姿を目撃し、今日はもう帰宅するよう促します。

その後、えみるは、朋美の様子が尋常ではなかったことを七条に報告し、彼女の気持ちを考えていないと指摘します。しかし七条は、母子家庭で育ったため、シングルマザーの苦労は身に染みてわかると反論。口論になりかけたところで先輩ケースワーカーの半田(井浦新)が間に入り、話し合いの結果、朋美を一度精神科で診てもらうことになります。

しかし、納得がいかない七条は、同僚たちが帰宅した後、静まり返った職場で悶々とした時間を過ごします。そこへ上司の京極(田中圭)が現れ、何気なく幼少期の思い出話を披露。朝昼晩と働き詰めだった母親が体を壊し、やむをえず家にいた時、「一緒にいられるのがうれしかった」という話をします。

この話によって七条は、以前、昔話をしていた時に母親が、「自分の口から助けてって言えないお母さん、多いのよ」と漏らしていたことを、ふと思い出します。そして、朋美に対して今自分がしなければいけないのは、「頑張れ」ではなく、「頑張るな」と言うことなのではないかと思い立ち、すぐさまその気持ちを電話で伝えます。

精神科での受診の結果、朋美はうつ病を患い、自殺一歩手前の精神状態だったことが発覚。その後、ゆったりとした時間を過ごし、元気を取り戻したところで終了となりました。

今回は主人公のえみるが脇に回り、七条がメインを務める回だったのですが、むしろ主役はゲスト出演の安達祐実だったのではないか、と思えるほど演技が卓越していました。

幼少期から責任感が強く、周囲の期待に応えて生きてきた朋美ですが、進学・就職も順風満帆に進んでいたものの、離婚によってそれまで積み上げてきたものや、理想としていた未来がすべて崩壊してしまったんですね。

しかし、キャリアを取り戻したいという意地や、結婚せずに働き続ける同期への見栄だけは消えずにある。だからこそ、生活保護受給という現実がつらく、娘の存在が息苦しい。孤独を抱え、次第に精神的に崩壊していくサマを、安達が見事に演じていました。特に、トイレの窓辺に立つシーンでは、本当に飛び降りてしまうのではないか、とゾッとしてしまいました。

その後、精神科での受診を経て、七条と話し合うシーンでは、キャリア志向を捨てて娘のことを第一に考え生きていく決意表明をしますが、これはもしかしたら、シングルマザーの方が誰しも通る道なのかもしれません。

1人の女性として思い描く人生がある一方、子育てによる制限が生じてしまう。100%両立できればいいのですが、さまざまな要因によってすべてが思い通りにいくとは限りません。多少の差はあれ、夢か子どもか、どちらを優先させるべきか決めなければならない転換点が訪れるのではないでしょうか。

今回は朋美にとっての過渡期が描かれたわけですが、最後に“母親”として生きていくことを選び、まるで毒気が抜けたように清々しい表情を浮かべる安達の演技が印象的でした。

その様子を見守った七条もまた、本当の意味で母親の苦労を知り、ケースワーカーとしても大きく成長できたことでしょう。空回りしつつも愚直なキャラクターを、山田裕貴が好演していました。次回からはまたえみるがメインになるようなので、脇役に負けない存在感を発揮してもらいたいと思います。

(文=大羽鴨乃)

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